あまりの蛮行に、言葉も出ません。
政治家が命を狙われるなんて、どこか遠い国の事件、歴史上の出来事と思っている自分がいました。
こうして目の前に現実を突きつけられて、茫然としています。
今はただ、安らかに、と願うばかりです。
このニュースに触れてから気分が重くて、正直、今日は文章を書く気になれなかったんですが。
毎週の更新は私にとって欠かせない活動。
今できることは、自らの職責を果たすことのみと気持ちを奮い立たせて、工水に関するご報告の続きをお届けします。
■□■□■□■□■□■□
前回の投稿で、工業用水道事業が厳しい状況にあり、今後の施設更新に100億円規模の費用が必要という実態をお伝えしました。
となると「もう工水は廃止したら?(一般の上水道に切り替えたら?)」と言いたくなるのですが、話はそう簡単ではありません。
なんと、廃止に必要な費用が、超概算ですが200億円程度と見込まれておりまして…
進むも地獄、退くも地獄という状況にあるのです。
廃止の費用が膨れ上がる大きな要因は、施設の撤去費用です。
工水は、一般の上水道と全く異なる系統で水を運んでいるので、事業を廃止すれば、基本的には既存の施設に使い道はありません。
撤去せずにそのままにしとけばいいんじゃないの?と思われるかもしれませんが、道路法上は「使わないなら撤去しなさい」が大原則。
法的な面をクリアしたとしても、地中の管路をそのまま放置しておくと、破損して道路の陥没等を引き起こす危険性もあります。
本市が単独で事業を廃止する場合、園田配水場~中新田浄水場の約7.9km、中新田浄水場から各事業所への約42.1kmをあわせ、計約50kmもの管路を撤去しなければなりません。
そのためには当然、この長さの道路を掘り起こさなければならず、管路の撤去は非常に大掛かりな工事となります。
もう一つの要因は、ユーザーに対する料金差額の補填です。
前回お伝えした通り、工水は上水道に比べて極めて安価な料金設定がなされています。
これを上水道に切り替えると、平均で約4倍、大きい事業所では年間1億円以上もの増額となります。
いきなり「はい、来年からこの料金です!」となると、経営は立ち行かなくなるでしょうし、ユーザーからの理解も到底得られません。
そのため、段階的に料金をあげていく、いわゆる激変緩和措置を想定しており、本来の上水道料金との差額を補填する必要が出てきます。
東京都が最近、実質的に全国初となる工業用水の廃止に踏み切りましたが、20年間は一定のユーザー支援を行うこととしています。
→写真は東京都の公表している資料です(西宮市のものではないのでご注意ください)。
今回お伝えしている「西宮市が工水を廃止する場合の負担額見込み」は、東京都と同じような支援を行うと仮定して算出されたものです。
■□■□■□■□■□■□
あくまでこれらの金額は超概算ですから、費用を抑えられないのか?なにか工夫できないのか?という検討は必要です。
管路は本当に全部撤去しないといけないのか。撤去せずに、法律面・安全面をクリアすることはできないのか。上水道の施設に転用できないのか。どれくらいの期間で撤去しないといけないのか。このあたりは、先行事例となる東京都の今後の取り組みなどを注視しながら、案を練っていかなければなりません。
また、ユーザーの支援についても、どれくらいの規模感や期間が適正なのか。事業者の経営に与える影響はどの程度か。事業者が市内の産業や雇用にどう寄与しているのか。など、多角的に検証する必要があります。
昨年度の建設常任委員会における施策研究テーマは、こうした論点を整理する役割を一定担うことができたのではないか、と考えています。
現時点で、今後の方針は明確になっていません。
まだ結論の出せる段階ではありませんが、次回の投稿では、これからの議論の進め方について考えてみたいと思います。