エコロジカル・フットプリント(地球の持続可能性を評価する指標) | 日経ほぼ朝コメント

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『限界費用ゼロ社会』(ジェレミー・リフキン著)より―

 

潤沢さと持続可能性に折り合いをつける際には、

「地球はあらゆる人の必要を満たすほどのものを提供して

くれるが、あらゆる人の強欲を満たすことはできない」

という、ガンディーの言葉が今なお絶対的な拠り所となる。

ガンディーは持続可能性の何たるかを直感的に理解していた。

 

今日では、持続可能性は精緻な指標を用いて

明確に評価することができる。

その指標は「エコロジカル・フットプリント」と呼ばれる。

 

持続可能性は、

全人類の生命を維持するための資源の使用量が、

廃棄物をリサイクルしたり、資源を補充したりする

自然の能力を超えない、比較的安定した状態

と定義できる。

 

エコロジカル・フットプリントは、人間の活動が

生物圏にかける負荷を直接測定する手段だ。

 

より正確には、現行のテクノロジーと資源管理の

慣行の下で、一個人あるいは一集団が消費する

あらゆる資源を生産し、また彼らが排出する廃棄物を

吸収するために必要な生態学的生産力を有する

土地および水域面積を算出する。

 

続いてその面積を、バイオロジカル・キャパシティ

(バイオキャパシティ)、すなわち、そうした資源の

算出と、廃棄物の吸収のために実際に利用しうる

生産力のある地表の面積と比較する。

 

 

過去半世紀にわたる

人間のエコロジカル・フットプリント(以下EF)の増大は、

前代未聞の勢いだ。

 

1961年には、人類のEFは、

地球のバイオキャパシティの半分程度だった。

つまり会計用語を当てはめれば、

「生態利息」は引き出しているものの、

元本にまでは手をつけていない状態だ。

 

だが2008年には、当時地球上に暮らしていた

67億人の人類のEFは、

182億グローバルヘクタール(以下GH)

(1グローバルヘクタールは、平均的なバイオキャパシティを

持つ土地1ヘクタールのこと)にのぼり、

一人当たりのEFは平均2.7GHとなった。

 

一方で、利用可能な地球のバイオキャパシティは

120億GHで、一人当たり1.8GHだった。

 

私たちは、地球がリサイクルしたり補充したりできる

よりも速いペースで、そのバイオキャパシティを

消費していたのだ。

 

 

潤沢さが持続可能性と関連づけられ、

地球のバイオキャパシティの元本ではなく、

利息のみに頼って生きるという尺度で測られる

のだとしたら、問題は、各人および人類全体の

健康や福祉を維持するために必要な生態学的資源を、

たえず補充できるだけの生物圏の力を損なわずに、

どれほどの人間が快適に暮らせるのか、だ。

 

ワールド・ウォッチ研究所

(人間が地球資源に与える影響を監視している組織)

の創立者であるレスター・ブラウンは、

答えはどういった食生活を選ぶかによって決まるという。

 

アメリカの食生活を基準にすれば、

年間一人当たり平均800キログラムの穀物を、

食糧や家畜の飼料という形で摂取することになる。

 

世界中の誰もがこのような食生活を送っていたら、

年間20億トンという世界の穀物収穫量では、

25億人の世界人口しか支えられない。

 

これに対して、年間穀物摂取量が一人当たり

400キログラムのイタリア・地中海地方の食生活を

基準にすれば、世界の年間穀物収穫量で

50億人の人口を維持できる。

 

 

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まず、こういった指標を理解して

意識するだけでもだいぶ違いますね。

 

自然環境、エネルギー、文化、経済、社会、先端技術、

などの幅広い視点から全世界を俯瞰する良書です。

 

最近の経済的な閉塞感の理由も示唆していますし、

巻末にはドイツとの比較で日本の進むべき道も

示しています。

 

 

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