公務員のボーナスについて考える | 西宮市議会議員・たかのしん公式ブログ

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兵庫県西宮市の若手市議、鷹野伸(たかのしん)の公式ブログ。1990年(平成2年)生まれ・34才、政党無所属、現在2期目。日々、地元・西宮を奔走しています!

本日から12月議会がスタート。

タイトルの件について、私は総務常任委員会で以下の討論(意見表明)を行いました。

 

「会派・ぜんしんは議案278号・280号・279号に賛成いたします。しかしながら、先ほどの質疑で明らかになった通り、現在の社会情勢や本市の財政状況に対して、市の認識は極めて危機感を欠いています。今回の議案が人事院勧告に則るとはいえど、わずか0.05か月という削減幅は、本来、市民の理解を得られるものではありません。市長をはじめとする市当局は、コロナ禍で多くの市民が厳しい生活を強いられている現状を、改めて強く認識するべきです。本件のみならず、人事・給与制度に係る全般的な課題の整理、抜本的な改革に取り組むよう要望して、賛成討論とします。」

 

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国家公務員のボーナスは、民間の給与実態調査に基づく「人事院勧告」により支給月数が決定します。

公務員の給与水準を民間の水準と連動させようという趣旨のものです。

地方公務員は人事院勧告に縛られるわけではありませんが、多くの自治体がこの勧告に基づいてボーナスを決定しています。

 

支給月数は条例により定められるため、議会の議決事項。

そのため、12月議会に「ボーナスの支給月数を決定する」という議案が提起されるわけです。

 

ここ数年、上昇傾向にあった勧告ですが、さすがに今回は新型コロナの影響により約10年ぶりのダウン。

でも、その引き下げ幅が、わずか「0.05か月分」だったんですよね…

 

 

民間企業では、年収が3割減!ボーナスカット!なんて話もたくさん出ている。

そもそも職を失った方もたくさんいらっしゃる。

その中で、「0.05か月分」…月収30万円の職員なら1.5万円という引き下げ幅で「民間の給与水準と連動させる」ことができているのでしょうか?

私には、到底そうは思えません。

しかし市は、今回のボーナスを勧告に則った「0.05か月分」の減としたのです。

(ちなみに、議員は年度末まで報酬・ボーナスの15%カットを実施中です)

 

特に西宮市は、人件費の総額が中核市平均に比べて高いうえに、昨年度の決算で53億円もの基金を取り崩すような危機的な財政状況。

こんな時期だからこそ、人事院勧告以上の引き下げを実施するという選択肢も、十分に有り得たと思うのです。

 

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そうした背景から、本日、当局と行ったやり取りの概略は以下の通り。

 

(たかの)

勧告の妥当性に対する市の認識は?

 

(当局)

調査結果に基づいたものと認識している。

もっと引き下げがあるのではという見立てもあったが、結果として0.05か月となったもの。

 

(たかの)

「もっと下がるかも」と考えていたくらいなら、勧告以上の金額を引き下げるという検討も行ったのか?

 

(当局)

勧告と異なる判断をするなら、それなりの根拠が必要。全国を対象とした調査に基づく勧告に対し、本市独自の調査や判断を行うことは難しい。

 

(たかの)

民間の雇用・給与をめぐる環境の厳しさや、本市の人件費・財政状況は、「それなりの根拠」に該当しないのか?

 

(当局)

財政上の見込み、財源の根拠を明確にしたうえで取り組むべきだと考える。

状況により勧告と異なる判断を行うことは有り得るが、現時点で明確な根拠を出すには至っていない。

 

(たかの)

実際には具体的な進捗が見られないものの、市長は「退職金改革から始まる市役所改革」と公約に掲げ、自らの報酬削減を行政改革につなげる姿勢を示している。

特別職や管理職も減額を行っている今だからこそ、一回限りのボーナス引き下げであれば、職員の理解も得やすいのではないか?

 

(当局)

一時金も団体交渉の対象。財政状況に関する声もあるものの、現場の努力にこたえる必要もあり難しいところ。市民のご意見も得ながら、今後議論が進んでいくものと考える。

 

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このやり取りを受けて、冒頭の意見表明を行ったのですが。

正直、今回は個人的にも悩みましたし、会派内でも深く議論しました。

 

市民感覚と大きくずれていることは確信しているものの、勧告と異なる判断を行うことの難しさは、理解できないわけじゃない。

結果として、賛成はしつつ、厳しい意見を伝えるという判断に至りました。

 

公務員の給与水準について、絶対的な正解は有りません。

多くの職員さんは真剣に働いていて、そうした方々の意欲を維持・向上するには、給与も大きな要素であることは十分に理解しています。

なんでもかんでも「公務員の給料は高すぎる!カットしろ!」という論調は、あまり好きではありません。

 

一方で、その原資は皆さんが納めた税金であること。

それを効果的・効率的に用いていくために、人件費の問題が避けて通れないのも事実です。

市民の代表として審議を行う私たち市議会議員は、そのバランスを誰よりも意識しておかなければならいのだと思います。

 

…だからこそ、「もう一歩踏み込んでもよかったのになぁ」というのが正直な感覚です。

ずっと影響が出続ける基本給じゃなくて、一度のボーナス限りのことですし。

「コロナで民間も市の財政も大変。だから今回は協力して!」と正直にメッセージは出せなかったのかなぁ…

「勧告が0.05か月減だったから、西宮もその通りで」というのは、あまりに主体性を欠く判断に思えます。

 

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もやっとした感じになりましたが、今日はここまで。

引き続き、12月議会での審議に取り組んでまいりますm(_ _)m