日本経済新聞(夕刊)連載「あすへの話題」
今日(6月25日、金曜日)は執筆者のひとり、THE ALFEEの高見沢俊彦さんの担当日。
高見沢さんの第25回目。いよいよ今回が最終回。テーマは「本領発揮」。
(写真:日刊ゲンダイ)
「コラムも今日が最終回。毎週の締め切りから解放される安堵感はあるが、一抹の寂しさもある」…まったく同じ心境。毎週金曜日のこのコラムがなくなると思うと寂しくなる。当初は毎回ブログに掲載するとは思っていなかったが、読んでいるうちに文章を通して高見沢さんの人間的な温かさに魅かれ毎週読むのが楽しみになり、全回掲載した。
「ALFEEの辞書には解散の二文字はない。鬱陶しい日常を打破するには、それぞれが自分で決断し、現実に耐え、今日を越えて、一歩ずつ前に進むしかない。人生は一度きり。でも、やり直しは何度でも可能なのだ。
2021年の夏。感染対策を万全に、我々は本領発揮出来る場所へ帰る決断をした」
―コラム最終回の〆にふさわしい言葉。
25回、お疲れ様でした。
本領発揮――ミュージシャン高見沢俊彦(あすへの話題)
2021年6月25日 日本経済新聞 夕刊
コラムを担当させて頂いてから、毎回テーマを決めて書くのですか?という質問をよく受けた。色々ですと答えてきたが、実際は殆(ほとん)どテーマを決めて書いた事がない。ギターで例えれば、新曲のイントロをいきなりアドリブで弾くようなものだ。以前は頭の中でああでもないこうでもないと、テーマ探しに無駄な時間を費やしていたが、このコラムに限っては自由度100%をモットーに、その場で思いついたテーマで書き進めてきた。決めずに書く事に慣れたのか、最近では小説や歌詞などわりと楽に言葉が浮かぶようになってきた。これこそ「あすへの話題」効果に違いない。
そんなコラムも今日が最終回。毎週の締め切りから解放される安堵感はあるが、一抹の寂しさもある。心残りはコロナ禍によって春のツアーを断念せざるを得なくなり訪れる予定だった街の話題を書けなかったこと。当たり前のように乗っていた新幹線や飛行機を、この一年半の間乗っていないこと。筆者は意外に乗り物好きだ。
この半年は執筆がメインの日々だったが気の抜けたビールのような脱力感がつきまとう。コロナ禍によるコンサート活動自粛が原因だろう。もしも、バンドが活動停止したり、解散したりしたらこういう状態が毎日続くって事なのかもしれない。幸いALFEEの辞書には解散の二文字はない。鬱陶しい日常を打破するには、それぞれが自分で決断し、現実に耐え、今日を越えて、一歩ずつ前に進むしかない。人生は一度きり。でも、やり直しは何度でも可能なのだ。
2021年の夏。感染対策を万全に、我々は本領発揮出来る場所へ帰る決断をした。
2021・6・25
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