私が初めて代表者として提案した議員提出議案、「市長専決処分事項の指定の件」。
本日の本会議最終日で採決が行われ、19対20の一票差で否決となりました。
過半数の壁は高かった…くやしい…
事前の折衝段階では、可決できる見込みもあったんやけどなぁ…
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本会議で行われていることは、大きく2つに分けられます。
議員から市当局に対して見解を問う「代表質問・一般質問(いつもご報告している分)」と、議会が承認する予算・条例などの「議案審査」。
後者は過半数の議員が賛成することで可決となります。
この「議案」というのは、基本的に当局から提案されるものなんですが、議員から提出することも可能とされています(割とまれなケース)。
それが「議員提出議案」で、議員2年目の私にとっては今回が初めての挑戦でした。
内容としては、タイトルの通り専決処分に関すること。
専決処分とは、地方自治法96条で「議会の議決が必要」とされている事項について、市長が例外的に議決を経ず実施することを言います。
同法179条・180条1項に定めがあり、179条では主に緊急的な場合、180条1項では「議会の議決により指定したもの」について専決処分を認めるとしています。
今回の提案は、この180条1項に基づく議決を行うものでした。
というのも、西宮市でこの議決が行われたのは1973年。
そこから50年近く改正されていないんですよね…私としては、時代に即した新しい議決が必要と思っておりまして。
特に懸念しているのは、この規定がネックとなり、滞納金の徴収がスムーズに進まないことなんです。
現在の規定では、訴えの提起に関することは全て、議会の議決を必要としています。
なので、例えば市営住宅の家賃や学校給食費を滞納している市民に法的措置をとろうと思っても、すぐには訴訟に踏み切れない。
中には、市営住宅の契約解除から訴訟までに200日以上を要している案件もありました。
こうした不都合を解消するため、他市では「500万円以下の金銭債権」や「市営住宅の管理に必要なもの」等について、専決処分事項としている例が多くあります。
そこで本市でも同様の対応を行えないか?と考え「100万円以下の金銭債権」「市営住宅の家賃等」の2点を、従来の事項に追加する議案を提出したのです。
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もちろん、なんでもかんでも市民を訴えろ!と言いたいわけではありません。
訴えの提起に至るまでに、電話や文書での催告や分納相談などは必ず行うべきですし、当局の事務の流れもそのようになっています。
どうしても支払困難な場合は不能欠損処理とし、お困りの市民に対して福祉的なアプローチをとる必要があります。
問題なのは、支払う能力があるにもかかわらず、支払っていない人ですよ。
そうした市民は公平性の観点から見逃すわけにはいかず、毅然とした対応を取るべきです。
現在の西宮市には、57億円以上の滞納金があり、財政上も大きな課題です。
当局が来年度から「標準的な債権管理事務モデル」を本格導入するため、これまで法的措置を行ってこなかった債権でも訴訟を提起する可能性が出てきています。
そのため、実務上の課題を解消するには、このタイミングしか無い!と思って昨年から調整を続けておりました。
一般質問なら、市当局vs自分の構図なので、市から有効な答弁を引き出すことに集中すればいい。
でも、これは議案なので、過半数の議員に賛同していただかないといけない。
特に議会という場所は、様々な思想や価値観を有した方の集まりですから…そうそう一筋縄ではいきません。
各会派の幹事長や無所属議員の方々に、お一人ずつ趣旨を説明し、ご理解をお願いする日々でした。
期数が最重視される政治の世界において、1期目の議員がこんな話を先輩議員に持ち掛けても、普通は鼻で笑われるか、適当にあしらわれるものだと思います。
しかし、幸い、西宮市議会では、多くの方が私の提案に耳を傾けてくださいました。
結果として賛否は冒頭に述べた通り「19:20」となったわけですが。
反対された会派や議員の方々の中にも、真摯に向き合ってくださった方がいらっしゃったことには、心から感謝しております。
心残りなのは、賛成してくださった皆さんのお気持ちにお応えできなかったこと。
力及ばず申し訳ございませんでした。
期待を裏切ったにもかかわらず、賛同会派の方々から「よく頑張った!」というお声がけをたくさん頂きまして…本会議後は、ありがたすぎて、内心泣きそうになってました。
本当に、ありがとうございます。
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悔しいけれど、落ち込んでいる暇はないので。
議会全体を巻き込んだあらゆる問題提起については、今後も続けていく所存です。
出る杭は打たれるけれど、出すぎた杭は打たれない。
今回の経験を糧に、さらに一回り大きくなることを誓って。
2021年3月23日の記録としておきます。