35億円の土地を無償貸し付け!? | 西宮市議会議員・たかのしん公式ブログ

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兵庫県西宮市の若手市議、鷹野伸(たかのしん)の公式ブログ。1990年(平成2年)生まれ・35才、政党無所属、現在2期目。日々、地元・西宮を奔走しています!

本日から12月議会一般質問のご報告を始めます。
まずは一番多くの反響を頂いたテーマ「兵庫県に対する土地貸付の適正化」から!
数回に分けての投稿となりますので、しばらくお付き合いいただければ幸いです(^^)

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私の愛読書・公有財産明細(市が所有する土地や建物の一覧)のページをめくっていたのは9月議会の頃。
市は「お金ないから市有地の売却・貸付を進める!」って言ってるけど、他に売ったり貸したりできる土地ないかなぁ…と思って、気になる土地をリストアップしてみました。
担当課にヒアリングすると、「あー、ここはそういう事情の土地なのかー」と納得するものも多かった一方、どうしても引っ掛かるところがありまして。
それが、兵庫県に対して無償で貸している土地の数々でした。

地方財政法では、「地方公共団体は~他の地方公共団体に対し、経費の負担を転嫁し~経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない」と定められています。
本市の公有財産規則でも、「普通財産の貸付料の額は~当該各号に定める額とする。」とされ、当たり前のことですが、「土地を貸し付けるときは有償で!」と決まっているわけです。
財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例には「公用~に供するときは、これを無償~で貸付けることができる」との条文がありますが、あくまでも「できる」であって、「無償にしなければならない」わけではありません。

この原則から考えると、基本的には県からも賃料を得なければならないはず。
そこで、全庁に対して「県に貸している市有地」の現状を調査したところ、3か所の交番を除いてすべて無償とされていることが判明しました。
おいおいおい…

念のため、逆に県から借りている土地の状況を調べてみると、そちらも全て無償ではあったんですが、場所は河川敷や埋め立て地など、他の用途に供することが困難な土地ばかり。
見方を変えれば、県は市に貸し付けることで維持管理費用の負担を免れている、とも言えます。
市が県から借りている土地より、これからご紹介する市が県に貸している土地の方が、資産性は明らかに高いものと考えます。

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事例の1つ目は、県立西宮香風高校の敷地。
建石町に所在する19,419㎡の広大な土地で、公有財産明細上の推定時価は約35億円です。
希少な大型敷地で土地の形状も良好であることや、周辺の売買相場を鑑みると、実際の価値は推定時価を上回るものと思われます。

 



この土地には以前、定時制課程の市立西宮西高校が立地していました。
2001年、県内の定時制高校を再編する動きの中で、西宮西高校と阪神間の県立定時制高校3校が統合され、西宮香風高校が開校。
その際、市と県との間で、土地を無償貸し付けする旨の覚書が交わされています。
なぜこの時に、土地を県に売却する、あるいは有償で貸し付けるという判断を行わなかったのか…
詳しい経緯は分かりませんし、特有の事情があったのかもしれませんが、4つの高校を統合する上で、そのうち3つは県立だというのに、1校のみを有していた西宮市が土地を無償で提供するのは、不自然でなりません。

現在、香風高校在校生のうち、西宮市在住の生徒は約4分の1。
市内の他の県立高校は県有地に立地しており、他市の生徒の割合も多い香風高校の敷地を県に貸し付けるなら、有償であるべきです。

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事例の2つ目は、県立阪神特別支援学校の敷地。
田近野町から宝塚市美幸町にかけての24,073㎡の土地で、阪神間6市1町の共有となっています。
本市の共有持分は10,000分の2,738、面積に換算すると6,591㎡で、推定時価は約2億2千万円です。

 



阪神特別支援学校は当初、阪神間6市1町による組合立の養護学校として開校しました。
阪神間では1960年代に特別支援学校(当時の呼称では養護学校)の設置が強く望まれていたものの、県による整備がなかなか進まないため、組合立の養護学校を先行して設立し、後に県に移管する形を取ったとのこと。
1972年の開校時、敷地の所有者は組合でしたが、1975年に学校が県へ移管された際も、売却や有償貸付は行われませんでした。
同年、組合は解散し、敷地は構成市町による共有となり、現在に至っています。

その後、通学区域の変更が重ねられ、いま阪神特別支援学校の似通うのは尼崎市在住の生徒・児童ばかりです(ななくさ学園生を除く)。
尼崎市以外の市町は、自らの市町に在住する生徒・児童がほぼ通学していないもかかわらず、土地の無償提供を続けていることになります。
そもそも、県立校である以上、土地に要する費用は設置者である県が負担すべきなんですが…

2022年、旧市立尼崎養護学校の跡地に県立むこがわ特別支援学校が開校し、西宮市の児童・生徒の多くがそこに通学することとなりましたが、開校にあわせて尼崎市は土地を県に売却。
尼崎さんは、そのあたりの取り扱いがしっかりしてますねぇ。
西宮市の子どもが通う学校は県の土地に、尼崎市の子どもが通う学校は複数市町が共有する土地に設置されている、という現状は、明らかにバランスを欠いています。

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それでは今日はこのへんで。
次回以降、3つ目の事例と当局への質問内容をお伝えしていきます!