A子ちゃんのお母さんのこと(3)
30歳の頃、ヒデキも愛子ちゃんも同じことを考えていた。
「連絡がないなぁ・・・。もう過去の話として忘れているんだ」
ロンドンで英語の勉強をする愛子ちゃん。アメリカで中学教師をしているヒデキ。旦那様とケンカしている愛子ちゃん。家庭裁判所で離婚調停中のヒデキ。
10年経過。
ヒデキはバツイチになって、愛子ちゃんのことを思い出した。幸福な結婚をしているなら、それでいいと思っていた。それで、形だけの年賀状を出した。
そんなある日、突然ヒデキの携帯電話が鳴り
「私、大学時代に知り合いだった愛子と申します。年賀状を受け取って電話をしているのですが、私が誰だかお分かりになりますか?」
ヒデキは、思わず、
「愛子ちゃんなの?今、幸福か?」
と叫んだ。すると、電話の向こうで泣いているのが分かった。20年経っても気持ちが同じであることが、一瞬にして分かった。
それで、連絡をとり20年ぶりに待ち合わせをした。二人ともバツイチで、愛子ちゃんにはA子ちゃんという娘がいた。ヒデキには二人の息子がいた。講師という職業まで同じだった。
2人は、20年間の空白を埋めるかのように、いろいろと話をした。愛子ちゃんは、
「ヒデキにとって、私はどういう存在だったのか気になっていた」
と言った。20代にもどったように、二人は子供を学校に送り出した後、一緒に映画に行ったり、食事をしたりして語り明かした。一緒にプールに行ってはしゃいだ。
そんな時、愛子ちゃんは
「処女をあげられず、子供も産んであげられず、ゴメンね」
と言った。
授業をしているヒデキ。
「モノを投げるとね、こんな数式で表される放物線を描いて飛んでいく」
「ネックレスをかけると、高校で習うカテナリー曲線を描くんだよ」
「それって、この世の全ては数式で表現できるってことですか?」
「そうかもしれないね。この世界は、誰かが大きなグランドデザインを描いて作り上げた可能性もある」
「神様?まさか(笑)」
ヒデキは、窓から空を見ながら、つぶやく
「愛子ちゃん、こんなことがあるんだね。早すぎるよ・・・」
「A子ちゃんは、もうあの頃のボクたちより年上だから大丈夫。でも、もっと一緒にいたかった。ひどいよ、愛子ちゃん」
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