創立演奏会だから、というわけではなく、演目にエルガーの交響曲1番があったことに惹かれて、大田区民ホールアプリコに出掛けた。「というわけではなく」という表現が続くけれど、エルガーの交響曲が好きというわけでもなくて、とても信頼に値する音楽好きの友人が聴いた藤岡幸夫の演奏会でエルガーの交響曲に感激したと聞かされて以降、そのような良い世界があるのなら、それを楽しめるようになれたら良いだろうなと思って、CDなどをポチポチ聴きつつ私なりに「勉強」してるジャンルなのだった。(ちなみに威風堂々は、分かっちゃいるけど聴くたびに感激する。「愛の挨拶」は聴いていると何故か胸苦しくなる。)
聴いてみると、上手な演奏で良い音が出ているのに、音楽に浸ることが出来なくて、今回のエルガーの交響曲への挑戦は(CDでの時に続き)壁に撥ね返される結果となった。冒頭の親しみやすい前奏が終わり主部に入ると曲のストーリーが分からなくなってしまうのである。この曲を聴くといつもこうなる。演奏会後ことのとを同伴した家族に話したら、なんと、「いい演奏だったよ。すごく上手で、聞こえてくる音を楽しんでいればそれで十分だった。」と羨ましいくらいの感想だった。私は「分かる」とか「分からない」とか、理屈で聴きすぎるのだそうで、そう言われればそうなのかもしれない。しかし何も考えずに座っていれば理解できたのだろうか、そんなことはなかったろう、とも疑う。
帰宅して持ち合わせのCDを聴いてみると、不思議なことに以前より分かり易くて楽しめるようになっていた。(ショルティ・ロンドンフィル)
この演奏では合奏の中からストーリーとして聴いて行くべき音が明瞭に聞こえてくる。(以前はどうしてこれが聞こえてこなかったのだろうか) これをまた聴けば今度こそ「分かる」かもしれない。きっとイレーネの演奏を聴いて「分かる」ための下地ができたのだろう。
演奏会最初の曲、シルビアの組曲は耳にする機会の多い素敵な旋律が次々と出て来てワクワクした。しかし会の最初のせいかミスも多かったし、合奏の中に聴くべき旋律が埋もれてしまうことも多かった。
次のチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」はとても素晴らしかった。チャイコフスキーの魅力がフルスロットルでまき散らされているかのような、胸を締め付けられるような甘美さに満ちた演奏だったと思う。劇的でもあり、まるでチャイコフスキーの出来の良くて簡潔なもう一つの交響曲を聴かせていただいたように感じた。プログラムを見て分かっていたことだが、ホルンにトレーナーの下田さんが加わっていて、アマオケでネックとなることが多いこのパートがどしっとしたことも大きいはずだ。実は先般別のアマオケの演奏会で下田さんの演奏するシュトラウスのホルン協奏曲に感激したばかりであったので、プログラムに挟まれた演奏者リストを見て狂喜していたのである。突出することなくしかも美しい!
このオーケストラは医科学生オーケストラ(医オケ)への参加者が主体で、2014年入学者を中心に作られた楽団とのこと。医オケとは全国の医学部、看護学部などから学生が集まって練習し演奏会を行うものだそうだが、そう言われてもどんな活動なのかピンと来ない。その中から卒業後も一緒にやって行こうという趣旨のイレーネなのだと思う。たっぷり過ぎるほどの参加者で出発したこの楽団。5年10年経ったらどう変わっていくのか、興味の湧くところである。