鈍感男は作戦か天然か from 薬師寺涼子の怪奇事件簿 | 仕事とマンガと心理学

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心理学でマンガをみるとオモシロいので、それを伝えたくて
ぐだぐだお送りしますので、楽しんでくださいね!

こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

今日は、前回と同じ、薬師寺涼子さんの物語ですが

今日は、物語の語り手、泉田準一郎さんについて。

 

 

若干自虐的な厭世的なモノローグに騙されそうになりますが

この人、やっぱりかっこいいんですよね。

 

タキシードが似合うと言われる体格、

なんだかんだ言いながら涼子さんにもついていけちゃう知性に身のこなし

がっちりフォローの効く目配りの良さ、

なんちゃかんちゃ言いながら、優しいし。

気配りさんのところあるし。

でも、度胸あるし。腕っぷし強いし。

ふつーに「ヒーロー」の資格有りなお方なんです。

 

ただ!

この人、恋愛に関しては

超鈍い。

鈍くて鈍くて、もうギャグみたいに鈍い。

これだけ「ちゃんと言われて」いて

なぜ気がつかないのだろうか。

 

「一生苦労させてやる」

「子どもを産むときタマゴで生んでやるからな」

「君はワタシのいう事だけ聞いていればいいの」

等々、涼子さんがこれだけのたもうても

いっこうに気がつかない。

腕を組まれても

「椅子!」って言われて膝に乗られても

わかっていない。

King of 鈍感、でございます。

 

どうなのかなー、もしかしたら、

男子にはこういうセリフがわからないのか?と思っていたら

「なぜに彼はわからないのか?」という意の

男性による解説があったので

あ、男性でもやっぱりここまで言われていれば

わかるよね、と考え直し

 

性格はあまりヒーロー向きじゃないけれど

でもそこそこカッコイイ男子の泉田さん。

頭もいいし気も回るのに

これらのセリフが「わかっていない」態度をとるのは

 

果たして「天然か作戦か」?

 

なんだかんだ言いつつ

涼子さんは直情径行、

情に厚い人だし、思い立ったらすぐ行動の人だし

恋愛に関しても

並外れて美人で賢い人だから

そりゃあ若干の技巧はあったとしても

基本は素直で隠しておけなくて

ストレートにぶつかるタイプ。

 

何かと腕を組みたがるし

(泉田さんは侍従だと言っていますが)

(あるいは自分は歩くヒーターだとも)

何かと連れまわすし

(いつも上司に付き合わされてと泉田さんはぼやいていますが)

ご飯はよく一緒に食べているようだし

(いくわよと言われれば素直についていくし)

休日にも誘われているし

(なんだかんだ言いながら断ってないし)

 

書いてて思いますが

これで気がつかないのは

よっぽど強い抑圧があって

「恋愛」に関することには

強制的なスルー機能が脳についているのでは。

 

ただ、これは。

 

強制的な「禁断の恋」みたいなもので

実は、追いかける側の気持ちを一番駆り立てる。

しかも、無自覚とはいえ

泉田さんって、結構罪なセリフを言ってる。

 

室町警視の命令がそんなに大事か

はい大事です、と言って

タイヘンにふくれてしまった涼子さんが

どのくらい大事なんだと言ったときに

「あなたの命令の次に大事です」

 

とか

 

豪華客船の売店で

「あれかわいいな」といったフクロウのネックレス

「じゃミツギましょう」と

あっさりプレゼントしていたりとか。

 

ねえねえ、ねだられてもいないのに

特に理由もないのに

突然「プレゼント」なんて

揺れちゃうじゃないですかー。

なんでそこでいきなりプレゼントなんですかー

 

と突っ込んでしまいたいことを

泉田さんもしている。

 

さあ、作戦でしょうか。天然でしょうか。

心理的に「恋愛だけ超鈍感」って

あるんでしょうか。

 

はい、実はあったりします。

 

上記にもあげましたが

「恋愛の事だけはスルーする」

抑圧という心理ですね。

 

抑圧というのは、簡単に言うと

「なかったことにするわ」機能です。

無意識に働くいろいろな理由で

「なかったことにしておいたほうがいい」事を

無自覚状態にすることです。

 

もし、泉田さんが涼子さんへの自分の想いを抑圧し

大変な鈍感男になっているのだとしたら

過去にものすごいトラウマになった失恋をしているとか

絶対に無理だから傷つく前に恋愛していなかったことにしようとか

そういった心理が働いていると考えられます・・・が

そんなにナイーブなタイプとも思えないしねえ。

 

作戦だとしたら

目的はなにか、ですよね。

普通に考えると「自分に気を引くため」「自分に恋させるため」

あるいは「自分の価値をつりあげるため」

あるいは「傷つけてやれ」とか?

うーん、なんか泉田さんのキャラにあわない。

 

他になにがあるかな?

実は照れてしまっていてその場で反応できない、とか。

うーん、それもあるかもしれないけれど

地の文章には照れてる個所は、実はいっぱいあるんですよね。

特に涼子さんの美しさに関するところ。

これがもう露骨に涼子さんたら「誘う」ので

泉田さん大変だと思う。

 

床に落ちたフォークを拾おうとかがんだら

世界一美しいすらりとした足がそこにあったとか

仕事で乗り込んだ豪華客船、

呼び出されて部屋に言ったら

バスの中で(車ではありませんぞ)待ってたとか

まあ、露骨な秋波を送られているわけだけど

 

うーん、好きは好きだけれど

この女性の気持ちを受け入れると大変なことになるような気がする・・という

自己防衛が抑圧になるのだろうか。

うーん、うーん、悩むわあ。

 

そんなことに悩んでいないで

鈍感ってことにしておいても全く問題はなく

地球は今日も無事に回っているのだけれど

こういう益体もないことを

うだうだ考えるのも面白い本の読み方だったりするのです。

(あ、マンガも)

 

さあ、どう思いますか?

この鈍感さは「作戦か天然」か?

ふふ、こういうのが楽しいのです。