企業を動かす人に注目する(新興国投資の教祖マーク・モビアス氏の金言) | 日経ほぼ朝コメント

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「新興国投資の教祖」と呼ばれる

米大手運用会社フランクリン・テンプルトン・インベストメンツの

マーク・モビアス氏(80)は、とにかくポジティブ思考の人だ。

 

米大統領選後のドル高をきっかけに資金流出に見舞われた

新興国市場。お世辞にも良い状況とはいえないが、

同氏はまったくひるむ様子がない。

 

それは国ではなく企業に投資する、

とりわけ企業を動かす人に着目する、

という究極のボトムアップ思想によるところが大きい。

 

1億ドル(約113億円)で始めた世界初の新興国ファンドの資産を

29年で260倍にした男の哲学とは――。

 

 

モビアス氏の調査手法は徹底した現場主義だ。

まずはその国の政治経済構造の解剖。独裁か立憲民主制か。

投資関連の規制は。投資家として何ができて、何ができないのか、

を調べ上げる。

 

次に企業をみる。オーナーは。歴史は。世間の評判は。

財務・業績や事業計画、業界動向も分析するが、

最も重要なのは「企業の背後にいる人間を見ること」だという。

 

経営者の経歴、経験、野心。

「残念ながら財務諸表は恣意的に手を加えることができる。

だからこそ、(数字に表れない)経営陣のモチベーションや、

社内外の問題にどう対処しているのかを会って理解する

必要がある」

 

ファンドが大きくなり投資先が広がった今も、

年間250日ほどを世界中の企業訪問に充てる。

訪れた国・地域は70超。

そこで見聞きしたことを自分のブログにもつづる。

 

あるときはボルネオ島のアルミ精錬所で工場長と話し込み、

あるときはポーランドのショッピングセンターの陳列から

消費の変化を読み取る。広い中国の各都市を高速鉄道で

はしごし、交通渋滞のひどいバンコクは自転車で街を巡り

人々の声を聞いた。

 

新興国には政治の安定しないところも多いが

「どんな環境でも生き残り、成長できる

個別の企業を見つけるのが我々の仕事」

 

 

投資家として成功した最大の理由は

「ハードワークへの献身。

好奇心を持つこと。

偏見を持たないこと。

変わり身の準備ができていること。

柔軟であること」。

 

97年のアジア通貨危機や

2008年のリーマン・ショックについては

「危機は長く続かない。

それが我々が時間をかけて学んできたことだ」。

ショック後の急落局面は概して短く、

その後やってくる強気相場は概して長くなる傾向がある。

だから市場が恐怖のどん底に陥った時にこそ

売らずに買い増すべきだと説く。

 

 

17年の世界経済や株式相場には極めて楽観的だ。

成長志向を掲げるトランプ時期米大統領の登場で

「米経済はより大きな回復を遂げる。それは世界にとって

いいことだし、世界の貿易活動も上向く。

(市場では米国第一主義のトランプ氏のおかげで貿易が

停滞するとの懸念が根強いが)私はむしろ逆だと思う」

と言い切る。

 

対米関係の改善が見込まれるロシア、

経済改革に取り組む中国、インド、ブラジルと

いわゆるBRIC諸国の株式に軒並み強気な見方を示す。

 

米連邦準備理事会(FRB)の年内利上げが

新興国からの資金引き揚げにつながるとの観測については

「歴史的にみると、米政策金利と新興国の株式相場の

相関関係は高くない」と一蹴。

 

トランプ氏が構想する米企業の海外留保利益の還流作戦には

「企業が米国に戻した資金を配当に回す。潤った投資家が

新興国投資を拡大する」と主張する。

 

 

日本でいえば傘寿(さんじゅ)の年齢だが

「引退は考えたことがない」という。

「まだ自分の仕事を楽しんでいる。

自分が若いと思えれば、若いんだよ」

 

(6日 日経QUICKニュース)

 

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企業の背後にいる人間をみること、

というのは、

なかなか実践できている人が少ない、

投資家が強く意識すべき視点ですね。

 

徹底的な現場主義や、

偏見を持たない柔軟な姿勢など、

参考となるヒントがたくさんあります。

 

 

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