2019年6月22日(土)14時より、文京シビックホールにて
指揮: 白谷隆
曲目: 芥川:交響管弦楽のための音楽、ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容、ラフマニノフ:交響曲2
開演のベルが鳴って、奏者たちが舞台に出てくる前に、舞台裏から「ファイトー!」と囃し立てるような掛け声が鳴り響いてきた。あれっ、これって前にも聞いたことがある。と思って帰宅後自分の過去の記事を検索してみたら、とある医療系大学オケのコンサートの時のことだった。静粛な演奏会の前にこんな掛け声出して良いの?と思う人も居るだろうけど、何しろ入場料無料で聴かせていただく演奏会であり、咎め立てする筋合いはない。嫌であれば次から来なければ良いのである。個人的にはこういうの好き。演奏する曲の曲調を損なわない範囲で、好きなようにやっていただければと思う。例えばあの賑やかなアンコールが終わったあと舞台で一斉に歓声を上げるとかしたら盛り上がるんじゃないかな。
芥川の曲は(当時の)現代音楽とは思えないような分かり易い曲であり、ちょっと日本的な響きを楽しんでいるうちに終わった。ヒンデミットはもう少し気難しい印象を受けたが、たまに耳にする「画家マチス」より楽しめたような気がした。意外だったのは楽想と楽想の繋ぎの部分で、芥川の曲と同じような楽器の構成で繋いでいくさまがあっと思うほど似通っており、近代という同時代性を持つ作曲家を連続して聴いているんだな、ということを想起せずには居られなかった。
さて最後のラフマニノフ交響曲2は? これはゴージャスな響きの演奏で大いに楽しんだ。アマオケの演奏会に通うようになって初めて聴くようになった曲であり、聴き始めた最初のうちは、目の前の演奏から出てくる音のどの部分に注目すれば良いのか、言い換えるとどの音が主旋律?なのか分からなくて随分苦労したものだった。しかしその後数回の実演を聴き、「らららクラシック」での解説にも助けられ、あらかたどんな曲なのか分かってきて、徐々に楽しめるようになった。(単に私の感想ですが)ブラームス3の第3楽章、マーラー5のアダージェットと同様に、この曲の第3楽章は別格の魅力があるのである。何が別格かと言うと、通俗的だ、とか、前後の楽章との繋がりが悪いのでは、とかの余計なことを考える前に、すぐ音楽に引き込まれてしまう、という意味でだ。こういう楽章が含まれていると分かっていれば、他の楽章を聴いていても(我慢できるとまでは言わないが)かなり心持ちが違ってくる。
この日は大人数による演奏であり、小編成の方が好きな私の好みとは違ったのだけれど、この曲は大編成オケに合っているのか濃厚な音場に浸れた。メロディーラインの提示もバランス良くなされていたようだった。こう感じた一因は私がだいぶこの曲を分かってきたからなのかもしれない。聴いていて、次にどんな音が出るのか、少しずつ予想できるようになってきている。
かくしてラフマニノフ交響曲第2番は、これまで聴いてきた中で一番私が没入し楽しめた演奏だった。ありがたいことである。
アンコール、ラコッツィ行進曲の舞台には、もう一つ大きなオーケストラが出来るんじゃないかと思うほど大勢の奏者が加わり、弦楽奏者は立ち弾き状態。大混雑山盛りの舞台となった。本番中は曲により奏者の入れ替えを行っていたとは言え、これだけの方々が舞台にあがって演奏したいと思っているのだ。少なくとも、この「フェスティバル」が如何に学校で弾いている奏者から熱望されているのか、を想像できた。アンコールの当初、なぜ皆さんがとんがり帽子を被ったりパーティーの小道具を身に付けたりするのか分からなかったけれど、そうだ、これは「フェスティバル」なのであり、アンコールは祭りの打ち上げなのだと理解するに至った次第である。