医学がつくる
原因不明の病
原因不明の病ゆえの怖れ
働き盛りで病気知らずだった会社員、赤星健介さん(仮名30代)のお話から
させていただきましょう。
健康には自信があり、体調を崩すといっても数年に一度風邪をひく程度で、病
気らしい病気はしたことがない。
健康だけが取り柄だという赤星さんは、会社の健康診断も必要ないと、ここ3
年は検診を受けていませんでした。
体力には自信があると自負していた赤星さんでしたが、仕事がたてこんで2ヶ
月ほど毎日のように残業が続いた時期がありました。
さすがに仕事のストレスがたまりはじめていた2013
年 月初旬、手足に違和感を感じるようになります。
はじめは手足に奇妙なほてりを感じる程度でしたが、2週間後にしびれと痛み
に変わり、やがて朝晩には手足の関節がこわばって動かなくなっていきました。
1ヶ月が過ぎたころ、微熱のせいか頭は重苦しく、背中と肩はまるで鉄板が入っ
ているかのように凝り固まって、日に日に症状は悪化していきました。
インターネットなどで調べてみると膠原病やリウマチの症状が疑われるため、
近くのクリニックから紹介された病院で検査しましたが、はっきりとした診断は
もらえませんでした。
その病院でさらなる精査が必要といわれ、連携している基幹病院で詳細にわた
る血液検査、CTスキャン、内視鏡検査、脳のMRIなど全身をくまなく検査し
ました。
しかし数値的には、調べたどの部位もいずれの機能にも、「異常なし」との結
果が出て赤星さんは『原因不明の病』とされてしまったのです。
手足のこわばりを少しでも改善させたいと考えた赤星さんは、マッサージや指
圧、カイロプラクティック、電気療法とさまざまな治療法を試みましたが、思う
ような効果は得られませんでした。
発症から1年が経つころには、疼痛レベルはさらに増して全身におよび、とく
に手足の関節には激痛が走ることもあり、歩くことさえままならなくなってし
まったのです。
病院から処方された抗炎症剤やステロイド剤によって、痛みをどうにか抑えな
がら生活していましたが、薬物療法の副作用で肝機能の指標数値は基準値を超え
てしまいました。
赤星さんはやむなく会社を休職。痛みのあまり日常生活もままならないため1
日中寝て過ごし、ひたすら薬物に頼る日々を1年ほど過ごしたのです。
彼を苦しめた「原因不明の病」は、なんの前触れもなく突然のように発症し、
急速に状態が悪化していきました。
それまで、赤星さんは自分の健康に対してひとかけらの疑念も持っていなかっ
たわけですから、まさに青天の霹靂。
病気にからだの自由と仕事を奪われ、人生の崖っぷちに立たされたとき、どん
なにあせりと不安を感じたことでしょう。
病名がはっきりすれば治療方法は明確になります。
治療の方向性が明示されれば、病との闘い方や目標も見えてきます。
しかし「原因不明」と断定されてしまったことが、赤星さんの不安をいっそう
かき立てたことは想像に難くありません。
痛みなど強い症状を抱える患者さんにとって、この不快な症状はいつまで続く
のだろう……という先の見えない思いは恐怖心につながります。
赤星さんの場合は、いくつかの病院を渡り歩いたのちに、漢方医に巡り会いま
した。
その漢方医によって赤星さんは、「.血(血液中の毒素のよどみ)」および「脾
虚胃実」という東洋医療的な病気の原因を見いだされ、それを改善する漢方薬を
処方されてから快方に向かいます。
漢方薬の処方をされてから、およそ3ヶ月で痛みは3分の1まで減少し、いま
だ多少の疼痛は残るものの職場復帰するまでに体調は回復したのでした。
しかし、赤星さんの病気は西洋医療的にはいまだに「原因不明」です。
3500万人が患う原因不明の高血圧
自分を苦しめている痛みや不快症状の原因がまったくわからない、いくつもの
医療機関で原因不明と言われた……。
薬物療法をはじめ、さまざまな治療法を試みているけれど、改善どころか症状
がますます悪化してしまった。
そんな受け止めきれない現実に、病を克服するという希望を失いかけている方
がじつに多いのです。
なぜ専門の医療機関で検査を受けても、病名はもちろん、症状の原因さえわか
らないのでしょうか。
糖尿病・高脂血症・メタボリックシンドローム・高血圧といった生活習慣病は、
予防医学の観点からも注目されていますが、現代医療において、たとえば高血圧
はその9割が原因不明とされています。
つまり、症状を引きおこす具体的な理由がほとんどわからないのです。
高血圧には大きく分けて「続発性(二次性)高血圧」と「本態性高血圧」の2
つの種類があります。
続発性(二次性)高血圧は、検査で明らかになった病気が原因による症状のひ
とつとしておこりますが、その頻度は低く、高血圧全体の1割程度です。
そして残りの9割を占めるのが、本態性高血圧です。
生活習慣や遺伝など数多くの要素が複雑にからみあっているため、原因を明ら
かにできない高血圧のことを指します。
高血圧患者は全国に約3900万人いるとされていますから、本態性高血圧、
つまり「原因のわからない高血圧」を患う方は、およそ3500万人にものぼる
ことになります。
現代の医療における高血圧の治療法は、降圧剤などの薬物療法が主流です。
しかし本態性高血圧の薬物療法は、病気の原因を解消する治療ではなく症状を
抑える対症療法にすぎません。
わが国は最先端医療の分野では世界水準に達しており、臨床の現場では大きな
施設格差はなく、マニュアルどおりの検査・診断・投薬が実施されています。
しかし残念ながら、患者の病気に本態性や原発性という病名がついたとたんに、
医師は原因解明の意欲を失ってしまい、マニュアルどおりの対症療法を施すのみ
■原因不明の病気・本態性、特発性、原発性の代表的病名
意味病名
本態性
原因不明であるが、特定の症状や病
態を示す状態。
本態性高血圧、本態性高体温症など。
特発性
特別な原因が見あたらないのに発病
する疾患を指す。
特発性肺線維症、特発性造血症、特
発性心筋症など。
原発性
発病原因が特定の臓器や器官の障害
にあることが明確な病気のこと。
脳腫瘍、原発性肝がん、原発性肺高
血圧症など。
●原因不明の病とは
・ 各種検査や特徴的な症状などから病名の特定はできるの
だが、原因が判明しておらずその病態名がつくと確実に
「原因不明」とされてしまう病のこと。
・はっきりとした症状はあるけれど病名はわからない「原
因不明」の病のこと。
となるのです。
病の根本原因を解き明かす
私は臨床医として、医療現場でさまざまな症状に悩む患者さんたちと接してき
ました。
自らの経験から思うことは、患者さんが望む医療と、医療者側が提供する医療
との間にはときとして大きなギャップがあるという事実です。
病の原因がはっきりしないにもかかわらず、「とりあえず、お薬を出しておき
ましょう」と処方箋を渡される。
そんな医療のシステムは、患者さんに強いストレスと不安を与えてしまいます。
痛みを取り除いてほしい、症状をやわらげてほしいとの願いは患者さん共通の
ものですが、病の原因を明らかにして健康を取り戻すことが叶わなければ、患者
さんが本当の安心を得ることはできません。
「原因はわからないが、薬は出します」という医師の言葉はあまりに無責任で
あり、患者さんにとって新たな不安を招くことになります。
双方が信頼関係を築ける医療を実現することは、痛みや症状を抑えるための薬
物治療だけでなく、医療者側が病気の真の原因を探ろうとする意識を高めること
からはじまります。
現代医療における根本的な問題は、各科が分断された従来の「縦割り医療」に
あります。
たとえば手や足に不調が表れて整形外科を訪れ、その症状を引きおこした原因
が内臓にあった場合、専門が違うために見落とされてしまう可能性があります。
いうなれば「木を見て森を見ず」の医療者側の意識が、原因不明の病気をつく
り出しているといっても過言ではありません。
つまり原因がわからないまま投薬治療がはじまってしまうのは、「縦割り医療」
の弊害なのです。
仮に「病気の原因は特定の臓器にあった」と判明したところで、その部位を治
療すれば病気は完治するのでしょうか。
私は、目に見える原因にとどまらず、病気に影響したと推測される患者さんの
精神状態や生活環境までを視野に入れ、すべての原因を排除することが医療のあ
るべき姿だと思っています。
そのような医療を、患者さんも真剣に求めています。
すべての病気の原因をつまびらかにすることは容易ではありませんが、総合的
見地からの緻密な問診と、生体情報を収集する先端医療機器と古くから実施され
ている伝統医療の脈診・腹診・舌診を用いることで、病気の原因を徹底的に探る
ことは十分に可能です。
歯科と鍼灸治療にたずさわり、「全人」を診る医療の必要性を痛切に
感じた私は、医学部に再入学して医師免許を取得しました。
理想とする医療を実現するには、歯科と医科はもちろん、医科各科の垣根を取
り払わなければなりません。
すべての病気の原因を明らかにする和合医療を掲げる私のクリニックには、
「医療の新たな可能性」を求めて、じつにさまざまな症状の患者さんが訪ねてきます。
原因不明の病を患い、なんの解決策や希望を見いだせないまま対症療法として
10の投薬を続け、副作用などで症状が悪化した方も多々来院されています。
そのような患者さんは、みなさんいくつもの医療施設を巡るうちに、何度も
繰り返して「原因不明です」と宣告され、なかば「治る希望」そのものを失いか
けているのです。
従来の医療構造がもたらした「原因不明の難病」に対して、私たちが提唱して
いるのが『和合医療』です。
私のクリニックで取り組んでいる「和合医療」は、現代科学の範疇を超えた方
法も駆使して病気の根本原因を探る意図を強く持ち、医療の質を高めるためには
欠かせないシステムになるとの思いを持っています。
「縦割りの医療」から「横つながりの医療」に発想を変えて、ひとり一人の患
者さんと真剣に向き合い、病気の根本原因を探ることに集中する。
それが和合医療の検査です。
そして、原因を探り出したら徹底的に除去する。
この2つが患者さんの自ら有する自然治癒力を引き出す和合医療の治療の理念
です。
和合医療では、検査の数値や目に見える症状だけにとらわれることなく、から
だと心、さらにからだとからだの連関を診断して総合的な治療戦略を立て、全人
医療を実施します。
医学のジャンルを超えて病をとらえる和合医療的検査
明治維新後に欧米から導入された西洋医学は、解剖学や生理学を中心に発達し
た科学的な医学であり、当時としては先進的な技術でした。
現在でもレントゲンや画像解析など医療機器を用いた検査方法が確立されてい
るため、病の原因を探るにはすぐれた医学といえるでしょう。
では、どうして原因不明の病気とされる患者さんがこれほどまでに多いので
しょうか。
西洋医学的アプローチを中心とする現代医療では、患者ひとり一人のからだと
心を全体として診ることはせず、「ひとつの病気にはひとつの物質的原因が対応
している」との特定病因論を基本にしています。
つまり、病気の原因はすべて物質的なものととらえ、検査の数値に表れない、
もしくは物質的変化以外は病気と見なさないのです。
画像や検査データといった目に見える形で原因が見いだせないケースでは、患
者さんがどんなに痛みや不調を訴えても、対症療法で症状を抑える以外に治療す
る手立てはなくなってしまいます。
一方和合医療では、患者さんの個別的な症状にフォーカスして治療や施術を
行っていきます。
中国やインド、日本などの伝統医療では、
「心身一如」という考え方を基本とし、
心とからだを一体としてとらえます。
当然ながら、からだは各部位や内臓、骨格などの部品の寄せ集めなどではなく、
ひとつの有機体ととらえるのです。
なにかの症状が出れば、その部分だけを調整するのではなく、心を含めたから
だ全体(有機体)の調整をはかることを重んじます。
和合医療のとらえ方においては、陰陽のバランス、臓器と経絡の働き、気・血・
水の巡りなど、すべての要素がよどみなく循環している状態を『健康』と定義す
るのです。
病の原因を「外因性」ととらえている西洋医療に対し、東洋医療では体質の悪
化やエネルギー・バランスの崩れなど「病の原因はその人自身の内にある」と考
えます。
つまり、外因は病がおこったきっかけにすぎないのです。
病気を診るのではなく病人を診る、病気を治すのではなく病人を治すといわれ
るように、和合医療では複眼的な見地から病の原因を探ります。
そして、検査の数値に表れない症状にも対応します。
鍼灸や漢方などの治療法では、病気を引きおこしている根本原因である気の流
れのアンバランスを正し、自己治癒力を高めることでエネルギー・バランスを整
えて、体調を改善させていくのです。
エネルギーという言葉が出てきましたが、このエネルギーは東洋医療では「気」
と表現することもあります。
西洋医療では科学的に立証できないものとして扱われますが、最近ではエネル
ギー(気)をはかるテクノロジーが発展し、少しずつではありますが臨床医療に
応用される機会も増えてきました。
その代表格が、医学先進国ドイツ発祥の「バイオレゾナンス・メソッド」です。
「バイオ」とは生体、「レゾナンス」とは共鳴の意味があり、波動療法という呼
び名でも認知されています。
有機・無機にかかわらず、すべての物質は固有の周波数で振動(波動)してお
り、逆にいえば、その振動(波動)によってすべての物質は構成されています。
バイオレゾナンス・メソッド、つまり波動療法では、人間が発する波動と外部
から発せられる波動を共鳴させることで、病の原因診断を行います。
さらには自己治癒力を引き出して異常な波動パターンを正常な状態へ戻し、症
状を改善させるためにも役立つのです。
ドイツでは自然療法や民間療法の枠を超え、多くの医師が波動の持つ可能性を
信じてバイオレゾナンス・メソッドを取り入れ、一部は保険診療も適応されてい
るといいます。
和合医療は東洋哲学を礎にして、これら多種多彩な医療の方法論をくまなくシ
ステム的に和合させて、臨床の現場で活かすものです。
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