『自由と規制の間に住まうものは・・・』from 究極超人あ〜る | 仕事とマンガと心理学

仕事とマンガと心理学

心理カウンセラーが語るマンガと小説についてのブログです。
心理学でマンガをみるとオモシロいので、それを伝えたくて
ぐだぐだお送りしますので、楽しんでくださいね!

こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

 

 

「究極超人あ~る」

 

うーん、やっぱり出ましたね。

昨日がカールビンソンだから

やっぱりこれでしょう。

 

作者のゆうきまさみさんには

パトレイバーで出会いました。

その後は、じゃじゃ馬グルーミンアップ!へ行ったので

じつは「あ~る」デビューはずいぶん遅いのです。

 

学校を舞台にした漫画は多くて

読んでる人が「学齢期」だからかなーと

昔は思っていましたが

漫画を読んで大人になった層は

大人になっても漫画を読んでいるので

現在、「だから学校ものが多い」という

理由にはならないのだけれど

 

学校、学生。

奇妙に自由で奇妙に不自由。

責任がなくて、

規制がかかって

思うようにならないことが多くて

一律で個性が欲しくて

色んな矛盾がぎゅっと詰め込まれた時代。

 

だからこそ

非日常をつっこみやすく

ばたばた暴れていても

なんとなく収束しやすいのでしょう。

 

うる星やつらも

そんな系譜だなあ。

 

田中一郎くんは

マッドサイエンティストに

地球征服を目的に作られた

人間と遜色の無い高性能なアンドロイド。

(ロボットではない!)

 

この田中一郎くんを中心とした

どたばた学園ギャクもの・・・といえば

いえるんだけれど

なんともいえないアイロニーが漂ってまして

段々主人公の影が薄くなってまいります。

 

それよりも

当時から何となくネガティブに語られることの多かった

いわゆる「マイナー」な人たちを

正面から肯定的に取り上げているのが

私には面白かったかなあ。

マニアな人たちとか

他の人にはよくわからないことを

とても静かにかつ熱く行っており

文化祭では

余り訪れる人のいない展示会をやっているような

そういう人たち。

 

ある特定の分野に置いては

突出したアタマの技とキレを持ち

うんちくを一日中でも語っていられるような。・・・

 

私にとっては

かつての自分の高校時代を

思い出させる

「変人とマニアな時間」を

味わえるマンガなのです。

 

これも一過性かな。

あの「学校」という独特な規律の世界にしか

存在できない空気。

 

規律の中で、自己責任による

自由がまだ希薄な中で

本当にのびのびと生きていくには

自分なりのファンタジーを

作り上げるしかないのかもしれない。

 

それが強固であれば

自分を守ることができるけれど

脆弱だと「敵」を招き寄せる

ブラックシープになりかねない。

 

でも、あ~るの世界にはそれはなくて

とっても不自由で色彩の薄いはずの世界に

ビビットカラーを塗りたくる。

 

ココロを守るものは

勇気や愛や友情だけではなくて

自分ひとり(あるいは嗜好を同じくする狭いトモダチ)の世界を

持っているかどうか、も

大事なのかもしれませんね。

 

大人になると忘れかけるけれど

ココロがピンチの時に

やっぱり助けてもらったな、マニアな世界に。

 

それが好きで読んでいました。

にぎやか孤独の世界で遊びたい時、

一服の清涼剤に

ぜひどうぞ!