<2023.9.3再掲>
<2023.9.1記事>
2023年8月25日から公開されている映画『春に散る』(主演/横浜流星・佐藤浩市)を8月30日に観た。
ストーリーのメインは佐藤浩市演じる広岡仁一と横浜流星演じる黒木翔吾との、言ってみればボクシングを通した師弟の心の在り様、ぶつかり合いと分かり合い、深まり、つまりその絆にあると感じた。
公開中のため、そう感じた具体的なシーンの説明は避けるが、観ながら、松山千春と恩師・竹田健二さんの二人三脚がオーバーラップしてきた。
松山千春が恩師・竹田健二さんと歩んだ約2年少々の出来事や二人の強い絆は、松山千春の自伝「足寄より」をはじめとして、「足寄より」を映画化した『旅立ち~足寄より~』(2009年)、さらには折に触れて松山千春本人が何度も語る内容などから知ることが出来ている。
竹田健二さんは急性心不全で1977年8月27日、36歳の若さで急逝されている。文字であり、松山千春が書いた自伝では表現することができないが、映画『旅立ち〜足寄より〜』には、竹田健二さんが心臓の痛みを覚えるシーンが二度入っている。
竹田健二さん(萩原聖人)左と松山千春(大東俊介)右
映画『旅立ち~足寄より~』のストーリーの中でその二度のシーンが生み出されたと思うが、当時実際に竹田健二さんの身に、その予兆としての痛みやそれによって休息する場面などがあったのかも知れないことは想像がつく。
映画『春に散る』の中にも心臓疾患を抱える広岡仁一(佐藤浩市)が痛みにもがいたり、倒れるシーンがある。
2022年6月26日放送の「松山千春 ON THE RADIO」の中で、竹田健二さんを偲びつつ松山千春が語っていた。
「(1977年)8月27日、竹田さんと別れる日が来てしまいました。あまりにも早死にでした。松山千春21歳、竹田さん36歳。今考えてみれば、何とかならなかったのか…ってつくづく思います」
「何とかならなかったのか」…まったくそのとおりで、これが松山千春の竹田健二さんへの思いのすべてだろうとも思う。
「田舎者の生意気な若造・松山千春」(松山千春本人談)と真正面から向き合い、時にぶつかり合い、時に厳しく叱り、時に褒め、時に許しながら、松山千春の才能を何としても伸ばしたい、松山千春を世に出したいと願う竹田健二さんの揺るがぬ思いひとつだった。
映画『春に散る』の広岡仁一(佐藤浩市)も、黒木翔吾(横浜流星)を何としても世界チャンピオンにしたい、チャンピオンベルトをまいた翔吾を見たい一心だった。そして自身の人生の総仕上げとして、自身がやり残したことを翔吾に託していた一面もあった。
映画『春に散る』の主題歌はAIが歌う「Life Goes On」。ストーリーと一体化しまとめ上げていた。
AI「Life Goes On」(Official video)
映画『春に散る』後半から、広岡仁一(佐藤浩市)を観ながら、私の中に歌が流れ始めた。松山千春の「勇気ありがとう」
松山千春が父の死期を感じた時に作った歌で、父の人生を称え、父の生き方を見て湧いてきた「どんなものにも負けない勇気」、父に「勇気ありがとう」と歌う。
こんなことは誰も思わないだろうけど、広岡仁一(佐藤浩市)をイメージする挿入歌として松山千春「勇気ありがとう」、スクリーンから流れてきたらどれほど感動するだろう。
【映画】旅立ち~足寄より~【予告編】