岩崎 峰子 幻冬舎
を読み終わりました。2013.08.24
この本は、花柳界に対する、私の偏見を払拭するために、
大きな影響を与えたものです。
芸妓、舞妓と言うと、なにか特殊な職業という偏見を持っていました。
これは私だけが花柳界に対して抱く、イメージではないと思います。
著者は、幼少時から花柳界の祇園甲部で芸の道で修行を積みました。
その後、「岩崎」の跡取り、舞妓、芸姑となり、29歳で現役引退しました。
祇園甲部は、京都にある五つの花柳界の一つです。
他に、上七軒、先斗町(ぽんとちょう)、宮川町、祇園東があるそうです。
そもそも花柳界の意味がわかりませんでした。
峰子さんは、花柳界について次のように解説しています。
花柳界の「花」の意味は牡丹(ぼたん)や芍薬(しゃくやく)のように
主役にもなれば、かすみ草や庭の片隅に咲いているような脇役にも、
どんな花にでもなれるということで、女性を花にたとえています。
「柳」はどんな過酷な条件にも屈しない強い精神力を意味しています。
柳はしなやかであるので、そよ風にも強風にも折れることはありません。
お座敷には、作家、経営者、政治家、学者、俳優など著名人や名士が訪れます。
そうした方たちからいろいろな話を聞いて理解するためには、
忙しい稽古事の合間を縫って、基礎的な勉強を普段からしておかなければ、
一流の芸妓や舞妓にはなりません。
まして、女将ともなれば経営者ですから、勉強は欠かすことはできません。
この点は我々にも共通することですね。
峰子さんは勉強についてこう語っています。
お客様は第一線で活躍されている方が多く、博識で教養も
深い方ばかり。そんな方のお話を理解するためにも常日頃からの勉強
が大事なのです。特に歴史小説が好きで、山本周五郎、池波正太郎、
山岡荘八、司馬遼太郎各先生の歴史小説はほとんど読んでいました。
1点だけ私たちに関係する重要な点をご紹介しましょう。
峰子さんの花柳界での長い経験から導き出された
「普遍的法則」のようなものです。
「あの人は器用ではないけれど、言うことは信用できる」
「あの人はお世辞を言わない」「あの人は言うことと思ってることは
同じだ」と言われるようになったら、
俗にいう世渡り上手よりは信用されるのではないでしょうか。
実直な人、言行一致の人と言い換えることができるかもしれません。
信用を得るには年月を重ねないとなりませんが、信用を失うのは一瞬です。
他人から信用、信頼される人になりたいものですね!
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