日経ビジネスの特集記事(41)  シリコンバレー4.0 変貌する革新の聖地(1) | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(41)

シリコンバレー4.0
変貌する革新の聖地

2014.01.20

これでいいのか ベンチャー活動
世界最下位の日本


「ベンチャー活動世界最下位は日本」という調査結果
(2012年調査)が出ました。


これは米バブソン大学と英ロンドンビジネススクールが
毎年弾き出しているものだそうです。


なぜ、日本が最下位なのでしょうか。
日経ビジネスはこう分析しています。

日本の指数が低いのは、既存企業への就職を
当てにできる、あるいは当てにしているためだとも
言える。

だが、それも程度の問題だろう。

少子化に悩む日本。それは人間ばかりではない。
経済活動の主体の1つである企業も“少子化”の
危機に直面しているようだ。人間と同じように
企業に寿命があるとすれば、新たな企業が
生まれなければその国の経済は衰退に向かう。

起業の停滞は日本の大きな課題と言われるように
なって久しいが、その状況は改善していない。

  (P.024)

では、ベンチャーの聖地、アメリカはどうなのでしょうか。

同じイノベーション主導型経済に属する国のうち、
この指数が最も高いのは米国だ。起業の中心地、
シリコンバレーを擁する活力を反映している。

ここでは、米アップルの創業者、スティーブ・
ジョブズ氏が故人になっても、異才が途切れる
ことはない。

  (P.025)

「半導体に始まりパソコン、インターネットと続いた
イノベーションの波は、次なるステージに進んでいる」(P.025)

いったいシリコンバレー4.0とは何なのか。



PART01 新・楽園に集うエンジニアたち

ツイッター本社で活躍する日本人エンジニアの
大石剛司さんのケースが紹介されています。


2008年4月にDeNAに入社した後、
米国法人・DeNAグローバルへ出向したそうです。
エンジニアにとっての聖地、シリコンバレーで
仕事をしているうちに米国企業への憧れを抱く
ようになり、ツイッターに転職したそうです。
2011年10月のことでした。


入社してカルチャーショックを受けたそうです。

ミーティングの時間を除けば拘束されることはない。

タイムカードはもちろん、その概念さえも存在しない。

昼夜にはおいしい食事を会社が用意してくれるなど
至れり尽くせり。自由闊達な環境はエンジニアに
とって最高の楽園だ。

  (P.028)

悩みは、家賃の高騰だそうで、2年間で50%以上
上昇したところもあるそうです。


シリコンバレーの中心拠点は、北上を続け、
今ではパロアルトやサンホセからサンフランシスコへ
移動する起業家が増えているそうです。


シリコンバレーには、ガレージ創業した人たちが
います。


ヒューレット・パッカードの創業者、ヒューレットと
パッカードや、アップル創業者、スティーブ・ジョブズなど。


今ではガレージ創業は古いそうです。


2つの要因があります。


1つは、仕切りもなく、見通しのよいスペースを
複数の異なる企業のエンジニアが共用するサービスが
あるからです。


その1つは、サンフランシスコ中心部にある
「Rocket Space(ロケットスペース)」。


ここにオフィスを構えた、ハイヤー配車サービスの
Uber(ウーバー)や、音楽配信サービスのSpotify
(スポティファイ)といった注目企業もあったそうです。


入居するには条件があるそうです。
お金を払えば入居できるわけではないそうです。
有望と判断されたスタートアップしか居を構えることが
できないのです。


そしてもう1つは、米アマゾン・ドット・コムやグーグルが
提供するクラウドサービスがあるからです。


これらを使えば、「サーバーやネットワーク機器を自分で
用意する必要がない」(P.029)し、「機器を保守する
エンジニアも不要になる」(P.029)からです。


最近よく目や耳にする言葉に、「クラウドファンディング」
があります。

全く新しい資金調達の方法が登場したことも、
起業家の裾野を広げる動きを支えている。

不特定多数の出資者から資金を調達する
クラウドファンディングだ。ハードウェア
関連のスタートアップが初期段階で利用
するケースが少しずつ増えている。

初期投資がかさむため、VC(ベンチャー
キャピタル 注:藤巻)が出資を躊躇する
ことが多いからだ。

  (P.029)

「クラウドサービス」と「クラウドファンディング」の
2つの「クラウド」が登場しました。


これはカタカタでは同じですが、英語表記は異なり、
意味が違います。


cloud (雲)とcrowd(大勢)です。


コンピュータ関連の言葉にはcloudを、それ以外はcrowdと
思えばよいでしょう。


ここまでをまとめますと、シリコンバレーには、
5つの大きな変化が起きているということです。

1 起業家の大移動 サンフランシスコ湾の南端から北へ

2 起業家支援環境の拡大
       学生の起業家育成まで裾野が拡大

3 ガレージから共有オフィスへ 
       交流が広がるコワーキングスペースの活況

4 資金調達の多様化 クラウドファンディングの登場

5 起業コストの低廉化 クラウドサービスの普及



PART02 シリコンバレーがもたらす未来

なぜ、米国で起業が多いのか、
今までなかったビジネスが生まれるのか、
を考えてみました。


2つの理由があると思います。


1つは、人と違う考え方(発想)を持たないと、
相手にしてもらえない社会であること。


もう1つは、将来性があるビジネスのシード(種)
に対して投資する、エンジェルと呼ばれる、
起業家として成功した人たちがいること。


翻って、日本には、長年言われ続けてきた「同質化」
があります。


人と同じことで安心し、仲間意識を醸成する社会で
あることです。


異質な意見を言おうものなら、排除されることが
あるので、黙っているか、転職の道を選ぶことに
なります。


現在でも、本質的には変わっていないように見えます。


日本にはアイデアや技術、ノウハウを深く理解できる
投資家はごく少数しかいません。


会社を起こそうとする人たちは皆、お金がありません。
この点は、日米で大差はありません。


日本では、金融機関から融資を受けようとすると、
すぐに「担保」を要求されます。


担保になるようなものを持っているはずがないのです。
日本の金融機関は、自らリスクを負うことができません。
間接金融では起業はできません。


日本でも徐々に会社を設立する若い人たちが出て
きました。その人たちの会社は、税金対策のために設立
したもので、ペーパーカンパニーです。


大概、社員1人の会社です。本人だけの会社です。


その会社の代表取締役をしています。会社を大きくする
気持ちはありません。する必要がないのです。


自らリスクを負う投資家がいるか、いないか。
大きなことにチャレンしようとする人がいるか、いないか。


彼我の差は明らかだと思います。


シリコンバレーにおける技術革新には4つのフェーズが
あると、日経ビジネスは指摘しています。

「第1フェーズ」は、47年のトランジスタ発明に
端を発する半導体技術の進展だ。

スティーブ・ジョブズ氏らが創業した米アップル
コンピュータ(現アップル)が77年に発売した
「アップルⅡ」が、パソコン時代という
「第2フェーズ」をよびよせた。

さらに、90年代半ばにはウェブブラウザーが誕生し、
「第3フェーズ」にインターネット時代が到来する。

そして今、シリコンバレーは「第4フェーズ」に
動き出している。
その方向性を最も端的に指し示すフレーズが、
“Software is eating the world.
(ソフトウェアが世界を侵食する)”だ。

  (P.032)

具体的にどのようなものを指すのか、見てみましょう。

ソフト技術の進展は、ハードウェアにも革新を
促す。無人飛行機(ドローン)や自動運転車、
学習機能つきの温度調節装置など、野心的な
製品の開発が進んでいる。

  (P.033)

スタートアップだけでなく、半導体やネット時代に
成功を収めた巨大企業は積極的に投資しています。


特に、グーグルは、「無人運転やロボットなどに長期的な
研究開発に大きく舵を切った」(P.033)そうです。


軍事ロボットには手を染めないで欲しいですね。


次回は、「PART03 自己革新するエコシステム」他に
ついてお伝えします。




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