<長渕剛 散文詩 全文>

 


母ちゃんの海 宮ヶ浜

新しい指宿市が 生まれた。
私は、幼い頃、母ちゃんと宮ヶ浜の海で思いっきり泳いだ。
そして、小さな魚になって、はしゃいだ。
きれいな きれいな 海だった。
母は、幼い私を肩にのせ、スイスイ 泳いでみせたり
ジャンプしてみせたり…。
若き母の白い柔肌のぬくもりが、たまらなく優しかった。
ずうっとずうっと いつまでも そこに いたかった。
浜の西に沈む夕陽が 赤くゆれていた。
やがて指宿・宮ヶ浜の海は 黄金に変わった。
今でも時々 私は 鹿児島に帰る。
そして、浜の海岸に座る。母ちゃんが生まれた海は、
いつも ないでいて、あの時のまんまだ。
大好きな 母ちゃん。大好きな 海。大好きな 宮ヶ浜。
大好きな 指宿は、私の原風景そのものだ。
熱く 白き噴煙たちこめる 指宿の湯の里と
私の血脈がドクドク流れ生き続ける指宿の兄弟たち、
今、心から『おめでとう』を言いたい。
そして、『ありがとう 母よ!海よ!指宿よ!』

平成十八年一月一日
長渕 


_
 

長渕剛さん「指宿は、私の原風景そのものだ」…詩を刻んだ石碑、母親の出身地の海岸に  2023年5月31日読売新聞(西部版)

 

 

 鹿児島市出身のシンガー・ソングライター、長渕剛さん(66)の詩の石碑が指宿市西方の宮ヶ浜海岸に建てられた。長渕さんの母親が指宿出身という縁で、長渕さんが幼少の頃の思い出をつづった散文詩を刻んでいる。
 詩のタイトルは「母ちゃんの海 宮ヶ浜」。旧指宿市と山川町、開聞町が2006年1月に合併したのに合わせて地元に贈られた。「私は、幼い頃、母ちゃんと宮ヶ浜の海で思いっきり泳いだ」と書き出し、「母の白い柔肌のぬくもりが、たまらなく優しかった」「指宿は、私の原風景そのものだ」とつづっている。
 合併当時、宮ヶ浜地区の公民館長だった上野秀一さん(79)が、何らかの形で残したいと、長渕さんのファンに呼びかけて寄付を募り、台座を含めて高さ1・7メートル、横1・7メートルの石碑に刻んだ。
 除幕式が3日行われ、ファンや同市の打越明司市長らが参加。指宿商高の生徒らが詩を朗読して花を添えた。上野さんは「剛さんには熱烈なファンが多い。地域おこしにつながれば」と期待している。

_

 

長渕剛-「かあちゃんの歌」

 

 (2023年5月3日 20:51 南日本新聞)