まさかの看取り | 夕菜の宝箱

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~がん(私)でも発達障害(息子)でも上手くつきあって幸せに暮らすことを目標にする毎日~

訪問ありがとうございます。

 

今年もあと残りわずか。

入院もしないでいい年で終わりそう~な予感しかなかったのですが

まさかの令和元年の最後を迎えています。

文字に書くことで自分自身の気持ちの整理もついてきているのかも。

 

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あかんやつや。

そう直感したものの全く信じられない。
母もそう。
他に呼ぶ人に連絡した方がいいんですか?と聞いている。

急がないと。
で、私は呼んだ方がいい!いい!と即答してスマホを手に取ると、ゆっくりそうですねと答える声が聞こえてきた。

急いで遠い妹に電話。
続いて長男の職場に電話。
夫にはなぜかLINE電話にしてしまい、出ないからLINEでメッセージを残す。
次男にも電話。

母は父の姉に電話。

たまたま今朝、入院したことを話していたらしい。

それからどうぞ、と父の元に案内されると、昨日まで正常なバイタルだったのに、全て低い。

SP O2が70台って何なん?
血圧が45って何なん?
搬送されたとき190あって、降圧剤で120くらいにコントロールしとったやん。

動いたらな、背中あげただけでも血圧上がるらしいねん。上がるか見てみてくれ♪

て実験しようとして、しゃべってるだけで130超えたから

あかんあかん!て笑ってたやん。

下げすぎやん。
動いていいで。血圧あげて〜な。

3ヶ月は激しい運動あかんらしいわ。ゴルフ出来へんねんてって言うてたやん。
退院してゴルフ行くんやろ?

もうすぐ妹来るで
孫来るで


話すたびに足が動いて聞こえてるね、わかってるねって。

その調子やん動かして!!って話しかけながらも、

何かモニターばっかり気になる。

血圧が45くらいだったのに40くらいを行き来していて30台になってる。

 

え??
確実に下がっていってるやん?てことはマジで?復活はないの??

 

モニターをじっと見つめる私に、ナースさん達は、あと来られる人は?どのくらいで来られるか?と何度も聞いていたような気もする。

孫2人はもう来れると思うけど、大阪と三田からはまだかかると思う。

そんなやりとりをしていたら、一緒に見守っていた主治医が、このまま下がっていってしまうと思われます。来られていない人が来るまでい1時間くらいは救命して持たせることはできますがどうしますかとゆっくり穏やかに尋ねてきた。

これか。

お願いします!って言ってしまって後悔するという噂の延命措置のやるかやらないかを即決する瞬間。

必死で救命したらすっかり元気になるなら少し痛いのは我慢してもらいたいけど、駆けつけてくる人のためにだけ延命はしなくてもいい。

痛いの嫌いで怖がりの父。

前から私はDNRと何度も話していて、父にどうする?とも聞いていて、即答で同じだった。

だから私も母も悩む時間なんて数秒もなく、本人も望んでいたからね。ホントは呼吸器もいらないって言ってたのにな。

延命はしない、自然でお願いしますと答えた。

間に合わない人は間に合わなくていい

この決断が絶対大事なはずなんだ。

妹は搬送された日に会いにきた。
おばは普段何年も会わないのに、なんと今月頭に不幸があって、一緒に新幹線で九州まで出かけてる。

午前中に血圧低下、呼吸停止、脈も触れなくなり、なんとか保っている状態と聞き、全て最大限にフォローしてもう何時間か経つ。

もちろん辛いこと、痛いことをしてでも完全復活してくれるなら、絶対頑張ってもらいたいんだよ。

ナースさんが機械の音を止めた。

もうどのくらいの時間が経っているのかわからない。

 

 

モニターをじっと見ていると、

心拍数が大きく表示されている数字が0になってしまった。

 

急に涙があふれる。

今もまたあの画面は鮮明に脳内に残っていて、

浮かぶたびに勝手に涙があふれてくる。

やっぱり嫌な瞬間。

 

子どもたちはまだなん?

ここに入ってくるのわかるのかな?と思い立って

部屋を出て廊下でスマホを見てみると、

次男から何度も電話が入っていて、lineも入っていて

「かあさん、電話出て」「病院どこ?」って。

 

え??そうなん?とりあえず、ひらがなで病院名のみぱちぱち打つ。

今ごろ?ごめん気が付かんかったけど。

 

と思った瞬間、

 

着いた。どこに行けばいい?

〇階

で、長男と次男が二人そろってエレベーターから現れた

 

え?別々に連絡したのに一緒に??とびっくりしていると、

長男が運転するバイクで一緒に来たらしい。

めっちゃ仲悪くなってからここ数年口もきいてなかったのにね。

 

私は泣き止んでいた(つもり)けど、子どもたち2人に「さっき亡くなった」ってなんとか伝えて、一緒に会いに行く。

 

さっきからね、孫たち来るで!!っていうとそのたびに声かけるたびに足がぴょこん!って大きく動いて返事しててんで。

 

退院してゴルフ行くんやろ?

次男の成人式のスーツ買いに行くの約束しててんやろ?っていうと、ホントそのたびに完全に返事しててんで。

 

って言いながら両隣でみんなで号泣しながら声掛けしていると、なんとさっき0になってた心拍数が少しあがった!!!

またすぐに戻ってしまうんだけど。

 

あ、上がった!!わかってくれてるやん、聞こえてるやんね?

え?さっき上がったやんね?って言い続けていると、また上がる。

 

もう私と母と子どもたち2人でしっかり幻じゃないのを確認した。

ドラマの世界だけじゃなかった。噂だけでもなかった。

ホントに最期まで聞こえてるんやね。

 

そして、妹とおばさんはまだ30分はかかりそうだとわかり、管を抜いてもらうことに。

意識レベルを下げずに呼吸器を入れていたから、抜かずに待つこともできるけれどご本人はしんどいと思うと聞くと、しんどいのは可哀そうで。

 

妹が搬送された夜に会いに行ったときに、両腕を持ち上げながら

「管人間になってもうた~」ととっても嫌そうだったもんね。

 

もう早く管抜いてすっきりさせてあげたいね。

 

母ももうそれがいい、来る者だけのためにしんどい思いさせたくないからって、気持ちはぶれない。

点滴と呼吸器などすべて抜いてもらうことになった。

 

そこで時間が読み上げられる。

あ、ここなんだ。

さっきモニターが0になった瞬間かと私、早まってしまったがな。

 

 

なんかすごい場面に立ち会えたこと、

あっという間すぎてまだ実感がわかないこと、

号泣しながらもじいちゃんがわかってくれた!と喜んでいる長男と次男を眺めて、よかったなぁ~ってほっとしている心、

 

いろいろが入り混じって妙に落ち着いているようなてんぱっているような、不思議な感覚の私と母。

 

ピンピンころりが希望やってんから、

めっちゃ本人の理想どおりやったん違う?

 

そうやそうや!

 

半ば無理やり、急だったことをよかったことにしようとした。