教室で大縄跳び

 不順な天候が続いた。昨日などグンと冷えて雪が降ってきた。

外遊びができない。「つまんないね」とつぶやく子どもたち。

「教室で、大縄でもしようか」と、私。「えっ、本当?!」

「まさか、そんなこと…」。疑いの眼差しが、喜びに変わる。机を下げて本当に大縄を引っ張り出したから。

 5・6人で始めた大縄の『八の字』。次々に仲間が加わって26人。

 「連続とび」(並んだ子たちがミスをしないで続く数)が、何回続くか数え始めた。みんなでワイワイやっていたら、休み時間の終わりに近く87回になった。外遊びのときの記録を超えてみんな大喜び。

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 今日も運動場は濡れている。「先生、教室で大縄しようよ」

「よし、みんなでやるか!机を下げなさい」「イェーイ!」

 今度はクラスみんなが加わった。少し縄を短く持って、天井と床との間をビシビシと回す。並んだ子どもたちが次々に入る。本物の連続とびもできるようになった子たちいっぱい。

 記録は、ずっと低調だった。狭い教室、取り囲むみんな。「あーあ」というため息。失敗が続いて、今日はダメかなと思った。

 あと5分で長い休み時間も終わるというとき、連続とびが60回を越えた。子どもたちの声が、ぐんと大きくなる。80、81,82,83,84,85、86、87、88!「やったあ!」

 歓声を越えてみんな集中した。「100回まで行こうよ」「98、99,100!」もうみんなニコニコ顔だ。まだまだ続く。150回を見事に越えた。みんな、自分たちの出来事に驚いている。

 休み時間終了のチャイム。

「いい、続けよう。もう少し」私は、縄を回しながら言う。3時間目はT先生の理科の授業。T先生が入ってきて、目を丸くする。

「頑張れ、みんな!」と応援してくれる。

「190、191、192…、200!」

 そこで一旦切る。「ウォー!」と凄い歓声があがった。みんな飛び上がって喜びを爆発させ抱き合った。

 雨の日の教室の出来事。小さな小さなドラマだけれど、子どもたちには大きな大きなドラマになった。前日の『ありんこ』(自由宿題)の中に『雨の日の教室なわ跳び』のことを書いてきた子が9人もいた。「教室の中で大縄をするなんて、私は初めありあえないと思っていました。それができて凄かった。うれしかった」そんな記述でいっぱいだった。

 できた数の問題ではない。クラスの中に、みんなで築き上げる豊かな事実が貴重な空間を作るのだなと思った。