怖い夢をみて、目をさました。
時計は、午前3時33分をさしていた。
何も映っていないテレビの奥から、宇宙人がやってくる時刻だ。
いや、宇宙人ではなくて、妖怪かもしれない、幽霊かもしれない、悪魔かもしれない。
それとも、死者の霊魂が乗り移ったゾンビだったかな。
悪夢。
ナイトメア、ともいう。
10を64回かけた数。
これを、不可思議という。
フカシギ。
怖い夢、つまり悪夢の中では、不可思議の階段を上っていかなければならない。
上り切ったところに何が待っているか、だれも知らない。
上るにつれて辺りがどんどん暗くなっていって、いちばん上まで上ると、どこかから鉦の音がきこえてくることもある。
ちーーーーーーーーん。
宇宙にはバランスがあって、だれもそのバランスを崩すことはできない。
ふすまのむこうには、異次元の世界。
双子じゃないのに、自分そっくりの他人。
1篇が「長過ぎる」と指摘されて、何篇にもわたりたくさんの字数を削った。
オチが弱いといわれ、何度も書き直した。
描写がどうにもグロテスクで、児童書作品としては困る、といわれた。
もっと怖さを、といわれた。
もっと不可思議さを、といわれた。
制限ページ数があって、涙を呑んで撤退した作品がいくつもあった。
本づくりにおける編集者の存在を改めて見直すとともに、畏敬の念を抱く。
編集者のふるう鞭は慈愛に満ちている。
だからぼくは、そのために踊った。
そのために闘った。
9月刊行(予定)。