株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。
チャンネルAJER更新しました。
経世済民学_年末特別対談『三橋貴明&安藤裕「日本経済この一年」Part1』
経世済民学_年末特別対談『三橋貴明&安藤裕「日本経済この一年」Part2
令和の政策ピボット呼びかけ人に「公認会計士・税理士 森井じゅん様」が加わって下さいました。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!
菅義偉 共同体への帰属意識がない内閣総理大臣 [三橋TV第335回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/-p4x39d3b84
本日はチャンネル桜「【経済討論】2021 どうなる?世界経済と日本[桜R3/1/2]」に出演します。
https://youtu.be/h_bmvRcVc68
さて、コロナ禍は人類に災厄をもたらしていますが、同時に「貨幣観の転換」を促しているのも確かだと思います。
2020年は、わたくしの2019年までの十数年間の努力分以上に、一気に「正しい貨幣観」が日本国民に広がった年になりました(これでも)。
興味深いことに、「あの」日経新聞においても、MMTが取り上げられていたので、ご紹介。
『MMT どんな学説なの?景気回復へ国の借金拡大
現代貨幣理論(MMT)について、石川雅子さんと菅原直美さんに、清水功哉編集委員が解説した。
◆MMTとは、いったいなんでしょうか。
簡単に言えば、国は景気回復に向けてもっと借金をして、支出をしてもよいという主張の裏付けとなる理論です。自国通貨建てで国債を発行できる国では、返済に必要な自国通貨は自由に発行できるので破綻の心配はなく、インフレにならない限り財政赤字を増やしても問題ないと考えます。
主唱者のステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は、著書で「財政赤字こそ、新型コロナウイルスのショックを脱する唯一の道だ」と主張しています。(後略)』
相変わらず、日経は政府の負債、あるいは「政府の貨幣発行」について「国の借金」と表現しています。
というわけで、日経の記事を読んで、MMTが説明する「現実」に賛同する人は少ないでしょう。
ただし、論調は比較的まともで、少なくともストローマン・プロパガンダはしていません。「政府の貨幣発行」すなわち財政赤字拡大の上限を、きちんと「インフレ率」に置いています。
無論、インフレ率上昇のリスクについて、先日取り上げた植田和男の、
「財政政策は機動的に動きにくく、支出拡大の流れをすぐに止めることは政治的に難しい」
というコメントを載せています。(植田の頭の中には、「金融政策」というものが存在しないようですね)
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
特別コンテンツ「歴史に魅せられて、myが聞いてみた~第一回 歴史時事編~」公開中!
http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
ちなみに、やはり先日登場した門間一夫氏は、
「インフレさえ起きなければ経済に問題が生じないというわけではない」
と、物価安定のもとでの不動産など資産価格の高騰(いわゆるバブル)について懸念を表明しています。
というか、バブルはMMTとは無関係に問題だし、日本が本当に「財政黒字」になったとしたら、経済がバブル化している可能性が高いです。
もっとも、門間氏は、
「日本で長い間財政赤字を膨らませても、インフレや金利上昇が起きなかった事実を踏まえれば、財政活用の余地は従来考えられていたよりは大きそうだ」
と、少しずつMMTへと「歩み寄って」いるように見えます。
ちなみに、日経の記事は、ケルトン教授の、
「国民にとって、バランスのとれた公平な経済を実現するために予算が使われているか」
というコメントを引用し、「所得の低い層もカバーするような教育への投資」といった格差是正や、国土強靭化についても触れているので、比較的というか相当にまともです。
まともじゃないのは、「国の借金」という表現です。
例えば、上記の記事の「国の借金」を「政府の貨幣発行」に置き換えてみたらどうなるでしょうか? ついでに、財政赤字を「民間黒字」に変更してみましょう(事実だから)。
『MMT どんな学説なの?景気回復へ政府の貨幣発行拡大
現代貨幣理論(MMT)について、石川雅子さんと菅原直美さんに、清水功哉編集委員が解説した。
◆MMTとは、いったいなんでしょうか。
簡単に言えば、国は景気回復に向けてもっと貨幣を発行して、支出をしてもよいという主張の裏付けとなる理論です。自国通貨建てで国債を発行できる国では、返済に必要な自国通貨は自由に発行できるので破綻の心配はなく、インフレにならない限り民間黒字を増やしても問題ないと考えます。
主唱者のステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は、著書で「民間黒字こそ、新型コロナウイルスのショックを脱する唯一の道だ」と主張しています。』
いかがです?
日経の言う「国の借金」とは、政府の負債であり、具体的には国債発行、すなわち政府の貨幣発行になります。
何しろ、政府が国債を発行し、支出すると、「中世欧州の国王・領主の金貨発行+支出」と同様に、自らの純負債が増えるため、「国債発行+財政支出=貨幣発行」は否定のしようがありません。
さらには、誰かの赤字は、誰かの黒字。政府の財政赤字=民間黒字です。これまた、誰にも否定できない事実です。(というか、コインの表の反対側は裏、と言っているに過ぎない)
今回の日経のMMT論は、比較的(内容は)まともでした。ところが「国の借金」「財政赤字」といったネガティブな印象を与えるワードを使うだけで、MMTの理解者を確実に減らせる。
言葉というのは、恐ろしいほど威力がある「武器」であることが、今回のエントリーで改めてご理解頂けたのではないかと思います。
正しく理解するためには、言葉を正すことから始めなければならないのです。
「貨幣観を正し、緊縮財政を終わらせよう!」に、ご賛同下さる方は、