『ココロの毒を乗り越えていく爽やかな力』from ラフ | 仕事とマンガと心理学

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心理カウンセラーが語るマンガと小説についてのブログです。
心理学でマンガをみるとオモシロいので、それを伝えたくて
ぐだぐだお送りしますので、楽しんでくださいね!

こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

今日は有名な作家さんのちょっとだけマイナーな作品。

 

 

「ラフ」 あだち充

 

あだち充さんは何気に好きで、ほぼほぼ全部読んでいるかな?

出会いはありがちですが

「陽あたり良好!」からみゆき、タッチと続きまして

スローステップ、虹色とうがらし、H2、いつも美空

KATSU!、クロスゲーム、QあんどAなどなどさらに続き

現在はある程度単行本がたまったらMIX・・・

 

安心して読めるクオリティの高さ。

わたしにとってはこれに尽きます。

 

その中でも「ラフ」は

すごくかっこいい物語。

主人公の大和圭介くんは

あだち作品によくある

「・・・」が多くて

熱いんだけれど冷めているところもあり

あわてん坊なんだけれど

頼りになるところもあり

面倒くさがり屋なんだけれど面倒見がいいところもある

まあ、いわゆる「中身ハンサム」な人物です。

 

そう、あだち作品に出てくる男子って

みんな中身がハンサムなんですよね。

そして女子はみんな可愛い。

外側もだけれど、中身も可愛い。

美人、じゃなくて、「可愛い」なんです。

結構ちゃっかりもしていますけれどね。

 

で、ラフ。

これは水泳マンガです。

実写映画化されたことがあるんですねー。

じゃあ、有名なのかな?

こんな青春なら、こんな恋なら

こんな寮生活なら

自分も送ってみたかった。

自分も送ってみたい。

 

そんな憧れを抱かせる物語です。

 

あだちさんはその作品の殆どを

高校生ぐらいに設定して物語を紡いでいます。

この頃って、いい意味で自我が安定してきて

いろんな意味で固まっていないんですよね。

つまり、個性はある程度出来てきているんだけれど

まだまだ変幻自在に?変われる。

そんな人の成長期。

 

かつ、あだちさんが設定している世界観では

ある程度自由、ある程度保護されていて

登場人物たちはとても安全。

安心して青春に打ち込み

安心して恋愛し

安心してスポーツに打ち込める。

 

心理カウンセラーのせいか

私はこの心理的安全性っていうものを

マンガを読んでいてもどこか気になっていて

あだち充さんの作品を読んでいるのも

ひとまずこの安全性ということが

きちんと提供されているから

 

だから、あだち作品を読んでいると

ほっとするんでしょうね。

 

ラフは、

因縁のライバル同士の家に生まれ

ある意味最悪の出会いをした

圭介くんと亜美ちゃんのラブストーリーでもあります。

うーん、この障壁があるっていうのが

また盛り上がるポイントでもあるんですが

でも、あだちさんの作品なので

その家同士の確執も

二人を歪めるほどじゃない。

 

ただ、それでもあだちさんの作品のすごいところは

ちゃんと「毒」が用意されていること。

で、この毒はいつも

人間のこころに根ざすものであることが

あだち作品の優れたところ。

 

ラフでいえば、

完璧にいい男っぽい感じだった

中西弘樹。

事故で怪我をし、選手生命を危ぶまれていた際

人が変わったように何かに捉われ

亜美を縛ります。

 

タッチの和也くんもそうでしたね。

彼の死が、達也を縛り付けてしまう。

 

悪い人は誰もいないのに。

悪いことをしているわけでもないのに。

毒は人の歩みを阻み

人の想いを染め上げてしまうことがある。

 

でも、同時に、その毒を乗り越えていく

人間のこころの力も描いてくれる。

毒に染まって亜美を縛ってしまった中西さん。

ラスト、圭介くんを恋のライバルと認め

堂々と真っ向から勝負をかけます。

 

「さあ、亜美を助けに行こうぜ」

(だったと思う)

 

このせりふはしびれたなあ。

その後のなんとも憎い

亜美ちゃんの告白なんて

印象に残っていないぐらい

しびれました。

 

そう、人は毒に染まって歩みを止めたり

辛くなったり辛くさせたりすることはあるけれど

同時に解毒していく心の力も持っている。

 

実はそんな風に

光に向かって伸びる葉のような

みずみずしい人のココロの力を

描いてくれているから

あだちさんの作品は

多くの人に愛されるのでしょう。

 

あだちさんの作品って

こうしてみると本当にセラピー的なんですよね。

毒に染まる人のココロを悪く描いていないから

感情移入もできるし

そのココロの動きも理解もできる。

 

その理解は、同時に

自分のココロのシャドウ=影を理解していくことに

つながり

解毒のプロセスは

そのまま回復のプロセスにもつながっていく。

 

劇的に回復するわけじゃないところが

せりふもなく、余韻と余白で回復していくプロセスを語ることが

ココロに染みてくるのです。

 

年明けて、私が所属しているところでは

沖縄でネイチャーセラピーって言う

自然の中のセラピーツアーをするんですけれどね。

 

なんだか、その感覚です。

ゆったりとした安全で穏やかな自然のなかで

いっぱいいっぱい自分のこころを味わって。

 

ココロの青春。

そういうものを味わっていくことができるから

だから、癒され回復していくのでしょう。

 

このお正月はゆったりと

あだち作品に浸ってみてはいかがでしょうか。

もちろん、実際に癒されてみたいっていう方は

よかったら私の所属するアイディアってところに

来て下さいね。

 

沖縄セラピーマスターコースに興味のある方はこちらへどうぞ!

http://www.idear.co.jp/event/school-event/1801-okinawa-therapy/

 

他、カウンセリングの癒しやセラピーに興味のある方は

こちらへどうぞ!

 

http://www.idear.co.jp/counseling/lecture-counseling/

 

 

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