世田谷パブリックシアターで、チェルフィッチュの『消しゴム山』を観てきました。

 

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昨年、チェルフィッチュの『宇宙船イン・ビトウィーン号の窓』を観たのですが、心に引っかかるものが多い作品でした。

【観劇記録】チェルフィッチュ『宇宙船イン・ビトウィーン号の窓』

 

さらに!!

チェルフィッチュの演出家 岡田さんが、私の大好きな東京芸術劇場の芸術監督に就任されるという大ニュースが!!

私は現在の芸術監督野田さんの作品も大好きなので、これは歓迎してよいのかどうか(といっても既に決まったことだけど)

そもそもチェルフィッチュを、岡田さんを、どう評価したら良いのか。。その確認もしたくてチケットを取りました。

 

何よりも今回は、舞台上に日本語字幕がある、というのが観に行く大きなきっかけになりました。(宇宙船イン・ビトウィーン号の窓の時は台本貸出でした)

 

 

劇場に入ってまず目をひかれたのは、

モノが所狭しと並ぶ光景。(撮影可)


一つ一つのものは意味があるものにも関わらず、舞台のあちこちに置かれることで、意味が全く分からないものになっていて、これから何が始まるのだろうとワクワク!

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中央に英語と日本語の字幕が表示されています。

 

 

『消しゴム山』は、何とも言えない不思議な舞台でした。

複数の短編が連なるもののストーリーと言えるものはなく、

人とモノがあちこち動きまわり、そこにいない人までも語り出す・・・観る人の感性が問われる作品なのかもしれません。

 

途中から自分の頭がグネグネとこねくり回されているような感覚に襲われました。


最後には誰も見ていない景色を観客が観るという、不思議な空間が生まれていましたが、その誰も見ていない景色は、何故か涙が出てくるほど美しくて!それだけで観て良かった~と思わされるものがありました。

 

この作品は東日本大震災をきっかけに作られたそうです。改めてタイトル「消しゴム山」を振り返り、消しゴムとは何なのか、思いを馳せました。

 

  観賞サポートについて

 

舞台上字幕あり。

申し込みの際に聞こえないことを伝え、

「字幕と役者の両方が観やすい席を」と希望しました。

 

舞台上に字幕がある場合、

席によっては非常に観づらいことがあります。

 

例えば・・・

大きな劇場で左右の舞台袖に字幕がある場合。

前方の席では字幕と役者を一度に観ることができないことがあり、常に首や目を左右に動かしながら鑑賞することになります。


また、舞台の上方に字幕がある場合も、役者と字幕の距離が離れていると、常に首や目を上下に動かし続けて観ることになるため、疲労が大きいです。

 

今回は舞台の上部に字幕がありましたが、割と役者との距離が近かったこと、またお席の位置も非常に観やすい席を用意して下さっていました。

 

更に、何も言わなくても台本を貸し出してくださったのが、とても良かったです。

 

実は、この作品の台詞は普通の日常会話ではなく、

さらに、舞台上字幕は表示できる文字数に制限があるため、長文は細切れになり、意味を掴むのが難しいと感じることもありました。

(とはいえ、字幕がないよりもある方が断然良いのですが)

終演後に台本を読むことで、理解しやすくなり助かりました。

 

ただバリアフリー日本語字幕ではないので、字幕になるのはセリフ部分のみです。流れている音の情報をどうやって得るか、、そこが課題だと感じました。

 

 

以前、ろうの友人がこの作品を観た時は、すごく良かったって言ってたんですよね、、、。


調べたら、2020年の公演ではバリアフリー日本語字幕だったのか!

うーむ。。。

なぜ今回は、音情報がない日本語字幕になったのだろう。何かしら理由があるのだと思いますが、ちょっと残念。

 

 

 

他にもリラックススペースを用意するなど、

様々な鑑賞のサポートを用意されていました。

 

 

 

次回公演は何があるのかなーと見てみたら

…英語字幕のみ、らしい。

 

チェルフィッチュに、観賞サポートのお礼とともに、次回も日本語字幕をつけてほしいと要望を送りました。


様々な取り組みをされていることは素晴らしく、

これからも、聞こえない観客のアクセシビリティを考慮した作品作りを、そしてバリアフリー日本語字幕対応が継続されることを願っています。