西岡市長はなぜ辞める?「専決処分」ってなに? | ともに育ち、生きるまちへ~水谷たかこ(小金井市議会議員)blog

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「孤育て」がつらかった経験から、子育て支援のNPO活動を開始。子育て支援ネットワークと情報サイトの編集長、親の介護や成年後見の仕事を経て、多様な市民が地域で支え合うコミュニティの実現を模索中。2019年12月より小金井市議会議員(現在2期目)

10月7日、西岡真一郎小金井市長は辞職の申し出を行い、10月14日に退職することが議会で承認されました。

なぜ?と思っておられる方も多いと思うので、私なりの考えを述べます。


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辞職までの経緯

2022年9月29日正午過ぎ、市長は、「小金井市立保育園条例の一部を改正する条例」(公立保育園5園のうち、さくら・くりのみの2園を、来年令和5年4月から段階的に縮小し、令和10年3月末をもって廃園とする条例改正・以下、廃園条例)を、議会の議決を経ないで専決処分(地方自治法・第179条1項)しました。

 

これを受けて、議会は大混乱。なぜなら、その前日、9月28日の本会議で、議会としては、「継続審査」することを決定していたからです。それを無視して、議長が専決処分により条例改正を行ってしまったのです。

開催中の決算特別委員会は昼休憩になったまま開かれず、9月30日から、この件での全員協議会が開催されました。(9月30日、10月3日、4日の3日間)


10月7日、本会議の最終日に、市長はそのことを議会に報告し、承認を求めました(同法179条3項)。

しかし、賛成2、反対20で不承認となりました。

 

市長はその直後、辞職する旨を表明(同法179条4項の措置??)。10月14日に退職することが議会で承認されました。

 

7日夜の市議会定例会終了後、西岡市長は記者団に「自ら市長選に出馬することはない」と出直し市長選への出馬を否定。「専決処分の承認議案が不承認になった市長としての責任をとらなくてはならない。地方自治法に『必要な措置を講ずる』とあり、辞職は自治法に基づく判断でもある」と述べた。

以下のリンクにある東京新聞より引用

小金井市長が辞職へ 保育園廃園巡り市議会が「専決処分にノー」 :東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

保育園廃園をめぐる論点もたくさんあるのですが、聞きなじみのない「専決処分」という言葉が、そもそもわからん、との声も多く、書いてみます。

 

議会を開いて話し合う時間がないときのために、地方自治法では、市長が独断で決めることができる、という規定を置いています。地方自治法179条です。
 

再度言いますが、これは例外的で補充的な規定です。たとええば、国の法律が改正され、その施行期日が迫っており、市の条例もそれに合わせて改正しなければならないとき等、緊急であり、かつ、合理的な理由があると判断されるようなものです。小金井市議会において、これまで、不承認となるような専決処分はなかった、と聞いています。つまり、後から議会から見ても、やむを得ないね、相当な判断だね、と思われるようなことしかやってはいけないと考えるのがフツーということです。

 

今回、市長は、この1項に規定がある「議会が議決すべき事件を議決しないとき」(下線部)に該当すると判断し、専決処分により廃園条例を改正してしまいました。

 

「議会が議決すべき事件を議決しないとき」とは
「議決しないとき」とは、(中略)議決を得ることができない一切の場合をいい、その原因 が議会の故意に基づく場合はもちろん、外的事情に基づく場合を包含する。 たとえば、議会が普通地方公共団体の長の提出に係る 議案を議会において議決すべきものではないとしてそのまま返付する等積極的に議決しない旨の意思を表明したとき、会期の定めあ るにかかわらずいたずらに当該会期を空費し、或いは会期を定めずして故意に議事を遷延し、法定の期間又は相当の期間内に議決を得ることができないとき、議会開会後天災地変等のため、法定の期間又は相当の期間に議決を得ることができないとき等が考えられる。(出典:「逐条地方自治法」第8次改訂版・松本英昭著・学陽書房・612ページ)

 

市長は、専決処分した理由として、「本議案には①期限があること、②期限内に議決がされなかったこと」と説明しています。

 

以下の参考資料は、全員協議会で市長が読み上げた原稿です。

 

 

 

私は、市長の専決処分は違法なものである蓋然性が高い、と考えています。

 

以下、理由を述べます。

⑴私は、この議案を期限があるものとは考えておりませんでした。

市長からは、「今定例会中にご議決いただきたい」旨の発言はありましたが、議案の議決をするために必要な検討がなされていないため、この時点では議決できない、と考えていたためです。

専門家や保護者の意見を聞くことなしに、強引に廃園を進める市のやり方では、公立保育園だけではなく、小金井市全体の保育の質の維持・向上ができるのか、判断できない、と考えました。

※10/11補足

私は、提案されている事務スケジュールを見直す必要があると考えており、改正条例案の施行期日を修正変更しるか、提案し直すべきで、今年度〜来年度は例年通りの募集をするべきと考えてしました。

 

また、別の側面から見ると、

⑵公の施設である保育園の廃園は条例によるもの、と規定されている地方自治法の趣旨から、専決処分は許されない、と考えます。

 

公立保育園は、公の施設です。公の施設の設置等については条例で定めなければならない、とされています(同法244条の2第1項)。これを条例主義と言います。つまり、市長が勝手に決めるのではなく、議会が条例で定めるべき、としているということです。小金井市立保育園条例は、この設置の条例にあたります。

 

小金井市では、特に重要な施設としての条例の定めはありません(地方地自法第244条の2第2項参照)が、ここに、特別議決の規定を設けることができるということは、とりもなおさず、施設の廃止はより慎重に議会が議決しなければならない事項で、専決処分は許されない、という方向に働く規定である、と私は考えます。

 

この条例主義に反する専決処分は許されません。そして、市長の言う「この条例には期限がある」というのは、市長が自分の政策である保育園廃園の条例を、自分が決めたスケジュール通りにやるための事務手続き上のタイムリミットだっただけで、法的又は客観的・合理的な根拠ではない、と私は考えます。

 

 

市民から直接選ばれたと市長と議会(議員の集合体)が牽制し合って、より良い市政を実現するという、地方自治の二元代表制の趣旨を没却する行為を、西岡市長は行った、と考えます。

 

保育園廃園の是非については、別のお考えの方もおられると思いますが、市議会として、この専決処分承認議案を20対2の多数で不承認と判断したことは、議会として、市長の専決処分が違法又は不当なものであり、許されない、という常識的な判断をしたもの、と評価しています。

 

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