日経ビジネスの特集記事(45) 昭和な会社が強い スマホ・パソコンを捨てる(1) | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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日経ビジネスの特集記事(45)

昭和な会社が強い
スマホ・パソコンを捨てる

2014.02.17

本当に「あの頃」より効率は上がったのか

IT化によって本当に生産性は向上したのか
が主要テーマです。


結論を先にお話しますと、ほとんど変化がないか、
コミュニケーション不足によって、生産性が
落ちている、という実態が明らかになりました。


2014年2月現在、どこのオフィスでもデスクの
上には、パソコンが一人一台置かれています。


デスクを突き合わせたシマ形の配列が、
コの字形や、楕円形に変化しても、
社員がパソコンに向かって仕事をする形態に、
変化はありません。


会社勤めをしていた頃を振り返ってみますと、
パソコンに向かってキーボードを打つことが、
本当に生産性が向上する手段であった、
と断言する自信はありません。


WordやExcelなどを使うことで、
事務処理が早くなった気になっていた、
と思います。その気持ちを否定することは
できません。


実際には、時間をかけた割には、効率は向上
していなかったかもしれません。


私だけの問題かもしれませんが・・・


PART1“時代遅れ”が武器になる

日経ビジネスはIT化や最新理論に頼らない
ことで、逆に効率が上がった事例を紹介して
います。


例えばこんなケースです。

岐阜県関市にある機械部品メーカーの
岩田製作所のケース


「私用でスマートフォンを使わない社員には

月5000円を支給する」

旧来の携帯電話、いわゆるガラケーを

使うのはいいが、それも音声通話と

メールに限定。ゲームなどは禁止だ。

  (P.026)

岩田製作所の社員は90人。
そのうち30人を超える社員が申請する見込み、
ということです。


月間15万円、年間180万円の奨励金を支給する
ことになります。もし90人全員が応じれば、
500万円を超えます。


売上高約13億5000万円の企業にとって、
決して小さな金額ではありません。


なぜ、岩田修造社長はこの制度導入に、
踏み切ったのでしょうか?


それは、岩田社長が目の当たりにした、
異様な光景によってでした。

本社工場の敷地内にある

休憩用のベンチ。そこにずらりと

座っている社員全員がスマホで

ゲームやメール、インターネット

をしている。そこには全く会話が

ない。


この工場脇のベンチは、岩田製作所

にとって社員が気軽に交流できる

大切な場所だった。昼休みや

休憩時間、工場やオフィスで

働く社員たちがこのベンチに集まる。

そこで交わされる何気ない会話は、

岩田製作所の成長に大きな役割を

果たしてきた。

  (P.027)


岩田社長が問題視したのは、コミュニケーション力の
低下だけではなく、社員の思考能力も弱くなる、
考えたからだと言います。

デジタル依存になり、すべての情報

に受け身になれば、やがて自分では

何も考えなくなる。

  (P.027)


こうした岩田社長の危惧で思い出されることは、
数十年前に評論家・大宅壮一氏が述べた言葉です。


一億総白痴化――

一億総白痴化(いちおくそうはくちか)とは、
社会評論家の大宅壮一が生み出した流行語である。
『テレビというメディアは非常に低俗なものであり、
テレビばかり見ていると、人間の想像力や思考力を
低下させてしまう』という意味合いの言葉である。

(Wikipediaから)

テレビも見る人を受け身にする媒体です。
スマホもパソコンも使い方次第で、テレビと同様に、
使う人を受け身にし、思考力を低下させる媒体、
と言えなくはありません。


もう1つのケースをご紹介しましょう。

キャノン電子のケース

午前9時30分にならないとパソコンの電源が入らず、
駆動しないそうです。


部長は午前6時45分に出社し、酒巻久社長と
午前7時30分までの45分間意見を戦わすそうです。


そして、社員が午前7時30分に出社すると、
午前9時30分まで社長の指示の落とし込みと、
仕事の進捗状況や悩み事相談などの情報を
2時間に渡って吸い上げるそうです。


酒巻久社長はこの事情をこう説明しています。

「IT(情報技術)に対しては、厳しいルールを

作らないと、社員は必ず易きに流されてしまう。

電源が入れば、部長は私の指示をメールで

部課に送ってしまうだろう」と話す。

  (P.028)

さらに、このような考えを述べています。

「少子化や熟練工の減少を受けて、データベース

に技能を登録する企業もあるが、全くのナンセンス。

技術というものは、先輩後輩の対話の積み重ねで

しか受け渡すことはできない」

  (P.029)


この他のケースを簡単にご紹介しましょう。


企業向けソフトウェア開発・販売の
ドリーム・アーツ
は、
山本孝昭社長の考え方に基づき、CCメールを許さない
方針を貫いているそうです。


その弊害は2つあって、1つはメールが増え、
忙殺されることと、もう1つは責任回避の
ツールになるから、だそうです。



埼玉県内で独高級車BMWを販売する
外車販売の和幸モトーレン
の場合。

「メールより電話、電話より訪問。営業担当者

にとっては大変だが、お客様と信頼関係を

作るために地道にやるしかない」。

木村和美は自社の営業法をこう語る。

  (P.035)


これらの事例に共通しているのは、
ITはあくまで人間が使うツールであるにも
かかわらず、人間が使われてしまっている
ことと、人間同士が顔を突き合わせて
コミュニケーションを取ることを阻害して
いることです。


フェイスツーフェイスであれば1分で済む
ことも、メールやファックスを使うことに
よって、数十分かけてしまうことがあるのです。


極めて効率が悪いことですね。
自筆の文字を除けば、文字ではその時の相手の
感情や表情を汲み取ることは難しいでしょう。



次回は、「PART2 社長だけが知らない
平成流 最新経営の罠」他についてお伝えします。





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