この本を読んで感じたことは、西洋人に
よる東洋思想への理解、西洋思想と東洋
思想の橋渡し、を試みているのではない
か、ということでした。
西洋思想に代表される、ロジック、その
典型はアリストテレスの「三段論法」
です。
A=B、B=Cが成り立つならば、A=C
である、という考え方です。
これがロジックです。
ある人は「ロジックこそが『世界共通語』
である」と言っています。
日本人はロジックに弱いと言われてきまし
た。つまり、三段論法で自分の考え方を
展開できない、ということです。
マッキンゼーが開発した、MECE
(Mutually Exclusive and Collectively
Exhaustive=漏れなく、ダブリなし)や
ロジックツリーは論理的に物事を考える
ツールとして、役立つでしょう。
ただ、ロジックだけでは、言い換えると、
左脳主導思考だけでは、問題解決はでき
ない時代になっているのです。
ロジックは感情を排した考え方です。
人間には感情があります。論理では割り
切れないものが、必ず存在します。
左脳主導思考だけでなく、右脳主導思考、
つまり直感力あるいはセンスとの両立が
欠かせないというのが、ダニエル・ピンク
の主張だ、と考えています。
故スティーブ・ジョブズはインドや日本に
強い関心を持ち、東洋思想への理解を
深めました。
彼の「作品」に東洋思想が色濃く反映され
ていることは、スティーブ・ジョブズ I
ウォルター・アイザックソン
スティーブ・ジョブズ II ウォルター・
アイザックソン
「共感」は「調和(シンフォニー)」とも関連が
ある。他者と共感できる人は、文脈(背景状況)
の重要性を理解しているからだ。調和力のある
人が全体像をとらえて考えるのと同じように、
共感力のある人は相手の全体像を見ている。
そして最後に、「物語」の能力の中にも「共感」
は含まれる。
(P.255)
(052ー1-0-000-103)
コンピュータにできないこと――人間関係になると
コンピュータは「手も足も出ない」のを覚えておら
れるだろうか――とは、人と共感することなのだ。
(P.256)
(053-1-0-000-104)
「男脳」というのは少し「左脳主導思考」に似て
いる。そして、「女脳」は「右脳主導思考」の
ハイ・コンセプト、ハイ・タッチなアプローチ
にとてもよく似ている。
共感とは、知性からの逸脱でも、知性への唯一の
手段でもない。人は多くの場合、他人と調和する
必要があるが、時には孤立することも必要だ。
これからはこの二つを切り替えられる人が成功す
るのだ。何度も述べてきたことだが、「コンセプト
の時代」には中性的な思考が必要なのである。
(P.263)
(054-1-0-000-105)
記事が面白かったら
ポチッとして下さい。

こちらのブログもご覧ください!
藤巻隆のアーカイブ
私の書棚(読み終わった本の一覧)