こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。
なつかしいなー。大好きでよく読んでいました。
「CIPHER」 サイファ
作者の成田美名子さんの作品は
それこそ「みき&ユーティー」のころから
エイリアン通りを通って
サイファへ、そしてアレクサンドルライトへ。
今描いておられる
「花よりも花の如く」も何となく読んでいるかな。
美少年の双子。
これってどうも少女マンガに多い設定のようで
それはそれは見た目にきれいな人が
二人もいたら眼福ってものですが
多分、少女マンガが基本的に
アイデンティティを問うことが多いからなんでしょうね。
一卵性双生児は基本的に同じ遺伝子。
なのに「違う人」になっているのは
なぜなの?
同じ顔なのに、同じものを持っているはずなのに
なぜ違う人になるの?
何が「違う人」にさせてるの?
自分ってなんだろうというやっかいな問いは
どうも人にまとわりつくようで。
サイファというこのマンガは
共依存がすぎて
「私」というよりも「私達」が主語になっちゃいかけてる
双子の物語。
いろんないきさつもコンプレックスも
家族の葛藤もいろいろ飲み込んで
とりあえず「二人一役」で
日々を暮らす双子の関係に違いができるのが
恋愛。
人に恋することが
「自分は相手で相手は自分」という
未分立な状態から
「自分は自分」に変わっていこうとする。
確立と喪失と再生の物語です。
恋愛っていうのは
他者へのこだわりという一面があるですけれど
その為には「自分」がないと
ダメなわけでしょう。
恋愛を通して自分を知るっていうのは
多くの場合にとても大事なことで
だから、いい恋愛って言うのは
自分のいいところもそうじゃないところも
いっぱい知って
自分が磨かれることなんですよね。
「サイファ」という1人の人物を
双子が交代で「演じて」いる。
同じ人をやっているわけだけれど
恋愛が始まるとそうはいかない。
いかに「違うか」を探し始める。
あの人とこの人と自分が
「違う人」なのは
なにが違うの?
どうして人は、たった一人の人だけに
恋をするのだろう。
マザーグースにありますね。
「女の子はなにでできてるの?」ってやつ。
さしずめ
「自分ってなにでできてるの?」
「彼はなにでできてるの?」
「彼女はなにでできてるの?」
ってところでしょうか。
彼ら双子は
本来なら自然と起こったであろう
自我の確立とお互いからの自立を
ずいぶん辛い思いをしながら
成し遂げていきます。
出会いと別れ
争いと許し
恋と死、
人生の重要なエッセンスが
数年の中にぎゅぎゅぎゅと詰め込まれて
ご本人たちはとっても大変だったと(笑)
思うけれども
そして、見つけ出す。
自分は何でできているの?
それは、愛や友情、
想いや夢
自分だけがもつことができるココロで
私たちはできている。
サイファたちの自立の痛みを
支えてくれたのは
愛や友情、想いや夢。
自分は自分だというココロが
彼らを支えてくれました。
他者に出逢うことが成長ならば
外に出ることがまず人生の第一歩。
どんなに苦しくても辛くても
外に出て、他者に会おう。
そしたら、私たちは
「自分」になれる。
サイファの物語は、
自分を見出す物語のように思えて
最後、にっこりとしてしまうのです。
読むたびに。