肌の色で人種差別する風潮が色濃かった時代のアメリカで、小さな縄張りを巡って敵対しあう血の気盛んな若者グループの中に生まれた小さな恋と、それを巡る泥臭い人間模様を描いた不朽の名作、四季での上演は3年振りで、今回から演出が新しくなったとか。
キャストボード。

前回鑑賞からのキャストチェンジは以下の通り。

色分けは、前期から役柄だけ変わった役者さんです。
プログラムも購入。

座席は最前列センターやや下手寄り。主にラブシーン(トニー&マリア、ベルナルド&アニタなど)が行われるポイントに合わせて取ったかの様な席です。
今回、同行者さんの都合で、10分弱の遅刻。
オープニングこそ観れなかったものの、ジェットとシャークのイザコザの経緯がわからなくなるほどは遅れませんでした。
旧演出の頃に一度観ただけなので、新演出と言われても、元々をさほど覚えておらず、そこまで変わったなぁと言う印象は受けられませんでした。
ほとんど初見と替わりませんが、変わったなぁと感じたのが、まずシャーク団のロザリア(若奈さん)の衣装。
前は顔の半分をも覆う様な大きな眼鏡を掛けてて、記憶では確かカーリーのツインテールっぽいイメージだったんだけど、今回は眼鏡なし、カーリーのシングルテールでした。
あのデカい眼鏡とカツラで顔の半分を覆っていても若奈さんとわかるのに、今回はまんま若奈さんです(笑)
あと、トゥナイトのシーンが少し変わったかな。ブエナスノーチェスって言う回数とか段取りとか。
セットも少し変わった?前のセットを覚えてる訳ではないので直観的に感じた事なんだけど、少し退廃的になったかと。
マリア、トゥナイトなどの前半の見せ場が全体的に記憶の中にあったより前倒しになってたイメージで、あれ?このシーンってこんなに早く出てくるんだっけ?と感じる事も多々。
前半はやはり、派手なダンスを汗だくになりながら踊るシーンや、WSSの代表曲(マンボ、マリア、トゥナイトなど)の目白押しに引き込まれます。
マリアって曲は名曲でありながら、静かな曲ってイメージだったけど、神永さんの歌うマリアは迫力満点。
一昨年観たレ・ミゼラブルでヤン・ジュンモが歌ったBring Him Home同様、元々あまり自己主張しない曲を、ライブとして迫力満点に聴かせる(かと言ってコンセプトズレを起こす程派手に歌う訳ではない)韓国人俳優の歌声はやはり凄いものがある。
ただ、攻撃的なリズムのマンボ、切ないイメージのマリア、トゥナイトなどのビッグナンバーに隠れたその他の曲が、軽くて楽しい雰囲気の曲が多いのにはちょっとびっくりした。
ビッグナンバーのイメージに作品のイメージが支配される事は多々あるし、その他の曲が自分の中に形成される作品(=ビッグナンバー)のイメージにそぐわない事は珍しくはないけど。
あ、あと比較的早い段階で、マリアがトニーに、トニーって名前は何の愛称なのかを聞くシーンが、前からあったのか何なのか知らないけど、とにかくあります。
アントン。
ちょーーー、トニーが本当はアントンなんて、トニーのイメージが崩れるわーーー!!
トニーはトニーであって欲しかったし、そもそもアントン自体、アントーニオの愛称じゃないか!
あとですね。
ジェット団という不良グループの頭にしては声に迫力がなく、高くて力が抜けそうな感じの声の松島リフ。
見た目に反して声には色気より男勝りな感じが浮いてる岡村アニタ。
刑事なんだけど悪だくみを持ち掛けるキャラにピッタリな志村シュランク。
…もう、クレイジーフォーユーが見え隠れして仕方なかったYo!!
特にトニーに一緒にダンスパーティーに来てくれよと頼み込むリフなんて、ボビーチャイルドそのものじゃないか!
そして前半クライマックスから後半に掛けては、子供には見せられない(大真面目)なシーン連発。
ベルナルドがリフを刺殺し、トニーがベルナルドを刺殺し、アニタがジェット団の男衆の中を回されてあんなにあからさまにレイプされ、そしてトニーがチノに射殺され、気が触れたマリアが狂気に満ちた表情で、全員を殺すだけの銃弾はあるのか…とか呟き、自分の頭に拳銃を突きつけ…。
はっきり言って教育上宜しくない。
そんなダークな面が押し出された展開の中で異様とも感じるのが、SOMEWHEREのシーン。
全員が真っ白な衣装、なんのセットもない舞台上に青空の様な背景と作品のカラーを思いっきり覆す明るい照明。
言いたい事は何となくわからないでもないんだけど、あまりに突飛なシーンで、いまいち伝わりにくいなぁ。。。と感じたのが正直なところ。
そして、ソプラノソロってあれ、影歌だったんだね。正直知りませんでした←。
マリア役の山本さんは、あの影歌からヒロインにまで上り詰めたんですねー。
びっくりしたのが、トニーが殺された時のマリアです。
可憐なお姫様的イメージのマリアが、あんなに大きな口を開けて天を仰いで慟哭する、一瞬にして気が触れたのがわかるシーンですが、正直あの演技にはびっくりした。
奇しくも先日観たミュージカル座の【I HAVE A DREAM】で恋人のスパイクを殺されて慟哭するリンとダブって見えたなぁ。そう言えば時代設定も近いかも。
そして、お涙頂戴な飾り付け(演劇的要素)はなく、淡々と終わりを告げる。カテコのBGMもなく、観てる側にも少しの逃げ道も残さない本当の悲劇。
初演から40年以上経つ古典作品だけど、名作はいつまで経っても色褪せない事を示してる作品じゃないかと思います。
終演後は、ご一緒した友達と九十九ラーメンでチーズたっぷり濃厚トマトラーメン♪


美味しく頂きながらトークも弾んで、ラーメン屋なのに90分超も居座ってしまった…(笑)
素敵な頂き物もしてしまいました。ありがとうございます♪

とても楽しい休日でした。
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