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「菅政権の地方経済潰しをくい止めろ(前半)」三橋貴明 AJER2020.12.15
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「お前ら本当に人間か!? “大惨事”補正予算の真実」 [三橋TV第331回]
Front Japan 桜 - 令和2年12月25日号
さて、昨日のビル・ミッチェル教授の寄稿の翌日、日経の「経済教室」植田和男(共立女子大学教授)の記事が掲載されました。まさに悪あがき。
『債務借り換え継続、高リスク コロナ危機と財政膨張 植田和男 共立女子大学教授
○財政赤字や政府債務の全面否定に変化も
○巨額の政府債務は潜在成長率に負の影響
○借り換え継続は大損害危機と背中合わせ
コロナ対応の拡張的財政政策を主因に、各国財政は大きく悪化している。国際通貨基金(IMF)によれば、2020年の先進国の債務残高の国内総生産(GDP)比率は第2次世界大戦直後を上回り、19世紀後半以降で最高水準となる。当面は財政からの経済支援政策を続けざるを得ない状況だが、未曽有の規模に膨れ上がった財政赤字、政府債務を中長期的にどう減らしていくか大きな課題だ。(後略)』
MMTを否定し、財政破綻論を主張する連中の特徴は、
1.MMTを知らない(あるいは、知った上でストローマン・プロパガンダを展開する)
2.歴史的に、政府の純負債(債務でもいいですけど)が増え続けた(=国民の純資産が増え続けた)歴史を無視する
3.日銀が国債を買い取ると、政府の負債が実質的に消滅する事実を無視する
4.貨幣や国債の「基本」ではなく、些末で複雑な議論を勝手に展開し、財政破綻を結論付ける
になります。
特に、4ですが、何しろ主流派経済学は貨幣の実態という「基本」を間違えているため、本質的な議論はできないのです。
というわけで、しつこく植田の「間違い」を指摘していきます。(些末で複雑な議論は、どうでもいいので無視します)
『未曽有の規模に膨れ上がった財政赤字、政府債務を中長期的にどう減らしていくか大きな課題だ。』
つまりは、植田は政府債務を「減らしていく」必要があると主張しているわけです。
【1872年-2015年 政府債務の金額及び実質残高(2015年基準)の推移(単位:億円)】

情報ソース:島倉原氏が財務省、総務省、内閣府、大川一司他著『国民所得(長期経済統計1)などのデータから作成
日本政府の債務残高(2015年時点)は名目の金額で1872年の3740万倍!実質でも1885年の546倍!になっているわけですが、植田はこの「事実」をいかに説明するのか?
そもそも、経済規模(実質GDP)が大きくなっている以上、政府債務(あるいは純負債)が拡大するのは当たり前です。政府が十分な純負債を負わない(=貨幣を供給しない)場合、日本経済は延々とデフレ状況が続き、経済成長することができませんでした。
『財政赤字の善悪や維持可能性の判断には金利と成長率の相対関係が鍵になる。金利の方が高ければ、過去の財政赤字の結果である現在の政府債務は将来の増税により賄われなければならない。』
日銀が買い取れば、はいおしまい。なぜ、日銀が買えば話が終わってしまう国債について「増税で返す」といった話になるのか。
さらに、増税で国債を償還すると、国民の純資産が消滅するわけだが、一体全体、なぜそんなことをしなければならないのか? というか、とりあえず植田だけ全財産(純資産)を吐き出し、政府に寄付して国債償還に充ててもらえばいい。
特別コンテンツ「歴史に魅せられて、myが聞いてみた~第一回 歴史時事編~」公開中!
http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
植田は、
『より根本的な問題はこの間、平均でGDP比4%を超える基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字が継続し、政府債務残高が増え続けていることだ。』
とも書いているため、「政府債務残高の増加」を問題視しているのは間違いないでしょう。
【2020年9月末時点 日本国債保有者別内訳(%)】
http://mtdata.jp/data_73.html#kokusai
あの~、すでに、国債の48%は日本銀行が保有しており、返済や利払いの負担は政府にないんですが。
「返済不要であっても、債務が増えるのは問題だ!」
というならば、日銀の現金紙幣(日本銀行券)も問題視する必要があるよね、植田君。
面白いのは、植田は日銀の国債買取による「金利調節機能」は取り上げるのですが、日銀が国債を買うと「政府債務が(事実上)消滅する」事実は無視するのです。何しろ、それを認めてしまうと、議論が根底からひっくり返ってしまいますので。
また、植田は「債務GDP比は拡大を続ける」ことを繰り返しているので、それを問題視しているのでしょう(実際にはどうでもいい話だけど)。
じゃあ、はい。
【日銀保有国債・日銀以外保有国債(左軸)と日銀以外保有国債対GDP比率(右軸)】
http://mtdata.jp/data_73.html#taiGDP
日銀保有の国債を除くと、政府債務対GDP比率は大幅に低下しているので、これでいいじゃん。
もちろん、植田は、
『日銀に買いオペ継続を強いることになれば、古今東西しばしば発生したハイパーインフレのリスクが生じる。』
と、ハイパーインフレ論で締めくくっています。
へえ~。過去に「財政赤字拡大」でハイパーインフレ(インフレ率13000%)に至った国があるんだ。「古今東西しばしば」と書いている以上、例を挙げられるよね。
挙げてみなよ、一つで良いから。
もちろん、歴史的にハイパーインフレに陥ったのは、戦争、内戦、革命などで、国内の供給能力が大きく破壊された国のみです。
つまりは、植田は日本が大戦争に巻き込まれることを前提にしているわけです。あるいは、大震災で供給能力が壊滅的な状況になるとか。
なんと立派な人徳者なのでしょう。
この手の「嘘つき」たちが蔓延る限り、我が国の緊縮財政は終わらず、衰退は止まりません。皆様も、容赦なく批判して下さい。そのための材料は、継続的にご提供いたします。
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