マチネはホリプロミュージカル【ジキル・アンド・ハイド】を。

ソワレはセイレンミュージカルプロジェクトの【リーガリー・ブロンド】を。

この記事ではマチネのジキハイについてです。
この作品は4年前の日生劇場での公演の時に前楽で初めて鑑賞し、楽曲の良さと、トップスリー(石丸さん、濱田さん、笹本さん)の歌声の凄さにやられて、この三人の歌声をもう一度聴きたい!と、翌日の千秋楽を当日券で観に行ったら、今度はストーリーの切なさに涙腺崩壊ノックアウトされてしまった(笑)、そんな作品です。
そうそうそう、切ない作品って初見よりも二度目の方が染みるんだよね。
あれから4年、会場を日生劇場から国際フォーラムCホールに移しての再演。
プログラム購入。

来場記念、日付入りポストカード。

今回の座席は1階7列(実質3列)センターブロック、下手側通路。
前期の日生の時は1階L列下手ブロックと2階A列センターブロックだったので、前二回よりもずずいっと舞台に近付き、役者の表情も良く観える状態。
ただ、四季劇場と比較すると、オーケストラピットが随分と浅いらしく、座った状態でも演奏者が何人も見えるのが気になったなぁ。
指揮者の塩田さんが、演奏者だけではなく、役者にもキュー出ししてるのが見えて面白かったけど。
以前からのキャストの変更は以下の通り。

実際はこの3倍近い役者が出ているけど、見ても区別付かないので、主要所のみ。
主人公ジキル博士が長年の研究の末、人の中にいる善悪二つの顔を分離させ、悪のみを追い出す事で悪人はいなくなる…という理論のもとに完成させた薬。
周りの反対を押し切って自身の身体で実験を行い、実験は成功したかに見えたが、ジキルの身体は悪の顔、ハイドに支配されてしまう。
ジキルの裏の顔、ハイドによって次々と人が猟奇的に殺されていく中、最後はジキルとハイド両方の人格が表に出てきて激しくぶつかり合いながら最愛の妻を殺そうとしたところを、親友アターソンによって狙撃され、妻の腕の中で死ぬ悲劇。
まぁ、ストーリーは至って有名なアレです。
しかし、主人公若しくは準主役が、ヒロイン若しくはそれに準ずる女性の腕の中で死ぬ作品を、最近立て続けに観てる気がするなぁ。。。
◇エマの腕の中で死ぬジキル(ジキル・アンド・ハイド)
◇マリアの腕の中で死ぬトニー(ウェストサイド物語)
◇リンの腕の中で死ぬスパイク(I HAVE A DREAM)
一番気丈だったのがエマ、一番ぶっ壊れたのがマリア、一番泣かせたのがリンですねえ(何)
はい、特に日本人女性が好むと言われるハッピーエンドよりも、お互いに想い合いながらも結ばれない悲劇の方が好きな、どうも僕です。
楽曲について。
個人的に好きな楽曲のみ触れますが。
◇【ありのままの】(ジキル、エマ)
これ。初めて観た時にこの曲にやられました。
二回目(前期千秋楽)の時は、石丸さんがこの曲の一番の高音のところで声が上がりきらなかったのが残念だったので、今回はどうかなーと思って聞いていたんだけど。
石丸さんは問題なくクリア。
しかし気になったのが相手役の笹本さん。
前期はこの曲、エマの一番の高音の場所も比較的地声寄りの声で歌ってたのに、今回は早い段階からファルセットに切り替えて歌ってました。
ファルセットになると声量も落ちるし、前期に聴いた時の歌声が好きだったので、ちょっと違って聞こえた今回は残念でした、
◇【連れてきて】(ルーシー)
濱田ルーシーがナンバーワン娼婦として演じるショーの一場。
相変わらず凄い声量ですね。
しかし今回、歌の最後に出す声が全然色っぽくなかった!
前期は♪ハァン…と息を吐く様な声だったのに、今回はあからさまに狙った様な♪うっふん…だった。
ええーーーー…。
◇【時が来た】(ジキル)
石丸さんお気に入りらしい曲(笑)
コンサートで歌う時はノリノリになって歌ってしまい、後から袖で観てる役者仲間にツッコミを貰うらしいです。
でも、ジキルの曲で一・二を競うビッグナンバーですよね。
全身鳥肌。
舞台上でジキルが一番格好良く観える演出も、多分この曲だろうなぁ。
◇【あんな人が】(ルーシー)
めっちゃ美しい曲!
この曲も大好きです。
劇中にもルーシーに関わるシーンでBGMとしてこの曲のインストが掛かるところがあって、ルーシーのテーマ曲として印象深いですね。
◇【事件、事件~レクイエム】(アンサンブル)
二幕冒頭の曲。
事件 事件 気がもめる
事件 事件 気がふれる
事件 事件 日がくれる
血飛沫 夜の惨劇
♪夜のーさーんげーきーの部分が好き
◇【その目に】(エマ、ルーシー)
お互い何も知らずに、ジキルに対する思いを切々と歌うのが切ない。
生きがいそこにそう その目に…って歌詞が、綺麗なハーモニーと裏腹に、この曲に込められた重みを語るようです。
最後に離れていた二人が並ぶ様に立って、何もセットがない空間で、背後から射す白い光に浮き上がるエマとルーシーの姿が格好いいんだよね。
◇【新たな生活】(ルーシー)
このシーンの、ルーシーの血で一気にベッドが染まる演出が良かった。
過去のキャストの公演はわからないけど、現行のキャストでのこの作品の見所と言えば…
善と悪の二役を一人で演じ分ける石丸さんの豹変振り。
この作品である種の新境地を切り開いたという、濱田さんのお色気振り。
実際の炎が舞台上を這いずり回り、人の身体を焼く一幕ラスト。
そしてクライマックス、かなぁ。
石丸さんの豹変振り。今回初めて表情まで見える座席で観たんだけど、あれは凄いですね。
ほとんどの場合は袖中で変わって出てくるけど、一場か二場かだけある舞台上で変わるシーン…あれはあまりの変わり振りに逆に嘘っぽく見えてしまいかねない危うさはあるけど(笑)
ジキルの時とハイドの時で、利き腕が変わるのもポイント。
クライマックスではジキルの利き腕がハイドの利き腕を押さえ込もうとする動きも見られ、これが一つの身体の中で二つの人格が戦ってる様を表現します。
濱田さんのルーシーは、相変わらずいろっぺえですが、逆にジキルに心を開いてからのルーシーのピュアっぷりは相当ですね。
特に、アターソンから手紙を受け取ったあたりから、悲劇の『A NEW LIFE』まで。
人気ナンバーワン娼婦から普通の女の子に戻る。もしあれが娼婦のままだったら、A NEW LIFEもここまで悲しいシーンにはならなかっただろうなぁ。
ラスト、無事エマとの結婚式を迎えたジキルに再び、ハイドの顔が浮かび上がるシーン。
エマにだけは見せたくない!と必死に懇願するジキルの気持ち虚しく、ハイドとしてエマに襲い掛かる。
そんな中でも何とか踏みとどまろうとするジキルの意識と、そんな姿になったジキルを最後まで信じようとしたエマの愛、そして親友に銃口を向けるアターソン。
もうちょっとジキルとハイドの間で激しいぶつかり合いがあったと記憶してた自分には、あまりにあっけなくハイドを打ち殺したアターソンに驚いたけど、そう言えばその位あっさりしてたかも、と今更ながらに思ってみたり。
うーん、前期ほど感動はしなかったかなぁ。
いい作品である事には間違いないので、また観に行きたいなぁ。とは思うけど、前期の二度目の様な涙はありませんでした。
この記事にポチっとな。