更新が遅れ申し訳ございません。

水夏希さん退団発表などでまた激動の宝塚ですが、今回は、宝塚を考える際に極めて有意義なイベントのご案内です。


演劇論講座「宝塚スタイルの内部と外部 宝塚歌劇団95周年の過去・現在・未来」

日時 2010年1月19日(火)18:30~20:30
場所 早稲田キャンパス26号館(大隈記念タワー)地下多目的講義室
主催 西洋演劇研究コース
概要 「宝塚スタイルの内部と外部 宝塚歌劇団95周年の過去・現在・未来」
講師:川崎 賢子氏(文芸・演劇評論家)

このたび、広く文芸・演劇評論の分野で活躍され、宝塚歌劇の研究にも精力的に
取り組んでおられる川崎賢子氏にご講演いただくことになりました。95年の歴
史を誇る宝塚歌劇の過去を振り返り、未来を展望しながら、女性の身体表現とし
ての「男役」「娘役」の様式の蓄積についての考察、「西洋文化受容」「和洋
折 衷」概念の整理、「ラテン」もの「アジア」ものなど宝塚歌劇における「第
三の世界」の歴史と可能性の検討などを通じて、「宝塚スタイルの内部と外部」
の問 題について詳しくお話しいただきます。

<入場無料・予約不要>


…激動の宝塚に対してアクチュアルに研究されている川崎賢子先生が、宝塚についてガツンと語ります。

事務局員も一部だけでも聴ければと思っております。


場所としては、早稲田大学正門と南門の間にあたる部分の手前、ロータリーに面したところにある建物です。

かつては学生会館でした。


バスで来るとかなり近くに停留所があるはずです。地下鉄からは徒歩5分程度かと思います。

みなさま、遅ればせながら明けましておめでとうございます。

本年も「宝塚プラス」事務局へのご指導、叱咤激励など、お待ち申し上げております。

また新年も休みのない(!?)宝塚ファンの皆様の宝塚ライフが、本年もつつがなく充実されるよう祈念申し上げます。


年末差し迫った時期にも彩吹真央さん、未来優希さん、大月さゆさんなどの退団発表がありました。皆様の思いもさまざまだと思いますので、気が向かれたら文章やコメントなどお待ちしています。あて先は

yoshiomizo@hotmail.com  までどうぞ。

なお宝塚人事への批判などは基本NGでお願いします。

そうでなくスターに送る内容になっている文に関しては、最低限の修正をするケースがありますが、ブログに掲載させていただきます。(ご連絡先などお付けいただけたものを掲載いたします)


さて、本日は2題。


1、東京宝塚劇場で現在宙組が上映中の「カサブランカ」を観劇してきました。以下はその感想メモです。あくまで事務局員の極私的感想ですのであしからず。


 有名映画の舞台化であるだけに、話の筋に無理がなく、主役2人及び周辺人物のカラミを楽しみながら芝居に集中できる。小池修一郎は「太王四神記」ほど原作を再構築せずにシンプルに加工しているが腕は確か。「君の瞳に乾杯」という超訳のさばきも堂々としている。


 この舞台は、脇役や群集がシンプルな演技をしており舞台劇を見る初心者でも話の筋を追いやすいため、宝塚の雰囲気を知りたいビギナー向けとしては非常によい公演。東京公演は1/4昼段階ではまだチケットのある日があるようであるので、ぜひ宝塚を観たことがない人に推薦してほしい

宝塚観劇のベテランにとっては、映画「カサブランカ」的空間を脱構築してより夢幻の境地を見せた花組「マラケシュ―紅の墓標」を懐かしむ局面があるかもしれないが。


 大空祐飛と野々すみ花のお披露目、お披露目演目としては近年で最良のもののひとつ。芝居では二人のすれ違う場面での大空の叩きつけるような切れ味などが醍醐味。蘭寿とむは理想に燃えつつも愛情も忘れない人物像を手堅く演じる。最後は善人になるエロ代官的役回りを演じた北翔海莉が、宝塚的に難しい役どころを逃げずに好演。蘭寿・北翔は歌も安定。さらに、今回公演で卒業となる萬あきらの若々しい演技と、宝塚伝統男役歌唱のキレを一瞬見せる「As Time Goes By」が印象に残り、制度上とはいえ卒業を惜しむ。


2、宝塚検定というものが行われるらしいです。

http://www.takarazuka-kentei.jp/index.html

事務局員も受験を検討しています。勉強の成果なども機会があればちまちまとブログに発表しようと思いますので、勉強報告などリンクされる奇特な方はぜひご連絡ください。一緒に勉強しましょう!というと恥ずかしいですが…。


皆様こんばんは。『宝塚プラス』事務局員でございます。

標記の件、観劇してきました。以下、あくまで事務局員の感想ですので、『宝塚プラス』関係者全体の見解ではまったくないことをお断りします。


『ラストプレイ』…正塚晴彦演出。

スター、特に長きにわたってトップを張ってきた大トップである瀬奈じゅんの卒業公演はかなりの困難が伴うのは間違いない。トップサヨナラ公演には約束事も多い。その中のひとつに、「劇中の恋愛はめったなことで成就しない」というのがあるが(見送ったりということが多い)、今回はトップ娘役が不定であることを利用して、恋愛成分を極小化という荒業に出ている。話に広がりが出にくいのはそんな関係もあってのことであろうが、瀬奈の大トップの側面よりも「永遠の青年」風の味が、竹宮恵子『変奏曲』風の雰囲気も醸していて、きちっと楽しめる作品となっていた。退団公演でまた引き出しを見せ付けた瀬奈のほかには、クールにしつつ憎めないチンピラ風のジークムントを演じていた遼河はるひ、やや年配の色気のある役を抑制気味に演じていた城咲あい、孤児院で愛情を持って主人公を応援するヘレナをやりすぎずベタつかずに演じていた羽桜しずく、話のチェンジポイントであるアイリーンを堅実に演じて話の構造を明確化していた憧花ゆりのが目を引いた。

個人的には邸宅でピアノを片付けようとするエボニー(麻月れんか)とアイボリー(綾月せり)などのように、すみずみまで芝居を演じる「芝居の月組」の魅力が、末端まできっちり役名を付与する正塚芝居の丁寧さにマッチしていることが気持ちよかった。この魅力を、次期トップの霧矢大夢体制でも維持してほしい。


『Heat on Beat!』…三木章雄演出。

重くなりがちなトップ卒業のショーを、三木らしい勢いで押し切る中盤までは普通に素晴らしいショー。特に、HOT LATINOの場面の「El Viento」は歌詞の格調の高さ(ぜひプログラムなどで読んでみてください)、どこかにフォルクローレ風味を秘めた曲調を完璧に唄いこなす瀬奈の歌唱で、間違いなく2009年のベスト場面・歌唱のひとつで感涙もの。

後半は、El Tango Cでの瀬奈の衣裳を捨てた形での単独ダンス、フィナーレの男役引き連れまくり燕尾ダンスのラストでの笑顔のない思いつめたような表情などから、前半とは異なる雰囲気となり、瀬奈の覚悟というか存在が観客のボディーに刺さる展開。簡単に「素晴らしかった」で済ませられない要素を感じたのは気のせいか。

個人的なポイントは、El Tangoにおいて、苦手な雰囲気もあった歌唱を頑張った遼河はるひ。微妙な声の揺れがベルカント的陰影をタンゴ曲に与えていて表現が深まっていた。


とにかく、宝塚を支えてきた何かがひとつなくなる、ということを明確に自覚させられるボリュームのあるサヨナラ公演であった。チケットは入手困難だったが、見る機会がある人は楽しむというより満腹するというか感動するというか、という状態になると類推する。

この後の霧矢は大変だろうが、月組が誇る娘役陣(退団者は出るが)を有効活用するなど、さまざまに盛り上げていくことを期待している。