日経ビジネスの特集記事(14) 人材逃避 アベノミクスの陰で進む危機(1) | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(14)

人材逃避 アベノミクスの陰で進む危機 2013.7.8


忍び寄る人材流出危機

「『現場での仕事が大事なのは分かる。
でも、少しでも早く世界で通用する
スキルを身につけたい。
3年も店舗にいたら自分の市場価値がなくなる』」


こう語ったのは、20代前半の中国人女性、
王静さん(仮名)です。


彼女は春先まで日本では知らぬ者はいない
大手流通企業に勤めていました。


入社式での社長のメッセージ「多様な価値観が
会社を成長させていく」を聞き、大きな希望を
持って働いたそうです。


ところが現場は理想とはかけ離れたものでした。
鬱積した不満がこうした言葉になって現れたのです。


グローバル競争に勝ち抜くため日本企業は、
優秀な外国人を積極的に採用する動きが活発化
しています。


もはや日本人従業員だけではやっていけない
ところまできているのです。


しかしながら、王さんのように不満を抱えた
外国人が日本企業に見切りをつけて、
他国の企業に就職するのは稀有なケースでは
ないそうです。


一度日本企業に就職した外国人だけではなく、
日本の大学で学んでいる外国人留学生は、
日本企業に魅力を感じず、日本企業に就職する
意思はないそうです。


「早稲田大学国際教養学部のアリャファル・
サラさん(イラン人、24歳)は現在3年生で、
国際マーケティングを専攻している。

今秋から就職活動を始めるが、日本企業は
念頭にない。留学生の先輩などから日本企業の
『悪評』を繰り返し聞かされているからだ。

曰く『仕事一辺倒でプライベートの時間が
全く取れない』『外国人に対していじめがある』…」


サラさんは母国語のペルシャ語の他にアラビア語、
英語、日本語に堪能ということで、その能力を
活かしキャリアを積むために「男女の区別なく
昇進できる外資系企業への就職を希望している」
そうです。


翻って日本の学生で、サラさんのように明確な
目的意識を持って就職活動をしようとする人は
どれだけいるでしょうか。


「有名企業ならどこでもいい」「どんな仕事でも
就職できさえすればいい」といった学生、そして
その親が多いような気がします。


たいへん重要な問題は、「外国人の採用が困難に
なれば、日本企業は必要な人材の確保に一層苦労
することになる」だけでなく、「日本人の流出さえ
絵空事とは言えなくなっている」ことです。


総務省の統計(2011年10月から2012年9月)によると、
「日本人の入国者数は88万7670人。
出国者数は91万828人。差し引き、2万3158人の
マイナスだ」


この現象は、この年だけのことではなく、
「総務省がこの統計を開示し始めた2007年以降、
流出超過傾向が続いている。年代別に見ると、
出超分の約8割を20~30代の若者が占める」。


実例を上げましょう。

「ウェブ会議システムを開発・販売するベンチャー
企業『ブイキューブ』の間下直晃社長(35歳)も
日本を後にした1人だ」

「同社はこの分野の国内シェアで2007年からトップを
走り、2012年に顧客数を4000社まで増やした。
数年内に上場することも検討している」


「本社は日本に残してあるが、間下社長自身は
シンガポールを拠点に東南アジアを飛び回っている」


日本国内のシェアの大半を抑えた同社は、
すでに東南アジア諸国を見据えて活動拠点を
シンガポールに移しています。


日本ではなくシンガポールで上場を検討しているのかも
しれません。



次回は、人材流出は日本だけではなくシリコンバレー
でも起こっている実情と「チリコンパレー」(?)
についてお伝えします。





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