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『現代貨幣理論入門ー税金の真実ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.24

 

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三橋TV第145回【財務省のADAMSⅡと貨幣の真相】

https://youtu.be/ESnIiF0oqTY

 

 京都大学レジリエンス実践ユニット主催「与野党全国会議員対象「MMT勉強会」」が開催されます。皆様、是非とも地元の国会議員に教えてあげて下さい。
(※以前とURLが変わっています。お気をつけください)
 
 『MMT 現代貨幣理論入門』の著者であるランダル・レイ教授が来日し、京都と東京でシンポジウム&研究会が開催されます。 
MMT国際シンポジウム2――現代貨幣理論と日本経済(京都大学レジリエンス実践ユニット主催/東洋経済新報社協力)
 
 現在、単行本「自民党の消滅(仮)」を書き進めています。一部の方の期待は裏切るでしょうが、本書は「アンチ自民」「アンチ安倍」的な著作ではなく、
「グローバリズムと民主制(民主主義)」
 の本質を解き明かし、今後の日本の政治について解説したものです。

 民主制は、多数決がルールです。殺し合いではなく、多数派を形成する努力をし、多数になった者を「勝者」とするという制度になりますが、民主制において重要なのは勝者側ではなく、敗者側が、
「まあ、負けたけど、同じ国民の多数派が決めたなら、仕方ないか」
 と、納得できることです。

 そして、敗者側が納得するためには、「同じ国民だから」という国民意識が欠かせません
 
 「三橋TV第144回【ブレグジットと民主制の本質】」で解説した通り、民主制とナショナリズムは不可分です。

 1980年、厳密にはその少し前、代表的な「小さな政府主義者」の大平正芳の内閣が発足して以降、我が国はひたすらグローバリズム、小さな政府路線の「改革」を推進してきました。

 さらには、デフレ下で国民のルサンチマンを煽り、果実を手に入れる「ルサンチマン・プロパガンダ」が大流行。

 チャンネル桜の、
【Front Japan 桜】ルサンチマンのビジネス / GSOMIA破棄は韓国の大失敗[桜R1/9/2]
【Front Japan 桜】壊れた社会、壊れた国家 / 中国に呑み込まれる世界 ~太平洋編~[桜R1/9/23]
 などにおいて、ルサンチマンを煽るレント・シーカーが、いかに「国民の妬み・嫉み・憎しみ。すさみ」をビジネスに結びつけるか、スキームを解説してきましたが、面白いのは、動画で繰り返し、
「同じ国民同士で批判し合うのはやめましょう。レント・シーカーや彼らの跋扈を許している政治家を批判するのは分かるけど、同じ国民を攻撃しても、レント・シーカーのビジネスに利用されるだけだよ」
 と、訴えかけても、Youtubeのコメント欄には、
「公務員は給料泥棒じゃねえか」
 などと、パソナや竹中平蔵氏を利するルサンチマン・コメントが必ず書き込まれる点です。ルサンチマンがそれだけ根深いのか、それとも何らかの目的があって書き込んでいるのか、分かりませんが。

 先日のエントリー「消費税の恐るべき真実(後編)」で解説した通り、我が国では何と「税制」までもが国民分断(派遣社員増加、フリーランス増加)の方向に機能しています

 国民が分断され、互いに争い合い、罵り合い、連帯することはなく、互いに「わずかな差異」を見つけては批判し、攻撃し、国民の連帯を呼びかける人に対し、
「だって、あいつらは○○じゃないか!」
「あいつらを庇うなら(※厳密には「攻撃しないなら」)、お前も敵だわ(笑)」
 と、国民分断の方向に突っ走る。

 やがて、民主制を成立させるナショナリズムという基盤が完全に壊れることになります。英国風に言えば、国民が「エニウェア族」と「サムウェア族」に分断され、サムウェア族同士でさえ争い、選挙に負けたとしても納得することなく、最終的にはテロに訴えても我を通そうとする国民、ならぬ「人民」で溢れる。

 自民党のグローバリズム路線は、最終的には日本の民主制を破壊し、自らも「消滅」することになるでしょう。

 民主制において、ナショナリズム、国民の「連帯意識」がどれほど重要か。現在のイギリスを見ていれば分かります。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※10月1日から、長浜浩明先生の特別コンテンツ「日本人はどこから来たのか?」が視聴可能となりました。
 
欧州の危機はイギリスからドイツへ広がる 岩間陽子(政策研究大学院大学教授)
<議会発祥の地イギリスの混乱はヨーロッパの長い苦難の歴史の始まりなのか>
 議会制民主主義は多数決のゲームである。利害対立を殴り合いや殺し合いにしないために、多数を取ったほうが「勝つ」ルールを皆が受け入れて成り立っている。
 しかし、何が「多数」であるかは、実はそれほど明白ではない。上下院の票が逆転することもあるし、大統領と議会が対立することもある。それでも何が「多数」であるかを、人為的に決めるための仕組みを各国の政治機構は持っている。最古の議会制を持つイギリスでも、崩壊したワイマール議会制の反省の上につくられたドイツでも、それぞれ違う仕組みながら、それは他国がモデルとするほどに機能してきたはずだった──つい昨日までは。
 欧州における統治機構が機能不全に陥っている。筆頭はイギリスだ。2016年に国民投票でEU離脱を選んで以来、イギリス政治は漂流を続けている。2019年9月、イギリス議会はその憲政史上でもまれに見る危機の真っただ中にある。ボリス・ジョンソン首相は、10月13日まで議会を閉会し、10月末までに合意なきEU離脱(ブレグジット)を強行する構えを見せている。通常であれば、与党・保守党は党首が決めたことに従うはずだ。しかし、もはやイギリスの政党は機能していない。
 保守党内部から多くの造反者が出て、野党と結託し、合意なき離脱の阻止法案を通してしまった。政府と議会の対立は、最高裁判所に場所を移して続いている。選挙を行っても、混乱の収拾は期待できない。テリーザ・メイ前首相は無能ではあっても善意のリーダーとして「多数」を探し続けたが、もはやそれは英議会には存在しない。(中略)
 フランスでもイタリアでも、従来の政党が凋落しポピュリスト政党が躍進している。どの国でも、この約30年間の成長から取り残され、疎外されたと感じている人々が造反している。ヨーロッパで最も豊かな英独においてすらこうであり、もっと小さな国ではその割合ははるかに高い。戦後ヨーロッパの繁栄を支えてきたエリートたちは、明らかにこの声に気付くのが遅過ぎた。この混乱はしばらく続くだろう。
 既存の制度が新たな声を取り込んで「多数」の再構築に成功するか、それとも制度が破壊されて混乱の後に新たな制度へと至るのか。いずれにせよ、苦痛に満ちた長い移行期がヨーロッパを待ち受けている。』
 
 特に、欧州連合の離脱といった二者択一の政治イシューについて、イギリスは「国民投票」に委ねてしまった。結果、イギリス国民は見事に分断され、投票日まで罵り合い、怒鳴り合い、どつき合い、水のぶっかけ合いが続き、テロまでもが起きました。

 一応、離脱派が勝ったのですが、国民投票は、
「イギリスが欧州連合から離脱するか、否か」
 のみを決定するもので、「どうやって出るのか?」について国民的合意はありませんでした。結果、議会が大混乱。

 挙句の果てに、欧州残留派が勢いを盛り返し、相次ぐ「再度の国民投票を求める」デモ。敗者側(残留派)は、
「同じ国民が離脱を決めたらな、仕方がないか」
 などと納得しているわけではないのです。

 しかも、イギリスの場合は「北アイルランド国境をどうするか」という厄介な問題を抱えており、さらにはEU側との交渉もまとまらず、袋小路状態が続いています。
 
 ジョンソン首相は「10月末までの離脱」を繰り返していますが、そもそもジョンソン氏はテリーザ・メイ前首相退陣後、保守党員の投票で首相になったわけで、総選挙で勝利したわけではありません。

 イギリスのブレグジットは、離脱派に岩間教授の言う「この約30年間の成長から取り残され、疎外されたと感じている人々」が多いのでしょうが、EUというグローバリズムの国際協定に入っている限り、国民の分断は進む。さらには、離脱のスキームについて国民的合意が取れず、議会すらまとまらない。

 正直、イギリス議会の混乱は、エリザベス女王が「挙国一致内閣の設置」を呼び掛けない限り、どうにもならないような気がいたします。しかも、女王が挙国一致を呼びかけてすら、議会の混乱が収まらなかったとしたら・・・?
 
 現在の日本も、イギリスに負けず劣らず国民の分断が進んでいます

 国民を貧困化させ、ルサンチマン・プロパガンダを利する緊縮財政を中止し、「国民意識」を強化する政策に転換しない限り、日本の民主制も、やがては「終焉」に向かうことになると思います。

 我々、日本国民が「主権」を持ち続けていたいならば、国民意識(ナショナリズム)を取り戻さなければなりません。わたくしが最近、歴史系のコンテンツに力を入れているのも、これが理由なのです。

 横軸のナショナリズムは経済(経世済民という意味の経済)、縦軸のナショナリズムは歴史を基盤とするのです。
 
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