本来は3月中旬に行われる予定だった公演だけど、震災による事実上の公演中止を経て、同じ作品を別の公演として上演する事が再度発表された今回。
名目上『延期』ではなく『公演中止と再公演』なので、3月のチケットを一度払い戻してから新規にチケットを取り直した感じです。
他の公演みたく、中止になった公演のチケットを振替公演でそのまま利用出来る形ではなかったので些か不便ではありましたが。
公演日程の組み直しに伴って劇場が新宿サザンシアターから池袋サンシャイン劇場に変更になったお陰で、元々時間的にギリギリだったのが遅刻確定となってしまいましたが…。
しかし予定よりも早く着き、10分程度の遅刻で済みました。
今回、一人芝居というジャンルの舞台を初めて観たのですが、本職は言わずと知れたコメディアンのウッチャンが作・演出・出演まで手掛けたという事で、笑いに満ちた作品でした。
作品の内容は東京オリンピックの年、ですから1964年(昭和39年)生まれの、何でも1番を取る事に喜びを感じた1人の男性の半生、栄光と挫折、奮起と堕落、一人称で回想録を語る芝居でした。
男性の年齢に年別の世の中の代表的な出来事と流行歌を絡めて進行していく中で、神童と呼ばれる程万能だった幼少時代から、成長に伴う様々な環境の変化や無知が祟っての苦難の連続、出会いと別れ、成功と失敗、有頂天と堕落を描いて行きます。
そんな中で、男性が目覚め目標とする発想の突拍子の無さや、その過程、そして結果…つまりオチ、更にそこから発展する予想外過ぎる展開で笑いを取っていく。
もちろん舞台上に1人しかいない中で淡々と語って行くワケではなく、いくつもの再現シーンを織り交ぜていくんですが、この再現シーンでウッチャンは目を引く程の多彩な芸を披露します。
往年のアイドルの振り付けのコピー、激しいダンス、ピアノの演奏に歌唱、バック転に至るまで。
変化に富んだ舞台を演出してくれる芸の数々。
ウッチャンがこんなに芸達者だとは知らなかったのでビックリ。
かと思えば、舞台初日だった昨夜。
初日ならではのハプニングもいっぱい。
小道具に使ったネクタイの取り外しの時に頭に着けたマイクにネクタイが引っかかってしまい、思い切り雑音を拾ってしまったり。
暗転なしでの大きな小道具の転換を自分1人でブツブツ愚痴りながらやったり…(笑)
ダンスの後にガチで息切れしてしまい、袖から差し出された水を飲みながら小休止に入ってしまったり。
バック転の時に話題のドアラよろしく頭から着地してしまったり。
その度に『初日って怖いね』とアドリブを挟んで乗り切りました。
正味2時間。
1人でどんな事が出来るんだろうか?という問いに対し、一人芝居のイメージを覆す作品を見せてくれました。
作品の中の男性と、この芝居を敢行したウッチャンに共通するもの。
それは『挑戦する姿勢』かも知れませんね。