映画【ヴィオレッタ】 | たかびの自己満観劇ブログ
2011年、カンヌ映画祭で絶賛と非難を巻き起こし『問題作』と言われたフランス映画【ヴィオレッタ】を鑑賞してきました。

映画の性質が影響してか、日本での上演は非常に小規模で、全国併せて僅か8スクリーンのみでの公開。

東京では渋谷にある、イメージフォーラムというミニシアター1ヶ所のみ。

【ヴィオレッタ】(原題:My Little Princess)は、幼少期(5歳~13歳)に写真家だった実の母親にヌードモデルにされたエヴァ・イオネスコが自ら監督として撮った自叙伝映画です。

観た率直な感想…酷い。

これが、実話を元に作られた作品だなんて、あまりに酷い…そう感じずにはいられない作品でした。

母親のエゴにより、少女の人生がどんどん狂って行く様が描かれていました。

芸術家として高いプライドを持つ母親の、芸術の為に娘の人権を無視しているとも取れる(母親はそれを娘の幸せと勘違いしている)過剰かつ狂気じみた要求。

疑問を抱きながらもモデルとして母の要求に応えようとする、或いは反発するも母親の脅迫に屈っする娘。

そしてそれが原因で学校で孤立し、また子供としてあるべき姿から逸していく娘。

幾らその苦しみを娘が悲痛に訴えようとも、母親は、所詮は芸術を理解できない凡人の言う事、お前は特別な人間なんだから、凡人どもの言う事に耳を貸す必要は無い、と取り合わない。

法の裁きにより、母親は娘を撮る事を禁じられた後も、これまでに撮った写真は自分の知的財産だと主張し、娘の訴えを聞かずに雑誌に売る。

衝撃的な作品でした。
子は親の所有物ではない、意思を持つ一人の人間である。

そんなのは当たり前の事、わかりきっている、と思いながらも、我が子に自分の意思意向を強く植えつけようとする親が多いのもまた否定できない現実であり、それに対する強い警告が込められた作品でした。

ちなみに、ヌードモデルをやらされた子供を主役とした作品ではあるが、子供のヌードを扱った作品ではないので悪しからず。

※ただし、これを修正なしに公開するなんて日本の映画倫理も変わったな…と思うシーンはややありました。

エヴァを演じた女優は、新人だそうですが、非常に良い演技をしていたな…と言う印象。

恐らくDVD化はされないでしょう。

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