
本当は27日がこの作品初見になる筈だったんだけど、とある四季仲間の友達にそそのかされて(?)知らない間にチケット取ってました←。
開演前には、当日観劇予定がない別の四季仲間の友達も交えて、みんなで久し振りのハレヤ。

相変わらずの人気店で、あと少し入るのが遅ければ行列に並ばされるところでした。
劇場は、自由劇場。

クリスマスイブの昼下がり、当日は小さなお子ちゃまもたくさん。
ロビーにはかわいらしいゾウが。

ツリーの上にもいました。

プログラムも購入。ファミミュのプログラムは安くていいね。

こちらキャストボード。

チーム制を取るファミミュならではなのか、開幕間もないのに早くもキャストが大きく入れ替わっております。
特に《ひろめ屋》は早くも三人目。
劇場内に入るとまず目を引くのは舞台セットでしょう。
サイドの壁にまで施された装飾、歌舞伎の劇場の様な枠取り、そして定式幕と呼ばれる柿色・黒・緑色の三色からなる緞帳。
スピーカーは行灯の様なデザインをかぶせてあります。
緞帳はデザインだけではなく、本物の定式幕で、拍子木に合わせて下手側から上手側に向けて手動であけます。
これだけでも、一連の輸入ミュージカルはもちろんのこと、オリジナルミュージカルや他のファミリーミュージカルとは一線を画する作品であることがわかりました。
ストーリーは公式から。
※ネタバレ注意です。
オープニングでは、ソンダンようこそでも披露された『おれはひろめ屋』から。
ソンダンバージョンよりもずいぶんと賑やかだった印象。
と言うか、ほとんどソロナンバーらしいソロナンバーはなかったんじゃないかな?
第一幕では、唐の国の使者と共にゾウがやってきて、よく物を食らう『九郎衛門』と名付けられ、人気者になるところから、戦の為に殺傷処分を命ぜられた九郎衛門を連れて亡命するところまで。
このゾウがまたよく出来てます。
耳が動く、目が動く、鼻が動く、物を食べる、鳴く、それらの動作がただ動いてるだけじゃなく、本当に表情を描いているのです。
鳴き声は金管楽器、恐らくトランペットかトロンボーンか何かの音で表現されてました。
気になったのは登場人物たちの台詞。
全ての人物ではないものの、恐らく北の村の人々に分類される、おミヨちゃんや松吉じいさん、与作さんなどが喋ってた言葉は、たぶん【ユタと不思議な仲間たち】で使われてるのと同じ南部弁なんじゃないかなって気がしました。
響きがとても良く似てます。
ひろめ屋のお陰で遠方からも来訪者が絶えない人気者になった九郎衛門、殿様自ら藩の宝にせよと命じたのに、戦が始まると一転、暴れるかも知れないから殺せ、と。
自分たちの都合で、命を物の様に扱う、わかりやすい悪役ですが、物語の事と笑えないのが複雑なところ。
二幕では北の村まで逃げ延びるところから始まりますが、吹雪に立ち往生を強いられる太郎坊と母のおゆきを吹雪から守ったのは、他ならぬ九郎衛門だった、という所に早くも泣きの要素が。
まぁ、泣きませんでしたけど←。
運よく北の村の人々に救われた太郎坊とおゆき、二人は洞窟の中にいた…と聞かされるも、その洞窟は、二人を雪からかばう様に覆い被さった九郎衛門だった、ということ。
この時、語りの役割もしていたひろめ屋の台詞がまたいいんだ。
太郎坊とおゆきが村人に連れて行かれるのを確認した九郎衛門は、静かに足を折って蹲った、…みたいな事を言うんですよ。これはぐぐっときました。
それに引き換え人間、九郎衛門を助けに行こうとする人間と、ゾウを殺せという殿の命令に背く事になる、打ち首になるかも知れない、と言う事から九郎衛門を見捨て保身に回る人々。
口ではどっちだどっち、と言い争ってたくせに、いざ決行となったらほとんど全員が保身に回ってしまった。
そう、長い物に巻かれるのが人間だ…と言う様子を表してるかの様でした。
極々僅かの人々で九郎衛門の所に戻って、でも冷凍マンモスになりかかってる象に人間が出来る事なんて、よくよく考えたらありっこない、でも何とかしようとしてくれた人間を助けるべく、この後に九郎衛門が取った行動が、恐らくこの作品最大の見せ場。
クライマックスは泣けますね。
展開を見ているうちに、ああ…きっとこういう結末を迎えるんだな…と言うのは予想出来るんだけどね。
でも、そうであって欲しくなかったなぁ。
ハッピーエンドで終わる事が多いファミミュの中では、異例的な悲劇作品です。
なんとか暗く終わらないように工夫はされてますが、本当にファミミュでこういう結末って珍しいと思います。
面白いシーンには大声を上げて笑い、キャストの問いかけには馬鹿正直に返事をする子供たちに、何か伝わるものがあっただろうか?
他のファミミュ同様だと思いますが、この作品が伝えようとしてる事を理解出来るのは、大人になってからなんだろうなぁ。
やっぱり、ファミミュって子供向けに作ってあるけど大人向けだと思う。
他のシーンとして、ミュージカルとしては珍しく歌もダンスも少ない代わりに、端唄や語り、人形劇など、古典芸能の文楽に通ずる要素が多い作品です。
異色な作品だけど、いい作品でした。
また、主役が立つべきカテコのセンターに黒子が立つのも、この作品ならではかもね。
因みにその黒子は、九郎衛門の中身の二人、主役なのに本編中には出てこない役者たちです(笑)
終演後のお見送りでは、ゴンじい役の吉谷昭雄さん、おミヨ役の守山ちひろさん、ひろめ屋役の佐野正幸さんと握手出来ました。
この記事にポチっとな。