大下 英治 三笠書房
読み終わりました。2013.08.22
本書は、松下幸之助の評伝にとどまらず、幸之助の「成功哲学」を
エピソードを交えて説いた、「ビジネス実用書」です。
本書を通じて学んだことは、「どんな状況にあろうとも、
決して諦めてはいけない」という教訓です。
幸之助は、肺炎にかかり命を落とすかも知れないという、
兄たちと同様の運命を辿ろうとしましたが、ある意味の
開き直りで病気を克服しました。
特に印象に残ったことは、「当たり前のことを当たり前に」
行なうことがどんなに大変なことであるかを、
幸之助のエピソードを通じて、再認識したことです。
今でこそ WIN-WIN(共に勝つ)の関係が重要と説明されることが
多いですが、「商売は『一人勝ち』しても意味がない。
共存共栄してこそ、永続的な繁栄がもたらされる」という
考え方に基づき、半世紀以上前から経営を実践してきたのです。
上に立つ人がなかなかできないことを、幸之助が実践していたことに
感銘を受けました。
人はだれでも叱られることは嫌でしょう。
しかし、幸之助は敢えて人前で叱ったそうです。
それはどうしてなのでしょうか?
「人前で叱ることによって、叱る人だけでなく、社員全員に
注意をうながすことができた」。
問題はその後です。
「その代わり、社員が幸之助の欠点を言ってもいいことにした」。
そう簡単にできないことです。
上下関係において上の者が下の者を一方的に責めることはできても、
たとえ正しいことでも、下の者が上の者の欠点を指摘するなどという
ことはできません。解雇あるいは左遷されるかもしれません。
人気テレビドラマ『半澤直樹』の主人公のように上司に歯向かうものは、
現実には企業の中で生きていくことができません。
歯向かうということではなくても、正論が通じないのは、多くの人が
実感していることでしょう。
それだけに、幸之助が「おたがいに欠点を注意しあって、
補っていくようにした」に、私は素晴らしいことだ、と思いました。
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