劇団ノート【絆~俺達は何故、人を助けるのか~】 | たかびの自己満観劇ブログ
身近な存在でありながら意外と知らなかったり@たかび.こみゅです。

『劇団ノート』という劇団のお芝居を鑑賞してきました。

たかびの自己満観劇記
たかびの自己満観劇記

【絆~俺達は何故、人を助けるのか~】

災害に立ち向かう消防士達の知られざる努力と苦悩を描いた物語。

毎日どこかしらで起きてると言われる火災、駆け付ける消防車。

40数秒に1回出動してると言われてる救急車。

起きてしまった災害から人命を救出する消防士達。

新米消防士達を通じてその活動、その裏に隠された努力、そしてその仕事に携わる事で消防士達が精神的に負う苦悩、それらを描いたドラマでした。

約3年掛けて150署を超える消防署から取材をし、中野消防署の協力を得ての制作…という事で、専門用語や専門知識、訓練の一部や防火服を身に着けるアクション(実際に役者達がわずか数十秒で出動準備を整えて見せた)など細部に渡る再現がなされた他、恐らくは経験談や精神にかかる部分などはフィクションでありながら実体験を多分に取り入れた物だったのではないかな…と。

火災…と言えば昨年のクリスマスイブにJR中央線荻窪駅前の商店街で精肉店火災…なんてニュースがあり、2月の終わりに荻窪に行く用事があったので現場前を通ってみたら、2ヶ月以上も経つのに未だ惨状そのままに放置されてたりして、改めて火災の恐ろしさを目に留めてきたばかりですが。

跡地を見るのも嫌な現場で、己の身も省みずに人命救助に向かう消防士…並大抵の精神力では務まらない…というのは頭では理解していたつもりです。

しかし、現場に出ていない時の消防士たち、現場での事後処理、緊迫の救出劇を迫真の演技で再現したシーン等を含む今回のお芝居を見て、頭で理解していたつもりだったのは本当に一部に過ぎなかったんだなと思いました。

助けた人の顔よりも助けられなかった人の顔を忘れる事が出来ない…言われてみればそれもそうかもな、とは思うけど、言われなきゃ考えもしない…そんな消防士達の心理もたくさん散りばめられていました。

作品の内容の濃さももちろん、芝居としての面白さもあり良かった。

折しも世間では春の火災予防運動期間の真っ最中。

2日開幕6日千終楽と、ちょうど期間に合わせての公演なのではないかと思いますが、このお芝居を見て改めて火災と消防士について考える機会になりました。


そしてこの文章を書いている今、正にこの瞬間に横を救急車と消防車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎていきました(実話)