理想が服着て歩いている快感~薬師寺涼子の怪奇事件簿~ | 仕事とマンガと心理学

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心理カウンセラーが語るマンガと小説についてのブログです。
心理学でマンガをみるとオモシロいので、それを伝えたくて
ぐだぐだお送りしますので、楽しんでくださいね!

こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

 

前にも一度ご紹介いたしましたが

再びの登場、薬師寺涼子さんです。

 

実は今、「小説期」でして、文字を読んでいる方が

楽しくて、あまりマンガを読んでいないのです。

うーん、なのでばらしてしまうと

今、マンガの方の涼子さんではなくて

小説(原作)の方の涼子さんと

毎日オトモダチだったりするのでした。

 

さて、作者の田中芳樹さんがよくおっしゃる

「こんなに性格悪いのに、人気がある」秘密。

それは、ある意味涼子さんが

女性の理想のひとつの型だからなんですね。

 

とにかくこの主人公の薬師寺涼子さんは

抑圧がない。

うん、これ、現代のヒーロー・ヒロインものとしては

ちょっと珍しいぐらいに

トラウマも抑圧もない。

心理的にぴかっと明るい。

「病んだ」人たちや「傷」と向き合う人が多い

マンガ主人公たちには珍しく

これぐらい気持ちよく明るい人はいない。

 

そして、やはり人は明るいものに惹かれるのだと

私は思うのです。

 

いわゆる、「ずっと愛される」キャラクター達っていうのは

明るい人が多いと私は思うのですよね。

例えば・・・って話すと別の話題になりそうだから

別の機会に譲りますけれど

とにかく涼子さんは、明るい。

 

そして美人。

そしてスタイルも完璧。

頭もいいし、賢い。

運動神経も並外れている。

そして、家はお金持ち。

 

そのうえ、そのうえ涼子さんってば

言いたい放題してるんですよ~~!!!

 

これぞ、究極の理想(のひとつ)笑

 

そして、それが嫉妬に向かないのは

かわいい恋愛しているからなんですね。

これだけしたい放題していて

何でも思い通りになりそうなのに

恋愛だけものすごく不器用だっていうのが

女子からの嫉妬を免れるコツ

(意識してやっているわけではないが)なのでしょう。

 

思うに、これで王子様よろしく

美男子を侍らせていたら

本当に嫌味な感じなんでしょうけれど

(まあそれもまたよしだけどなー)

泉田くんの存在が

涼子さんをかわいらしい姿に

しているのだと思うのです。

 

恋愛は、ある種の投影ですが

涼子さんは、なぜ「自称普通人」で

「自称コッパ役人」の泉田君が

好きになったのでしょう。

 

泉田さんの一人称で語られている物語なのですが

彼は結構自虐的で自分のことは

とても平凡な人間のように語っています。

ところがどうしてどうして

彼は相当優秀で、腕っぷしもいいし

度胸もあるし、正義感もあるし

頭も働くし、垣野内さんが描く泉田さんはかっこいいし

いい男なんですよね。

 

察しが悪いというか

いわゆる女性心理をくすぐるのに

長けている人ではないらしい。

野暮天と言われていますが

天は二物を与えずといいますし

他に三つも四つもいいところを

もっていそうなのでよいでしょう。

 

こういう人って、現実にいると確かにモテないんだけれど

小説とかマンガだとモテるんですよ。

おもしろいことに。

 

ちょっと少し回数重ねて考察してみたいテーマではあるんだけれど

涼子さんが泉田さんに見出しているのは

オールドワイズマンだと思うんですよね。

彼女、父親のことは全く尊敬できる人とは思っていないし

自分がずば抜けているだけに

周囲にも「すごい」って思える人が

いなかったんじゃないのかな。

 

そこにもってきて

自分を負かしちゃう人がいたわけで。

(そう、剣道では泉田さんは涼子さんより強いようなのです)

そこのあたりじゃないのかなと思うのですが

知り合えば知り合う程

泉田さんのまっすぐなところ、ある種の純粋性とか優しさとか

結構タフでなんやかんやいいながら

あの様々な事件でへこたれないというか

それでもって、これもどうかと思うのですけれど

 

泉田さんってすごく涼子さんの事好きなのに

それに対して無自覚というか無意識というか

完璧抑圧していますからね。

でも、こういう、意識されていない言葉が

どきっとするというか何というか

ココロかき乱されるものなんですよね、きっと。

 

うーむ、折れるということを知らない女と

気がつくということがない男。

かなり絶望的でしょう?

だから面白いんです。

 

さて、この二人はどうなるのでしょう。

こうご期待♪