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日経ビジネスの特集記事(14)
人材逃避 アベノミクスの陰で進む危機 2013.7.8
悩めるシリコンバレー
前回は日本から人材が流出している実態を
お伝えしました。
今回はシリコンバレーでも人材の確保が
難しくなっている実態と「チリコンバレー」に
ついてお伝えしていきます。
日経ビジネスの現地取材による生のレポートです。
米国といえば、ITに強い「スタンフォード大学」や、
常に世界の大学ランキングでトップグループにある
「ハーバード大学」、「MIT(マサチューセッツ
工科大学)」、2年連続でランキングで1位に輝いた
「Caltech(カリフォルニア工科大学)」などが
ありますね。
彼らなら就職は容易ではないかと考えられますが、
必ずしもそうではないようです。
「米国にはアイビーリーグを代表するハイレベルな
大学・大学院があり、世界中から優秀な人材が集まる。
だが卒業した若者たちが必ずしも米国で働けるとは
限らない。移民行政が硬直的、官僚的に運用されて
いるからだ」
ビザを申請しても登録上限があり打ち切られることが
あることと、ビザが取得できても有効期限は最長で
6年間です。
米国で長期間働くにはグリーンカードが必須ですが、
手間がかかりいつ認められるか予想できないそうです。
そのため「先が読めないことから米国を去る人材が
後を絶たないのが実態だ」ということです。
採用する企業から不満の声が漏れてきます。
スマートフォン向けのアプリなどを開発している
米バンジョーの創業者であるダミアン・ハットン
CEO(最高経営責任者)は次のように憤っています。
「優秀なエンジニアを雇うのに、これまで最大で
7万5000ドル(約732万円)を人材紹介会社に払った。
これだけでエンジニア1人分の年間給料になるじゃ
ないか。全くばかげた出費だ」
米国は人材流出の事態を深刻に受け止め、
早速対策を講じ始めています。
「米国では『STEM人材の不足が課題』と長らく
指摘されてきた。STEMとは科学、技術、工学、
数学の頭文字を取った造語だ。オバマ政権は
この分野の大学教育を受けた卒業生を100万人増員
するとしている。
STEM分野の教育を米国で受けた外国人を
移民として受け入れる政策を見直す必要がある――」
チリコンバレー
シリコンバレーならぬチリコンバレーがあるそうです。
南米チリにある「シリコンバレー」で「チリコンバレー」
と呼ばれているそうです。
南米チリの首都サンティアゴにある「チリコンバレー」。
ここでの公用語はスペイン語ではなく英語だそうです。
なにしろ50カ国を超える国から渡ってきた世界の起業家が
働く職場だからです。
チリは米国のように世界の秀才が集まる教育機関が
あるわけではないので、チリ政府が音頭を取り、
「2010年、チリ発のイノベーションを起こすための
起業家プログラム『スタートアップチリ』を開始した。
シリコンバレーを目指す若者たちの『横取り』も
狙っている」そうです。
チリ政府の意気込みが伝わってきますね。
「スタートアップチリへの応募件数はこれまでに7200件以上、
審査に通った案件は約700に上る。選ばれた案件のうち
チリ人によるものは約2割にすぎない。
残りの8割はすべて海外からの案件だ」
ただコンテストをやるだけでは海外から人は集まらないため、
チリに来てもらうためのインセンティブを用意している
そうです。
「まず無償資金として4万ドル(約390万円)を提供する。
さらに1年間の就労ビザを与える。共用オフィスを無料で
利用できるようにもする。加えてベンチャーキャピタルを
紹介するほか、サンフランシスコで投資集めのイベントも開く」
その代わり、起業家には義務も課すことを忘れてはいません。
なかなか抜け目ないですね。
「起業家に課している義務は最低6ヵ月間、国内に滞在すること。
そして地元の起業家を相手に講演するなどして自分の経験を
チリに『還元』することだ」。
最終回は、「脱『人材ガラパゴス』へ」をお伝えします。
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