
同作品の鑑賞は2年1ヶ月振り。
その間、大阪での突然の上演中止と言う、一連の演目変更ラッシュの一端を担った作品ですが、あれは一体何だったんだろう?
東京でまた上演していると言う事は、権利関係に起因する理由ではないんだろうけど…。
劇場は前回の秋劇場から、自由劇場に変わりました。
キャストボード。

前回鑑賞(2012/2/15)からのキャストチェンジは以下の通り。
デュティユル:飯田洋輔さん⇒下村尊則さん
イザベル:樋口麻美さん⇒坂本里咲さん
デュブール医師/警官2/囚人/弁護士:寺田真実さん⇒明戸信吾さん
全11役中変わったのは3役のみですが、これまた最近の四季の流行り?なのか(田邊スカイと言い、ね)過去キャストの登場ですねぇ。
里咲さんのイザベルは石丸デュティユルとコンビだった時代以来6年半振りですか?
更に下村デュティユルは、石丸さんより古いデュティユルで12年振りとか。
明戸さんはどうか知りませんけども。
歳食っただの何だのと色々な非難も聞かれますけど、やっぱり昔のキャストが今の時代に観れるってのは、昔を知ってる層にもオレみたく昔を知らない層にもありがたい事ですよね。
入口で配られたテーマ曲【壁抜け男のソロ】の歌詞カード。

プログラムも購入。

そして、1月から行われてる3ヶ月連続鑑賞キャンペーンが今作品で1冊分貯まったので賞品と交換。

ICカードステッカー、全8種類から1枚貰えるものだとばかり思ってたんだけど、8種類1セットを台紙付きで貰えると言う意外な豪華さ(笑)

座席は最前列センター、やや下手寄り。
全くの偶然なんだけど、隣の席が友達でお互いにびっくり仰天(by ハリー@マンマ・ミーア!)でしたが、こんな事って実際にあるんですねー。
んだば雑感。
全編通じて95%以上が歌で構成されているソングスルー形式のミュージカル、かつブロードウェイやウェストエンド発のミュージカルの様な、いわゆる音楽的な山場がない作品なので、やっぱり忘れてるシーンが凄く多かった印象です。
個人的に前回鑑賞からずっと印象に残っていたナンバーは…
【公務員のコーラス】(♪俺達役人だ~よ 勤めは郵政省…)…公務員の怠慢ぶりを歌った曲で、初めて聴いた時は、ともすれば公務員を小馬鹿にした様な歌詞に、おいおい…大丈夫か?(^-^;)と思った曲です。
【タイプを打つデュティユル】(♪お手紙ありがとうございます~前にも確か頂きましたよね)…手紙の内容を歌にした曲だけど、テンポ良く割り振られた歌詞を難しいメロディに乗せて歌う、聞いてるだけで歌うのが相当難しい事がわかる曲なので、面白いけど難しい曲と言う印象が強かったナンバー。
【商人のワルツ】(♪マルシャン通りの商人さ~)…メロディーを覚えやすいのと、前回の鑑賞時に参加したプレステで、この曲の解説があったので覚えてました。
【受難のマリア】…他の公務員仲間と一緒にデュティユルを見下していたM嬢が、実はデュティユルの事が好きだったと歌う曲。本当に好きだったのか、或いは壁抜け男人気に便乗したいだけなのかはともかく、♪デュティ~ユル!デュティ~ユル!と言うメロディがとにかく印象的でした。
そう言えば、M嬢のMってマリアのMなのかな?
【壁抜け男のソロ】…ソンダンでも取り上げられたこの作品のテーマ曲。今回も1幕バージョン、カテコバージョンの他に、カテコバージョンで客席との合唱が2度も(!)行われました。
あと、どの曲に当たるのかわからないんだけど、裁判のシーンで♪やーりすーぎー検事~首を~はねる~…とHappy Birthday to youのメロディで歌われる曲。
なんと全48曲中6曲しか覚えてなかったと言う(笑)
自由劇場の最前、近いっすね!(笑)
二幕冒頭ではマルシャン通りの商人たちが舞台の下に立って歌うシーンがあるんですが、脚を伸ばせば蹴れる距離に有賀さんが…。
キャストのついて
下村デュティユル…元々下村さんの顔が濃い所へ持ってきて、更にモミアゲと繋がる程の顎髭と口髭のせいか、とっても気持ち悪いオッサンな印象…前期鑑賞時に飯田兄が作った爽やかなイケメンと言うイメージがガラガラ崩れ落ちました。
前期のデュティユルは髭なんて生やしてなかった印象だけど、今回はダブルキャストで出てる飯田兄も髭を生やしている様子…これは演出の変更なのかな?
あと、他でも指摘があった通り、思い切り口をパクパクしながら歌うので、どうしても歌がぶつ切りに聞こえます。
これがダメ…と言う人も少なくないかも知れないね。オレはそこまで気にならなかったけど。
しかし、高音キツそうだね…。
♪僕は怪盗ガルガルだー!と言う部分とか、スカーンと気持ち良く音を出しきらずにちょっと抑え気味に歌ってた印象…あれはあれで喉に負担掛かると思うんだけどなぁ。
里咲イザベル…里咲さんが演じる、里咲ベル(BBのベル、壁抜け男のイザベル、間奏曲のイザベル)は全て“若い”と言う共通設定(台詞に表される程の)があるのが気になりますが(笑)
でも、その中でも壁抜け男のイザベルはそこまで違和感なかった印象です。
イザベルの事を“若い”と言うのは、旦那の検事のみなので検事役の青木さんに取ってみれば、里咲さんも“若い”事には間違いないし、青木さんの妻として、そこまで異常な程若妻である必要もないかなぁと(笑)
それに、ヒロインの割にはそんなに前面に出てこないしね(笑)
佐和娼婦…見るもコテコテですねぇ…昭和三部作に出ていた時の淑女な印象とは大違い…(笑)
佐和さんって素は結構おっとりした天然系な方だけど、このドギツイキャラも違和感なくこなせるのが凄い。
しかし、佐和娼婦が持ってくるお香の匂いはどうにかならんかね…すっごい臭い。。。
戸田M嬢…取り敢えず最前で観てると、M嬢が前かがみになってポーズを作る度に豊満な谷間が目に飛び込んできます(爆)
そうなる衣装なんだろうな…M嬢のキャラ的にそれが合ってるかどうかは別として。
戸田さんってM嬢以外だとマダム・ジリーな印象なので、戸田さんはそう言う肉情的キャラとは無縁なイメージなんだけどなぁ…(^-^;)
久居A夫人…久居さんって、プログラムに載ってる名鑑の写真が“かなりアレ”じゃないですか。
なので、A夫人にしてもトリバーにしても、実物を見る度に写真よりかなり綺麗でびっくりするんだけども、壁抜けの時は特に後半に出てくる共産主義者の時がすっごい綺麗だよね。
金本B氏…B氏の時の、笑顔でコーヒーをかき混ぜてる金本さんが大好きなんです(笑)
すっごくインパクト強いんだよな、あの顔。
川原C氏…公務員枠の中では比較的出番も多くソロもあるC氏なんだけど…多分、この日出てる役者さん全員が素顔で街中を歩いてたら、少なくとも男性の中では川原さんだけ気付かないだろうなぁ…と感じる今日この頃(笑)
良くも悪くも普通なんですよね、顔が。普通にサラリーマンに混ざって電車に乗ってそうな(笑)
明戸デュブール医師:明戸さん、あの道化師みたいなデュブール医師の衣装が凄く似合う!のはもちろんなんだけど、囚人の時の可愛らしさが凄くインパクト強い(笑)
有賀新聞売り:初演から10年以上、一貫して新聞売りな有賀氏。それはイベントで佐和さんにイジられるわな…(笑)
そして有賀さん本当に童顔ですねぇ。それは19歳の時にCAに子供と間違われるわな…(以上、前期公演のプレステより)
青木部長:こうして、誰々何々(役者名/役名)で呼んでも一番違和感がなければ、見た目的な面でも一番違和感ないのが青木さん。
部長と言い検事と言い、嫌な奴づくめですね。
永井画家:実はとっても教え魔と言う永井さん、初演から出てる有賀さんや佐和さんに、そうとは知らず熱心に歌唱指導してしまったと言うエピソードばかりが印象に残ってます(笑)
以上、全11人とミュージカルの中ではかなり出演者が少ない(大掛かりなダンスが無いのでダンサーのアンサンブル枠が無い)のも壁抜けの特徴と言えば特徴と、今は退団してしまった元・デュブール医師役の寺田さんがおっしゃってました。
本編について
大きなセット転換が無い分、細かな演出が凄く目立つ舞台ですよね。
好きな演出は、デュティユルが初めて壁の中に入り込んでしまった時の演出。
素材はなんだかわからないけど(色が付いたアクリル板かなぁ…)僅かな遮光性がある素材で作った窓の向こうで、照明が当たってる所だけ見える性質(遮幕と同じ性質)を利用して、壁の中から手足が出ているかの様に見せ掛ける演出。
それと、パン屋が宝石屋に衣替えをする演出⇒客に見えてる状態で素早く看板と展示品を変える工夫が上手いなーと毎回思います。
逆にイマイチと思うのが、壁の中から頭を出して部長を脅かすシーン…デュティユルに似せてあるのはわかるけど、人形の頭を使ってるのがすぐにわかります。
あと、エンディングのシーンが特に今回秀逸な出来だったなと思いました。
壁から抜け出せなくなったデュティユルの元にイザベルが寄りそうんだけど、寄り添ったイザベルが本当に自然に壁の中にスーッと溶け込んだ様に見えました。あれは里咲さんの演技がそう見せた?
前回樋口さんで観た時は、その後に二人を隠す【デュティユルとイザベルの絵】で感動したんだけど、今回はその絵が出てくる前に、生身の二人が演じてるそれ自体が絵に見えて感動した。
カテコは全てのシーンをプレイバックするかの様に各々のテーマ曲をみんなが少しずつ歌うので、特にテーマ曲が多いC氏や部長は慌ただしいなーとか思って観てました(笑)
そして最後には、デュティユルの音頭で客席と【壁抜け男のソロ】を合唱。
入口で歌詞を渡されたけど、歌詞を見なくてももう暗記してます(笑)
『先程の曲をもう一度…』と客席に促す下村さんも、さすがに二回目は少し笑いをこらえてる様な表情(笑)
地味だけどいい作品なんだよなーこれ。
たまに観たくなる作品です。
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