2022年もあと少し。

沢山の舞台作品に夢や希望を頂きました。

また、大きな問題が起きたことで前進できた1年でもありました。

今年の印象に残った観劇と鑑賞サポート、そして著作権問題についてまとめてみました。

 

  ​2022年1月から4月の観劇

 
初観劇は1月2日、関西に遠征。
舞台には鑑賞サポートがありましたが、著作権のために13曲の歌詞情報が削除され、
何を歌っているのか全く分からず…悲しみと共に始まった2022年の観劇でした。
(この件は記事の後半で書きます)
悲しみの中の希望は、帝国劇場が台本タブレットを導入したことでした。
2021年に『レ・ミゼラブル』を観た後、帝劇の副支配人さんに鑑賞サポートについて直接ご相談。
その後も何度も何度も何度も掛け合っていたら、導入されました。
 
帝国劇場における観劇でセリフや歌詞がその場で読めたのは初めてのこと。
 笑う男は本当に楽しかったです!
真彩ちゃんのデアが歌うシーンは涙、涙…
去年のレミゼでは得られなかった感動でした。
 
 
1月に、著作権のために13曲の歌詞が削除されていた作品を、東京でもう一度観たら13曲中9曲の歌詞を読むことができました。
今まで関西公演で出なかった歌詞が、東京で出るようなことはなかったので、希望を感じました。
しかし残りの4曲は、鑑賞サポートに利用するための許諾が下りませんでした。。
 
 
主人公たちが自由、正義を求めて戦うストーリー。
ルイマキセの女闘士が素晴らしかったし、フランク ワイルドホーンの楽曲も良かった。
舞台(著作権問題)で辛かった気持ちが、舞台によって少し救われたような思いでした。

 

  ​5月から8月の観劇

 
2021年『ポーの一族』の時に、今後は梅芸主催舞台でもタブレットを導入したいとおっしゃってくださってから約一年。
梅田芸術劇場がバイオーム』で台本タブレットを導入
宝塚を退団された上田久美子先生が書かれた世界に衝撃を受ける。
来年のウエクミ演出オペラも楽しみです!!

 

 

宝塚月組『Rain on Neptune
セットも演者も衣装も全てが美しかった舞台。
一般アーティストの楽曲が多用されるコンサート形式の舞台で、著作権は大丈夫なのかと気をもんでいたのですが、なんと全ての歌詞が出ました。

 

 

特に印象的だったのは、日本劇作家協会のシンポジウムで上演された再起動の夜』。

公募で決まった戯曲に舞台手話通訳と字幕が付き、ストーリーもとても面白かったです。

 

これまでは、きこえない観客がこの作品が観たい、サポートをつけてくれと声を張り上げて頑張らなければなりませんでした。

しかし日本劇作家協会のシンポジウムは、舞台制作に携わる方々がアクセシビリティに関心を持って企画されており、これはとても喜ばしいことでした。

 

 

実はこの時期、申し訳ないのですが、字幕付きの舞台にはあまりいい思い出がありません…。

 

・字幕の文字が小さすぎて読めない

・字幕メガネが重く、視界は白いベールがかかったようで生の舞台が綺麗に見えない

・字幕席が遠すぎて役者の表情がみえず、台詞に込められた感情が理解できない

 

意見を送らなければ次も同じかもしれません…

観るたびに意見を送りました(疲)ネガティブ

 

  9月から12月の観劇

 

神奈川KAAT夜の女たち

やっぱりミュージカルは最高!(字幕メガネは微妙だったが…)

この前NHKの字幕放送でみた『ドクター・ホフマンのサナトリウム』も面白かったし、神奈川KAATの舞台はこれからもチェックしたい。

 

 

ヨーロッパ企画の舞台あんなに優しかったゴーレムに要望を出したら、字幕がつきました。
家族と一回、友達3人で一回観劇。
あちこちで面白かったと感想を言っていたら、他の友達も観に行き、感想を寄せてくれた。私は舞台を観るという体験を誰かと共有するのが好きなのだと思った。
舞台は爆笑に次ぐ爆笑。やっぱりヨーロッパ企画の舞台は凄い!
 
 
エリザベート』愛希れいかさん回。
何もかもが素晴らしく、幸福感にあふれている舞台でした。今も瞼を閉じれば思い出せるほど。今回観たのは東宝版ですが、宝塚を好きになったきっかけとなった作品でもあり、本当に特別な舞台でした。
 
 
憧れの唐組で 台本タブレットと共に秘密の花園観劇。
唐十郎さんの書く言葉、ストーリーは天才的だし、スタッフさんのあたたかいサポート対応も素晴らしかった。
 
 
『CHICAGO』映画公開から20年越しで、この舞台を観たいという夢が叶いました。
楽しかったです💕 

 

  まとめ

 

2022年の観劇回数 は
 
・字幕 9回
・タブレット台本 15回
・字幕+舞台手話通訳付き 1回
 
合計25回。(配信は除く)
 

観たいと思った全ての舞台が、鑑賞サポートつき、

又は交渉することで新たに鑑賞サポートがつきました🙌

 
 
実は著作権による歌詞削除がトラウマで、舞台を観たいという気持ちが薄い1年でした…。
観る予定の舞台が直前で中止になってしまった方が、今後は遠征するのが怖いとおっしゃっていたことがありますが、まさにそんな気持ちでした。
 
 
ただ、帝国劇場、梅田芸術劇場で、
①関係者と周りの客の理解、②端末購入、③著作権という3つの壁をクリアして、観劇しながら読めるタブレットが導入されたことは何より嬉しいです。
 
最初はタブレットを提案しても、関係者からは“盗撮と間違えられるから難しい“などと言われていました。
自動で出てくる字幕ではないが、一歩前進。
 
ただ、新作は台本修正が間に合わないためにタブレットが用意できないと言われることもあり、まだまだ鑑賞サポートが後回しにされている現状があります。
鑑賞サポート対応も舞台制作の一部と理解していただくことが必要です。

 

  2022年、良かったこと

 

①歌詞の著作権問題に変化がありました!

2021年の夏頃から私が観た7演目で、合計30曲の歌詞が著作権のために削除されており、理解して観ることが出来ませんでした。
 
どうしたら舞台を理解して見られるのか、観るたびに劇団に提案や要望を繰り返していましたが、
今年1月の観劇で大きく訴えるきっかけを頂いたと思います。
 

SNSで問題提起をしていたら、過去に取材してくださった共同通信の記者さんが

鑑賞サポートのこととあわせて歌詞表示に著作権の壁と取り上げてくださいました。

 

令和4年2月21日・産経新聞。(掲載許可を頂いています)

 
 
その他、日経新聞など複数の新聞に掲載されました。

 

 

全日本ろうあ連盟の日本聴力障害新聞にも投書。
「厚い情報バリアの壁 鑑賞の配慮があっても全ての歌を楽しめず」
(2022年5月1日号)
Aさんが憤慨と書かれていますが、、楽しいイベントであるはずの観劇中に、めくってもめくっても歌詞が無かった時のショックは忘れられません。
 
 

NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークで、

素晴らしい方々と一緒に著作権問題について考える動画を作成し、シンポジウムで公開しました。

 

 

また、シアター・アクセシビリティ・ネットワークを通じて、全日本ろうあ連盟からも文化庁に意見書が提出されました。

しかし文化庁からは… 

(聴力障害新聞  2022年7月号)

”多くの場合は時間的に余裕をもって申請すれば許諾が得られる”とのことですが、

余裕をもって申請しても、許諾が得られない歌詞はあります。

また、年間に何十作品も上演する劇団では、短期間で作品を作り上げているために申請時間に余裕はありません。

そのことも文化庁に理解いただく必要があるのかと思いました。

そもそもきこえない音の情報を、目で見て知るという権利が文化庁に理解されていません。。

 

 

そんな中、舞台とは関係ないのですがNHKのコンサート番組に歌詞字幕が無かったので、何度も何度も要望を出していたら、クローズドキャプションで歌詞字幕がつくようになった。

放送関係は、総務省の字幕付与指針があるので要望も強く伝えやすいのです。とはいえ何度も送ったことが形になり嬉しかった。

 

 

 

更に宝塚歌劇も、文化庁のヒアリング調査で意見を寄せられました。

障害者による文化芸術活動の推進に関する実態把握事業 報告書(ニッセイ基礎研究所)

引用P2

 

引用P83

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 ※冒頭で“ろう者用の台本データのタブレット“と書かれていますが、タブレットユーザー=ろう者ではありません。難聴者、中途失聴者なども利用しています。

 

 

 

歌詞削除問題について真摯に向き合い解決しようと動かれる方々、思いを寄せてくださる方々がいらっしゃったことが、新たな取り組みに繋がり、

いま宝塚では歌詞が削除されることはなくなったことに感謝しています。

 

ただ限定的な取り組みであり、著作権に関する法律は何も変わっていないので、完全に解決したわけではありません。

 

宝塚以外の舞台では、著作権のためにきこえない人が鑑賞サポートを断られることが頻繁に起きており、引き続き問題を訴えていく必要があります。
 
 

②宝塚のHP改修、バリアフリー情報掲載!

なんとバリアフリー情報が劇団HPのトップに出るようになりました。

 

バリアフリー情報 | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)

 

これは素晴らしいし、

他の劇場・劇団も真似して欲しい。

HPの奥の方にバリアフリー情報があっても、だれも見ないし、必要な人に届きにくいです。

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③文化庁の委託事業で、鑑賞サポートについて相談できる窓口ができた

文化庁の委託事業で、相談窓口が出来た意義はとても大きいです。
 
これまでは、個人で企業にメールを送り鑑賞サポートを付けて欲しいと交渉しますが、返事が全く来ない、冷たく断られる、などという話はしょっちゅう聞きます。
そういう対応によって、観たい舞台が観られないのかと、傷ついてしまう人もいます。
 
今年のヨーロッパ企画と唐組の舞台は、劇団に要望を出すのと並行して相談窓口にも相談を送りました。

ヨーロッパ企画では字幕、唐組は台本タブレットを導入頂きました。

 

また、お世話になっている共同通信の記者さんに情報提供したところ、新聞に取り上げてくださいました。

許可をいただき、記事全文をこちらに載せています↓

 

  2022年の観劇に寄せて

 

2022年12月、演劇界では大きなセクハラやパワハラの告発が相次ぎました。

これは今に始まったことではなく、昔から連綿と続いている問題です。

弱い立場の方の尊厳や人権が守られにくいこと。

それは、鑑賞に障害のある人への鑑賞サポートが対応されにくい問題とも、地続きにあるように思います。

 

 

鑑賞サポートの要望を出すことは
わたしの場合は、登山に似ていて、
山頂にある(舞台の上にある)素晴らしい眺めが観たいから
諦めずに一歩一歩、歩いています。
 
その道中で起きたことは、そこにいる人にしか分からない。
楽しいことも、悲しいことも、辛いことも、残念なことも。
 
でも、足を前へ前へと出していけば、
いつか目的地に辿り着ける。
 
そこからみえる景色は、きっと特別なもの。
 
2022年に観ることができた

すべての舞台に感謝しています。

 

来年1月は、ジョン王、宝飾時計、など。

2月は、唐組、宝塚星組、宝塚花組、ドリームガールズ、ウエクミオペラ、わが町 など観劇予定です。

 

来年も素敵な作品に巡り合えますように。

 

 

このブログを読んでくださった皆様、

コメント、メッセージ、メール、LINE宝塚オープンチャット等で交流してくださった皆様、

本当にありがとうございました。

どうぞ良いお年をお迎えくださいませ☺️💓