衝突事故について思う事 | 氷上の語り部 ~高橋大輔さんを応援中~  

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大ちゃんへの思いを書いています。
日常感じた事もたまに書くかも♪

昨日行われたGPS中国大会で起きた選手同士の衝突事故について、多方面で話題になっている。
私も映像で見ていた一人だ。

何が正解で何が間違いなのか、そんなことは分からない。
ただ、思う事は多々ある。
自分の思いはどういうものだったのか、書き留めておこうと思う。

この記録をするにあたり、どのテーマに入れるか先ずは考えた。
と言っても多くのテーマを持っているブログでもないのだが。
大輔氏への思いを綴る時には「大ちゃん」へ、それ以外は「雑記帳」へ、それだけだ。
今回の件は大輔氏に全く関わりがないとも言えないわけで、けれども直接関わっているわけでもない。
少々悩んで「大ちゃん」からは外す事にした。
あくまでも個人の雑記であるのだから。

衝突事故は試合前の6分間練習中に起こった。
珍しく娘が我が家に来ており、共に観戦していたのだ。
一人ではなくて良かった、そんなふうに感じる事は普段少ないけれど、今回は素直にそう思った。
もし一人だったなら、気持ちのやり場に困っただろうと想像する。

人は本心と建前を少なからず持ち合わせているものだ。
一人でいると建前を考える必要がないから本心のみで考え突き進んでしまう。
だが、本心とは怖いもので、社会の一員としての理性をも失いかねない。
理性を持って述べなければ思いは暴走し、発する言葉も粗暴性を増す。
娘よ、一緒に居てくれて感謝する。

そう、理性をある程度保てたから、あの瞬間の思いを書き記さずにすんだのだと思う。
一日を費やし、多くの方々が発信する言葉を見聞きし、自分の思いを少しずつ整理する事が出来た。
だから、書き記そうと考えたのだ。

今回の衝突は、羽生選手とハンヤン選手に起こった事故である。
過去にも同様の事故を経験している他選手も少なくない。
何れもどちらに非があると明言する事は出来ないものだ。
リンク上に6名の選手が同時に入り、これから迎える本番に向けて集中し、戦いは既に始まっていると言っても過言ではない状況である。
その中にあっては他選手の動きを逐一見極め、安全を第一に考えて動く事など不可能に近いのではなかろうか。
それでも、各選手は今までの経験値(普段の練習中も何人もの選手がいる中で滑っているのだから)があるから、安全への考慮はしているだろうが、事故は起こる。
どちらが悪い、という問題ではないのだ。
言わばお互いが加害者であり、お互いが被害者である。
先に動く事が出来た方が軽症、なかなか起き上がれなかった方が重症、流血したから重症、流血していないから軽症、そういう問題でもない。

起きてしまった事故は仕方ない、「仕方ない」という言葉は語弊があるかもしれないが、「仕方ない」なのだ。
問題視しなければならないのは、起きてしまった事故の処理、である。

今回、選手が立ち上るまでに相当な時間を要している。
にも関わらず、救護者がリンクに入ってくる気配さえ無かった。
事故が起こった時点で、選手の状態を確認するため即座に救護者が駆け付けるシステムが確立されていないという事だ。
過去に何度も同様の事故が起きているにも関わらず、救護のシステムは改善されていない、その事実は大きな問題ではないのか?
同時に、同リンク上にいる他の選手への練習停止を告げるのが遅い、という事も気にかかる。
周囲を凄いスピードで滑っていく他選手達がいるのだ、二次的な事故に繋がらない保証はない。
例え軽い接触事故だったとしても、一旦練習を停止させるべきではないのか?
そういうルールは変更されないのだろうか?(採点などに関するルール変更は簡単にするのに?)
今更、ではあるが、それでも考えるべき問題だと思う。

衝突事故では目に見えない身体への負担がある事は容易に思い付く。
目に見える傷による流血などより、はるかに重い症状に移行する場合がある。
後遺症に悩まされ続ける事だってあるし、最悪生命にかかわる事だってあるのだ。
軽視してはならない。
なのに、である。
ようやくリンク外に引き挙げた選手を運ぶ担架の用意もないのか?と不思議に思う光景が映し出されていた。
驚きを通り越して呆れてしまう。

ドクターの診察は当然なされただろう、この部分は信じたい。
応急処置、簡易診断は下しただろう、これもまた信じたい。
だが、それだけで「大丈夫」と言い切れるものでもないと思うのだ。
本人は今まで積み重ねて来た努力の成果を見せる場にいる、国家の代表という意識もあるだろうから試合に「出る」「出たい」思いしかないのではと推察する。
自分の身体だから自分が一番分かる、と言うかもしれない、でも違う。
アクシデントにより妙なアドレナリンが放出されて的確な判断が出来なくなっている可能性の方が高い状況だという事を忘れてはならない。
本人の意思より何より、今後の長い将来を考慮すべきだと考える。
棄権する勇気と決断を下す第三者が必要なのではなかろうか。

第三者はコーチでも身内でもなく、連盟であるべき、私はそう思う。
本人の「出たい」との強い思いが分かり過ぎる存在の第三者ではいけない、なぜなら本人と共に辛い練習の日々を過ごしてきたのだ、気持ちを優先しかねないからだ。
けれども、現状では連盟にそうした規定は設けられていないようだ。
設けられていない以上、本人の意思を通せるわけで、貫いての出場だったという事だ。

ここまで、連盟は何をやっているのか?的な事を述べてきたけれど、本人やコーチ陣は全く悪くない、とも思っていない。
棄権しないと決めたのは本人とコーチ陣なのも事実だ。
誤解されるのを承知で一言で言ってしまえば、今後どのような後遺症が残ったとしても「自己責任」でしかない。
出場を強行した以上、勿論その辺は承知の上だと思う。
本人はそれで良いかもしれない、けれど、怪我をしても棄権するという決断をしにくい状態を作ってしまった事には気付いているのだろうか?
その状態を作り出したのは本人だけではないが・・・。
解説者然り、レポーター然り、メディア然り、マスコミ然り。
あの状態で出場した事に対し、勇気がある、意地をみせたなどなど称賛するような発言を繰り返し美談に仕立て上げようとした罪は大きいと思う。

コーチ陣に対して思うのは、選手の「今」だけでなく「将来」をも見据えて見守り大切に考えているのか?という事だ。
本人の「大丈夫」を信じただけ、ドクターの簡易判断を信じただけで良かったのか?
長い先の人生を真剣に考えているのであれば、棄権させる選択もあったのではと思ってしまう。
選手の今しか見ていないなら、意思を尊重し出場させる結論に至ったのも頷けるのだけれど。
もし、そうなら選手本人にとっても残念な結果と言わざるをえない。
信頼しているコーチが今の自分にしか興味がない、という事だから。

そうそう、忘れてはいけないのは同じリンクにいた他の選手も被害者である、という事だ。
試合前にあんな事故を見せられ、普段とは違う状況の中で戦わざるをえなかった選手達。
動揺していないはずがない。
それでも、懸命に戦い出来る限りの力を出した彼らを讃えたいと思う。

けれど・・・。
彼らのやる気は持続出来るのだろうかと思ってしまった。
金メダリストとなった選手、今回の当事者である選手の点数が出された時に・・・。
同情点と揶揄する発言もあちこちで見かけた。
でも、もしそうなら相手の選手は?と考えてしまうのだ。
正直なところ、申し訳ないが、あの点数に見合う感動は得られなかった。
そして衝撃的だったのは娘の言葉だった。
「結局、何回転んでも優勝しちゃったりするんでしょ」
まさか・・と思いつつ「有り得るかも」そう思ってしまった。
過去、何度もそんな場面があったのを思い出す。
さすがに優勝はしなかったが、納得行く点数ではなかったのは事実。
こんなふうに感じてしまう競技であることを非常に残念に思う。

今回の事故に対して思った事は概ねこんなところ。
というか、言えばキリがないようにも思っている。
まぁ、何をどう言っても、放映された映像や報道された内容を見て感じただけのこと。
実際のところは何も知らないのだから、所詮は戯言でしかない。
それでも、色々考えさせられた出来事であることは間違いない。
そこのところを、本人もコーチ陣も連盟も真摯に受け止めてもらえたらと願う。

最後に、両選手へ
心身共に後遺症が残る事なく回復されますように。