人勧による給料UPに反対しました | 西宮市議会議員・たかのしん公式ブログ

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兵庫県西宮市の若手市議、鷹野伸(たかのしん)の公式ブログ。1990年(平成2年)生まれ・34才、政党無所属、現在2期目。日々、地元・西宮を奔走しています!

本日は3月議会の最終日。

私は人事院勧告に基づいて市職員の給料を増額する条例案と、それに伴う補正予算案に反対しました。

反対にまわったのは2会派で、賛成多数で可決されましたが、反対に至った理由を以下ご報告します。

 

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公務員の給料を決定する大きな要素に人事院勧告(通称・人勧)があります。

公務員の給与水準を民間の給与水準と均衡させることを目的に、人事院が国に対して「基本給を〇〇%UPしましょう」「ボーナスは○○ヶ月分にしましょう」といった勧告を行うもので、地方自治体においても、勧告に基づいた給与改定を行うことが一般的です。

制度の趣旨に鑑み、これまでは毎年、私も議案に賛成してきました。

 

しかし、継続してお伝えしている通り、現在の西宮市は財政危機の真っただ中。

今回の人事院勧告は基本給・ボーナスともに増額でしたので、当然、市の人件費負担は増加します。

その金額は年間5億円以上と試算され、40億円/年の収支改善を目指している財政構造改善の目標達成がさらに遠のきます。

市に改革を厳しく求めている立場として、今回の改定に賛成することは出来ませんでした。

 

社会全体で賃上げの動きがあり、デフレ脱却が国家的課題であることは、もちろん理解しています。

今回の勧告は昨年分なので、現在報じられている今回の春闘とは1年ずれているものの、それでも大きな流れとしては、物価も高騰する中で妥当な勧告だと思っています。

他自治体が人勧を反映する中、本市だけが給料を据え置けば、今後の職員採用や、市職員のモチベーションにも影響するでしょう。

こうした社会の流れや人勧に反対するデメリットをふまえた上で、それでも反対を決めた理由をもう少し詳しく記していきます。

 

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①市民サービスの削減が既に始まっていること

先日の一般質問で指摘した通り、財政構造改善の名の下に、既に多くの事業が廃止や見直しを余儀なくされています。私は、市民サービスを削減するなら、その前に、市役所や市職員が相応の負担を負うべきだと強く思っています。市職員が待遇を維持するどころか向上させて、その一方で市民に迷惑をかけるのは、筋が通らないと考えています。

 

②給与水準の高い中高年齢層もさらに賃上げすること

本市の給料表は年功序列の要素が強く、昇進しなくても中高年齢層の職員が高い給料を受け取れることに、大きな問題があります。今回の勧告は、初任給の引き上げをはじめ若手職員の待遇改善を図る側面が強く、そうした層に限定した賃上げであれば賛成するつもりでしたし、当局へはその考えを以前から伝えていました。しかし今回示されたのは、既に高い給料を受け取っている中高年齢層も対象にした賃上げでした。。。

 

③人件費を削減するための施策に着手していないこと

こちらも先日の一般質問で明らかにした点で、市長は当初、年間20億円以上を人件費の削減で捻出すると豪語していましたが、来年度の効果額は約2.8億円に過ぎません。私たちは長年、人件費削減に向けた具体策を提言し続けてきましたが、その中には、他市には存在しない手厚い手当や制度の解消、給料表の改定など、着手されていない課題が複数存在しています。そうした課題に取り組まず、賃上げだけを進めることは納得しかねます。

 

④国の指導のうち、自分たちに都合の悪い内容は無視していること

本市では持ち家の世帯主に対しても住居手当が支給されています。国は2009年に支給を取りやめており、本市に対しても毎年のように同様の見直しを求めていますが、来年度も支給は継続することとなりました。給料アップの人勧は即座に反映しようとするくせに、同じ国の方針でも待遇の低下につながる内容は無視する姿勢に強い不満があります。

 

⑤国からの財源措置が不明瞭であること

人勧による人件費負担の増大について、国は一定、交付税措置(国から自治体にお金を渡すこと)するとしています。しかし先日の総務常任委員会で明らかとなったのは、増額が見込まれる約4.4億円のうち、どれだけが交付税措置されるか?いつまで措置されるか?は分からないということ。歳出増加に直結する人事院勧告を受け入れることは、将来の本市財政に、きわめて重大な禍根を残す怖れがあります。

 

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行政や議会関係者の感覚として、「人勧に反対する」というのはかなり踏み込んだ行動です。

私も当初は「いくら財政が厳しいと言っても、人勧はさすがに認めないといけないんじゃ…」という思いを抱いていました。

しかし、ここ数ヶ月の市当局の動きを見て、やはり認めるわけにはいかないなと考えましたし、会派でも徹底的に議論を重ねた結果ですので、否決に持ち込むことは出来ませんでしたが、今回の議決行動に悔いはありません。

 

メリット・デメリットを前半で記したように、「人勧を反映させるかどうか?」という議題は、どちらが絶対的に正しい、という性質のものではありません。

私たちは、今の西宮市においては反映させることのデメリットが大きいと判断しましたが、賛成した会派さんや議員さんは、反映させることのメリットが大きい(もしくは反映させないことのデメリットが大きい)と判断したのだと思います。

41人の議員のうち、そう判断する人の方が多かったということ。

それが民意ですので、今回の結果は粛々と受け入れて、今後も自らの信じる政策を実現できるよう、力を尽くしてまいります。

 

あ、ちなみにですが、もちろん職員さん分を反対する以上、議員のボーナス分についても増額には反対しましたし、そちらの議案には他にも反対する会派さんがあったので、否決となりました。

波乱の最終日、他にもいろいろとご報告したいことはあるのですが、取り急ぎ本日はこのへんで!