『泣いてる子どもが潜んでる』from シティーハンター | 仕事とマンガと心理学

仕事とマンガと心理学

心理カウンセラーが語るマンガと小説についてのブログです。
心理学でマンガをみるとオモシロいので、それを伝えたくて
ぐだぐだお送りしますので、楽しんでくださいね!

こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

 

ようやくたどり着きました!

この人好きだなあ。

 

 

海坊主さん、もとい、ファルコン。

本名は「伊集院 隼人」さん・・・と最初に漫画で読んだ時

えーっ、日本人だったの?と

驚きました。

 

それにしてもバランスの取れた方です、はい。

冴羽さんがまだ青春期を生きる未完成だらけの人だとしたら

この人は「オトナ」です。

オトナだから、冴羽さんとも遊べるし付き合えるし

忠告もすれば解説もできる。

 

主人公が成長していくドラマには

こういうオトナが欠かせない。

やわらかな感情にはとても不器用だけれど

こういうキャラのお約束でしょう。

 

この方、頭はいいし基本的に性格もよいし

ガタイがよくて顔がいかついから

怖く見えるかもしれないけれど

なかなか男前なキャラで

一途だしストイックだし

妙な隙もあって憎めないし

 

なんで傭兵になったんだろう?と不思議。

きちんと子どもから大人になった人っていう感じです。

 

ただねえ

 

この人、体格がよいでしょう。

何歳ぐらいからおっきかったのか

わかりませんが

年齢に似合わない「立派な体格」は

周りから早くから大人として扱われるために

きちんと甘えられなかったり

きちんと「子ども」ができないことがあって。

 

つまりですね、

10歳ぐらいの子どもなのに

身長は160センチを越えていて

それなりに大人びた顔をしていたりすると

周囲の人は「小学生」として扱わない。

電車やバスでも子ども料金払うと

呼び止められる。

 

「子どもであってはならない」という

禁止令が働きやすいんですね。

つまり周囲が大人として扱うから

大人としてふるまっちゃう。

 

子どもの自分を受け入れられない孤独が

彼の基本になっているような気がするのです。

しかも、海坊主さんは

そんな風に扱われたときに

それに応えられるだけの

クレバーさも持っていたことでしょう。

彼に頼ってくるものを撥ね退けられない

優しさも持っていたかもしれません。

 

優れた子どもは

人ができないことができる。

逆から見ると

自分には難しくないことが周囲の子たちには

難しい。

 

そこで傲慢になるか、やさしくなるかは

いわゆる「人柄」なんですけれど

海坊主さんの場合には後者に出たようですね。

 

小さい頃から大きかったから

子どもらしく泣くことや我まま言うことも

我慢したでしょう。

小さい頃から大人として扱われたから

冴羽さんとは違う意味で

子どもを生きることができなかった。

 

だから、無力な弱いものを見ると

彼はそれを無視できない。

かつて自分の中に封じ込めた

「幼い子ども」が目の前に現れるようなもの。

 

そしたら、彼がすることはたった一つです。

その子どもを大事にするのです。

 

シティーハンターでも、アナザーなエンジェルハートでも

「美樹」という名の子どもを守り育てていきます。

そんな義理はなくても

責任すらないのだけれど

見過ごすことは、彼の中の子どもを殺すこと。

孤独な自分の子どもの姿を

さらに傷つけることは彼にはできません。

 

これも心理学でいうところの「シャドウ」の存在ですよね。

自分の中に「幼い子ども」がいるなんて

海坊主さんは決して認めたりはしないんだろうけれど

目の前にシャドウが現れれば

それを無視することも傷つけることもできない。

大事に守る。

 

そうやって、初めて

自分のシャドウを抱きしめることができるんだと思うのです。

 

傷ついた自分を受け入れることはできないけれど

傷ついた誰かを助けてあげたいという

強い欲求にかられる。

 

これらはみんな

そんな自分の中のシャドウとの付き合い方。

誰にでもある程度現れる心理のカタチ。

 

海坊主さんは

ここからどんなふうに

自分のシャドウを昇華させていくのでしょうか。

 

続く♪