このブログは、聞こえない演劇ファンが、大好きな劇団に観劇サポートを付けて欲しいという交渉をしている時、こんな目標を持って書き始めました😃

 

  ひらめき電球聞こえない人も舞台を観ていることを知って頂きたい

 

  ひらめき電球聞こえない観客向けの観劇サポートについてご理解を頂きたい

 

 

この活動の一環として、

2つのまとめ記事を書いてみます。

 

1つ目はこの記事、台本の貸し出しについて。

 

きこえない人が舞台を観る時、

セリフの内容は分かりません。

せっかく舞台を観にいっても、動いている役者さんや、衣装、舞台装置など、目で見える範囲の情報しか得ることができません。

 

せっかくチケットをとって舞台を観ても、

全く内容が分からなかった・・・

どんなストーリーだったんだろう・・・

推しが何を話していたのか知りたかった・・・

と落胆して帰ることになります。

 

聞こえる人と同じ情報を得るために

最低限でも、セリフや歌詞などを

文字で読むことができる「字幕」が必要です。

 

 

字幕を要望してもつけられない舞台では

台本をお借りして観ています。

 

どうしてもこの舞台が観たいという時は

助けになります。

 

 

そのことをブログやTwitterに書いたところ、

複数の方から、

「わたしも聞こえません。舞台のストーリーを予習して観ていますが、セリフが聞き取れないので困っています。

わたしも台本をお借りしたいのですが、どうすればよいでしょうか?」

 

とお問合せを頂きました。

 

中には、舞台が好きで長年観に行っているが、

年をとるにつれて、だんだん耳が聞こえにくくなってしまった…という方も、何人もいらっしゃいました。

 

聞こえにくくても舞台を楽しみに観ている方が(私以外にも)いることを知り、

お問合せを頂くのはとても心強いことでもありました☺️

 

このブログ記事では、

字幕がどうしても付けられない時に

台本をお借りする方法について書いてみます。

 

 

 

 

  台本をお借りする方法

 

まず、私がこれまで台本をお借りした主な劇団・主催者の舞台を記載します。

またこれまでブログをみてご連絡を下さった方が、

新たに貸し出しを受けた作品も、あわせて記載します。

 

 ・エリザベート ガラコンサート(梅田芸術劇場)

 ・ポーの一族(梅田芸術劇場)

   ・ロミオとジュリエット(梅田芸術劇場)

   ・マタ・ハリ(梅田芸術劇場)

 ・マンマ・ミーア!(劇団四季)⇒1週間前に送付

 ・フラッシュダンス(アミューズ)⇒1週間前に送付

  ・October Sky(アミューズ)⇒1週間前に送付

 ・レ・ミゼラブル(帝国劇場)

 ・野田版 桜の森の満開の下(松竹歌舞伎)

 ・パレード(ホリプロ)⇒前日から貸し出し

 ・エニシング・ゴーズ(明治座)
 ・歌舞伎座

  

 

宝塚歌劇では、2022年6月より、

台本データをタブレットに入れた、台本タブレットが公式サービスとなっています。

 

 

 

このように、多くの劇団・劇場が

台本貸出に対応しています。

著作権の厳しい海外作品も例外ではありません。

 

 

 台本を借りる手順

 

まずは、舞台のお問合せ窓口か、主催者にメールを送ります。

※出来るだけお早めに!)

 

きこえない人は、電話で問い合わせづらいこともあります。

メールアドレスか問い合わせフォームが必要です。

しかし、お問い合わせ方法が分かりにくかったり

電話番号しかない場合があります。

 

 

例えば、

(この記事を書いている時点では)

 

・梅田芸術劇場・・・梅芸公式チケット販売サイトの一番下にお問い合わせフォームへのリンクがあります。

 

・ホリプロ・・・ホリプロ公式チケット販売サイトの中の、特定商取引法に基づく表示ページにメールアドレスがあります。

 

・キョードー・・・電話番号しかありません。

舞台のホームページから舞台の主催者(例えば東宝など)を探します。Google検索で「●●(舞台タイトル) 主催者」と入れると出てくることも。

 

 

主催者が見つかったら、問い合わせ先に連絡ができないという事情を説明して、台本を借りたいとお願いします。

 

台本をお借りしたいということをメールに書く時は、具体的かつ丁寧に自分の事情を説明していきます。
こんな感じでメールを書いています。

ひとつの例としてご覧頂ければ幸いです。 

 

**

 

 

(挨拶や自己紹介はここでは省略しています)

●月●日 △△時開演「(舞台名)」を観に行きます。

私は◎◎の大ファンで、舞台を観るのをとても楽しみにしています。

 

しかし、耳が聞こえないため、セリフや歌詞を聞き取ることが出来ません。

セリフや歌詞が分かる資料(台本)を、読ませて頂けないでしょうか。

 

2016年に障害者差別解消法が施行されてから

多くの劇場で台本を貸し出して頂けるようになりました。

××劇場で上演された●●(舞台)でも、台本の貸し出しを行っておられます。

 

セリフが聞こえなくても、舞台の内容を理解して観ることが出来ますよう、

貴劇場でも台本の貸し出しについて、ご検討をお願いいたします。

 

聞こえなくてもみんなと一緒に、素晴らしい舞台を楽しめると嬉しく思います。

お忙しい中恐縮ですが、ご検討のほどどうぞよろしくお願いいたします。

 


 

観たい舞台には、思い入れがあると思います。人情に訴えます。

 

 どんなサポートが必要なのか、自分の状況もはっきりと提示します。

 

③ 1回目の問い合わせの時は省略することもあります。断られた時に、法律を踏まえてもう一度お願いすると、貸し出して頂けることがあります。

 

既に他劇場では貸し出しの前例があるということを伝えます。

観たい舞台が海外の舞台なら、ここも既に貸し出し実績のある海外物作品にしています。

 

 

断られた場合

 

もし、どうしても対応出来ないと言われた場合は、その理由を確認しています。

 

「出来ない理由」はとても大事で、理由が分かればそれをクリアするためにどうすればいいか考えられます。

 

受付担当者が不慣れだったりすることもあります。

その場合は、上司の方に代わって頂くことで解決したこともあります。

 

他にも、主催者が複数ある場合は、別の主催者に問い合わせることで、貸し出しが可能になったこともあります。

例えば、ホリ●ロから貸し出しを断られたので、舞台を共同で主催するTBSにご相談したら、OKをいただいたこともあります。

 

こちらの記事に詳しく書いています。

舞台の台本貸し出し交渉、困難さを感じた事 

 

 

 

台本を読む場所について

 

お借りする時に、読む場所を指定されることがあります。

個人的に読む場所はとても大事だと思っています。

 

私は客席で読みたいので、それを断られた場合は

台本にカバーをかけて読ませていただけませんか?とお願いしています。

席に戻らなければならない時間を気にしたり、

既に着席されている方に遠慮しながらバタバタと席に戻ることもなく、気持ちよく読むことが出来ています。


以前、人目につかない場所で読んで下さい、と言われたことがあります。

その時はモヤっとしましたが、

ご理解を頂けるように対話をしていくことで、

客席で読むことができました。

 

観客は、素晴らしい劇場空間を楽しむことも含めて高いチケット代を払っています。

休憩時間中、椅子もなく立ったまま台本を必死に読んで記憶するというのは辛いものです。

 

主催者側の理解が進み、

何度もやりとりしなくてもスムースに、

そして快適に観ることが出来れば嬉しいですね。

 

 

 

観劇後は・・・

 

御礼とともに、気づいたことや、気になる対応があれば伝えています。

観劇環境の向上につながります。

 

 

 

台本・・・

それは舞台関係者にとって貴重な財産ですが、

聞こえない観客にとっては、作品を理解するための最後の頼みの綱でもあります。

 

聞こえない客としては、少しでも舞台を理解して楽しめたら、、という思いで要望をしていますが、障害者差別解消法が施行される前までは、台本をお借りするのも一苦労でした。

 

10年以上前に、ある大きな劇団から貸し出しを断られた時、

 

「一緒に行く年老いた母が聞こえないんです…

何とか舞台をみせてあげたいんです…」

 

と、ご相談したらOKが出たこともあります。

差別を解消するための法律がなかったので、人情に訴えるしかなかったのです…。

(母は聞こえる人です(^◇^;))

 

障害者差別解消法の施行後は理解も進み、スムースにお借り出来ることが増えています。

 

セリフがきこえない観客に台本を貸し出す、というような、障害のある状況を解消する対応を「合理的配慮」といいます。

自治体では、この合理的配慮は義務となっています。

 

事業者は、2024年の4月に合理的配慮が義務となります。

 

ただ、東京や大阪では条例があり、ひと足先に事業者も合理的配慮が義務になっています。

 

<参考>

東京

 

 

大阪

https://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan/sabekai_jorei.html

 

 

ちなみに、本に点字をつけたり、映画など映像作品の鑑賞に障害がある人のための字幕を付ける場合の複製は、著作権法で認められています。

(細かい条件はあります) 

 

著作者の権利を守るのと同時に、障害がある人が本や映像などの文化芸術にアクセスできる権利も守ろう、というわけです。

 

 

そこで、2020年3月に行われた文化庁の会議で、観劇サポートを行うNPO団体TA-netさんが、著作権によって聴覚障害者の鑑賞を断ることがないように、という提言をされました。

 

 

聞こえる人も、聞こえない人も、

舞台が、みんなで一緒に楽しめる場になるためには…

 

聞こえない人も舞台を観ていること、

ストーリーをその場で理解して楽しみたいという声を、

直接劇場・主催者に届けていくことも、大事なことではないでしょうか。

 

多くの劇場・主催者が、

劇場に存在するバリアについて、

真摯に取り組んでくださることを、心より願っています。

 

 

 

まとめ記事その2

 

紙台本の貸し出しからステップアップ!

台本タブレットをつくる方法について