金融機関の住宅ローン担当者に住宅ローンの選び方を教える
今週は大手金融機関の住宅ローン担当者に、お客様がいかに住宅ローンを選び、いかにローンをお勧めすればよいかというセミナーをします。
いくら私が普段住宅ローンの相談をしているとは言え、専門家にお話しするとなると少々緊張。
しかし、金融機関としても会社の中にいると、お客様が何を考えどう動いているのか、なかなか掴めないそうです。私のようにユーザーの相談にのっている立場に大変興味をお持ちのようです。
基本は簡単です。住宅ローンを利用することで、一生涯楽しく無理なく生活ができるようにすることです。それは借りている期間中もそうですし、返済し終わったあともそうです。
現在は、住宅の価値は徐々に下がり物価もデフレ傾向であることから、住宅ローンを利用することは実質的負担増を意味します。
また、今後社会保障費や税の負担増も予想されることから、ますますそのリスクは増加します。
そんな環境下で楽しく無理なく暮らすための住宅ローン選びとなると、金融期間の立場と我々FPの立場は相反することになるかもしれません。
しかし、長い目でみれば金融機関もお客様にしっかり返済していただき、公共料金の引き落としやその他派生する金融取引を取り込めた方が収益性が高くなるわけです。
是非、目先の取引だけでなく長期的視点から住宅ローンをお勧めしていただきたいという、そういうお話をしようと思っています。
本気で中古住宅市場を活性化させる気みたい
国土交通省は、本気で中古住宅市場の活性化に活路を見出すようです。
弊社では、ホームインスペクション=建物診断をやっていますが、新築時の検査でも結構な数の指摘事項が出てきますので、建売などは押して知るべしということで、私などは恐くて買えません。
それが中古住宅となると、さらに謎の部分があるのですが、逆に何年か経過していることで一定の評価がわかりますので安心する部分もあります。
すでに人口が減少し、ロスジェネ世代の住宅取得能力が低下しているので。今後新築需要が減退することははっきりしています。
住宅メーカーや分譲会社・住宅設備機器メーカー等の将来は厳しいとわかっていますので、国も中古市場の活性化をせざるを得ません。
中古住宅市場の信頼度をアップするためにも、ホームインスペクションは益々必要になってくると考えます。
これは戸建住宅だけでなく、アパート・マンション・ビル・店舗、すべてに共通することです。
今から建築をご検討の方は、是非品質をチェックするとともにインスペクションの裏付けが取れた建物を取得していただきたいと思います。
住宅・不動産の買い時。底値はいつ来るか
不動産でいかに儲けるかというクズネッツサイクルの話。
建物の景気には循環があって、その国ごとに一定のサイクルがあるというロシア人統計経済学者クズネッツの理論です。
日本では、おおむね17年周期でピークが来るので、底値で不動産を買おうという人は、それをはずしたボトムを狙えば良いということになります。
直近のピークは2007年5月(翌月建築基準法改正で建築は激減)。その前は1990年3月で不動産融資の総量規制発表でバブル崩壊。その前は1973年9月の第一次オイルショック。規則正しく17年周期です。
では、その間のボトムはどこかとなると1997~8年。ただし北海道拓殖銀行破綻・山一証券廃業など金融危機の真っ只中。その前は1981~83年頃。これも円高不況の真っ只中。でもそのとき不動産を購入していた人は、しっかり儲けています。
となると、今後のピークはクズネッツ理論が正しければ2024年頃で、ボトムは2015~6年頃となります。
最近のセミナーでは「今回はこのボトムは前倒しで来ているのではないか。」とお話ししてきましたが、最近どうもそうではないと考え出しました。
つまりクズネッツ理論は正解で、ボトムは2015~6年頃になりそうだということ。
住宅・不動産を底値で狙っている方は、ここまでじっくり待つというのが正解だと思います。ただし、そのときはとんでもない不況の世の中なんでしょうけど。そこで買う元気があるかないか・・・
ル・コルビジェと国立西洋美術館
東京出張で仕事先が近かったので思い出したように上野の国立西洋美術館に寄ってきました。
この美術館は松方コレクションの展示で有名ですが、私は展示品には興味なし。世界的建築家ル・コルビジェが設計した建物に関心があって寄ってみたのです。
ちょうど開館50周年を記念して『ル・コルビジェと国立西洋美術館』展が開催中で、中まで入ってきました。
住宅・建築関係の仕事をしているのに、コルビジェの建物を見たことがなかったので・・・と言っても、日本に現存するコルビジェの建築物はここにしかないのですが。
コルビジェというと、現代建築の大家で効率的な建物の設計者というイメージですが、現地を見ると全然違いますね。
1.木の型枠を使っているので、木肌模様が残るコンクリート柱
2.人体スケールを基にしたモデュローム寸法を採用しているので親近感がある
3.土佐桂浜の緑石をちりばめた外壁
4.回遊しながらも見え隠れする展示室
5.将来の増築に備えた「らせん状創造的建築物」
6.美術館のくせに自然光を取り入れた明るさ
などなど。大変人間臭い建物でした。やはり現地を見ないといけませんね。
今この建物を世界遺産にしようという動きがあり、確か先日「世界遺産には及ばず」という判定が下されたはずです。
それにも懲りずに、単体でダメなら世界中のコルビジェの建物をパックにして指定してもらおうという無謀な計画もあるようです。
現地を見れば、新築から50年、いまだに息をしている生き物のような建物ですから、「遺産」にしてしまうのはどうかと思いますけど・・・
この展覧会は、しばらくやっているようです。是非お出かけ下さい。
住宅のことを考えるには、『リトルワールド』へ行くと良い
久しぶりに休みをとって、名古屋鉄道グループが運営する『民族博物館リトルワールド』へ行ってきました。
ここは世界の民族の代表的住宅を移築したり、形態模倣して建ててあるテーマパークです。
友人の建築士が現地調査をして設計した建物があるので、彼と学芸員さんの解説付で回るという建築・文化人類学ファンには垂涎の企画でした。
集まった建築士・工務店経営者・インテリアコーディネーターは、世界のビールと料理を食べながらの見学で、大いに盛り上がりました。
毎回、ここを見て思うのは人類の英知と自然との共存力は凄いということです。
例えばフランスアルザス地方の農民の家は、1582年に建築されて使われていた建物を、1850年当時の仕様で、そのまま日本に移築したものです。
昨日は現地の温度計で外気が35度ありましたが、中に入ると27度程度で涼しい。400年以上使われているとは思えないほど、しっかりして今でもそのまま住めるほどです。
エアコンや太陽光発電などあるはずもなく、最新の技術を使っているわけではないのに、快適でエコなのです。
現代日本の住宅は、ようやく今月4日から『長期優良住宅』のレベルになりましたが、これはスタート地点に過ぎません。
本当に長期優良でエコな住宅とは、まさにリトルワールドにあるような住宅を原型とする住宅でしょう。当時の人間の知恵は、現代人を上回っています。
このテーマパークは、ディズニーランドと同じ年に開園したのですが、少々地味なので一時廃園の危機にありましたが、何とか持ちこたえています。2年後には、「イスラムの家」が登場する予定だそうですので、是非みなさん行っていただきたいと思います。