株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。

チャンネルAJER
『現代貨幣理論入門ー税金の真実ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.24

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

令和の政策ピボットの賛同人が2万人を突破しました。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!

 

三橋TV第144回【ブレグジットと民主制の本質】

https://youtu.be/Gy6glGAMPv0

 

 

 2019年1-3月期平均の派遣社員数は、約142万人。雇用者全体の2.5%です。最近は、派遣社員数は全体の2.5%前後で推移しています。

 派遣会社の事業所数は、2017年度に62,408事業所。
 
【日本の派遣会社の事業所数(年度)】
 
 昨今の派遣事業所数は、減少傾向にありますが、これはなぜなのか? それ以前に、000年時点では1万に過ぎなかった派遣事業所数が、なぜ一時期は七万を超えるところまで激増したのか。2015年までに、派遣事業所数が7倍になったわけで、さすがに異常です。

 もちろん、デフレ環境下で企業が人件費を「固定費」から「変動費」化したかったのが大きな原因です。
 
 固定費とは、「売上と無関係に一定の金額になる費用」で、変動費は、「売り上げに応じて変動する費用」です。代表的な変動費が、部品・材料費などですね。

 固定費である人件費を、派遣社員と化し、変動費化すれば、
「売り上げが下がれば、契約を切ればいい」
 というわけで、変動費化が可能です。

 とはいえ、もう一つ、重要なポイントがあるのです。変動費化とは、つまりは人件費を「売上原価」にするという話です。
 
『2019.09.27 【クローズアップ・消費増税10%】国民を貧困化させる税 アベ・ショックが日本を襲う
◆消費に対する罰金
 --そもそも消費税をどう考えますか。
 消費税の政策的な意味は、実は消費に対する罰金です。炭素税は二酸化炭素排出企業に対する罰金であり、タバコ税はタバコを吸うことに対する罰金。特定の行動をさせないための罰金としての税ですから、消費税は消費を減らすことが政策目的になります。実際、消費増税で実質消費の量が確実に減ります。たとえば、2014年4月の8%への消費増税のときには年間で8兆円分の消費が実質で減りました。
 重要なことは農業も含めすべての産業において、生産と消費と所得がイコールになるという大原則があることです。つまり、消費が8兆円減った2014年度は、その分が生産されていないということになる。ということはその分の所得を失った人たちがいるということです。実際、実質賃金が大幅に下落しました。単年度では、何とリーマンショック時を超えました。(中略)
 それからみな気がついていませんが、正規社員を派遣社員に替えると人件費を売上原価に切り替えられますから、消費税が安くなる。そういう構造になっていますので、消費増税は派遣ビジネスの拡大ともバーターだったのでしょう。つまり、特定の業界や大企業などのための政治が続いているのです。
 本来、それに対抗すべきは、農協をはじめとする協同組合系だと思いますが、軽減税率の要望など見当違いのことをしていませんか、と言いたいです。消費税は赤字企業も支払わなければならない「法人税」です。最悪の税金であり、私は廃止以外に選択はないと思っています。(後略)』
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※10月1日から、長浜浩明先生の特別コンテンツ「日本人はどこから来たのか?」が視聴可能となりました。
 
 分かりやすく説明します。

(1) 人件費が固定費のパターン
 売上 300
 売上原価 ▲100
 粗利益 200

 人件費 ▲50
 利益 150

 という、損益計算書(実際のPLはこんなシンプルではありません)の企業があったとします。消費税は、売上ではなく「付加価値=粗利益」に課せられる税金であるため、消費税率10%の場合、支払う消費税は粗利益200x10%=20となります。

 ちなみに、人件費は「生産された付加価値の分配」という位置づけになるため、消費税計算時に対象外となります。

 さて、(1)の企業が、社員を派遣社員に切り替えたらどうなるでしょうか。固定費だった人件費が変動費化され、「外注費」となるのです。外注費は、消費税計算時の売上原価に含まれます。

 というわけで、損益計算書は、

(2) 人件費が変動費のパターン
 売上 300
 売上原価 ▲150
 粗利益 15
 利益 150

 となり、消費税は粗利益150x10%=15。お分かりでしょう。社員を派遣社員に切り替えると、消費税を節税できるのです。

 結果、消費税導入後、一般的な派遣業が興隆したのはもちろん、労働集約型の大企業が、消費税節約のためにダミー派遣会社を設立(※資本金1000万円未満)し、社員を転籍させ、自社に派遣するというモデルが大流行しました。

 ダミー派遣会社は、資本金1000万円未満なので、二年間は消費税免除です。そして、二年経つと、派遣会社を解散し、新たに資本金1000万円未満の派遣会社を設立。社員を転籍させ、自社に派遣する。

 ちなみに、↑これは「脱税」となり、税務署も熟知していますので、現在はほぼ不可能です。(だからこそ、派遣会社の事業所数が頭打ちになった)
 
 ともあれ、「派遣社員化が消費税節約になる」という現実が、派遣会社激増や、派遣社員増加をもたらした主因の一つであることは疑いありません。

 また、消費税導入と同時に、社員をできるだけ個人事業主化し、外注費扱いにすることも大流行(いわゆる「一人親方化」)。外注費にすれば、消費税が節税できると同時に、社会保険料も節約できます。

 経済産業省は「雇用関係によらない働き方(フリーランス等)」と、頭のおかしいことを推奨していますが、今後、社員がフリーランスになっていくと、やはり消費税節約に貢献します。特に、売上が少ないフリーランスは免税事業者になるため、消費税はいずれにしても支払われません。(インボイスが導入されると、課税事業者化していくでしょうが)

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、昨日、
「(消費税率は)2025年には14%以上が望ましい」
 と、発言しました。ジャーナリストの池上彰は、先日、テレビで、
「消費税率35%が必要」
 と、発言。

 いずれも、経済も貨幣も財政も税制も何も知らないド素人たちの意見ですが、この手の「共犯者」たちを利用し、財務省が消費税の更なる増税を推進しています。そして、消費税率を引き上げれば上げるほど、企業の、
「社員を派遣社員化、フリーランス化したい」
 というインセンティブを高めることになってしまうのです。

 さすがに、「二年解散」方式は、もはや通用しないでしょう(少なくとも、三年後は)。普通に、派遣会社から派遣される非正規雇用が増えていきます。派遣会社側は、もちろん企業から支払われる外注費のほぼ全てに消費税がかかりますが、その分は、派遣している社員への給与を抑制すればいい。ただ、それだけの話。

 あるいは、インボイス制度が導入され、フリーランスが課税事業者になったとしても、企業側が素直に「消費税分の値上げ」を認めるかどうか・・・。

 過去のデフレ日本の経験上、バリューチェーンにおいて消費税増税の負担は「弱い企業」「弱い生産者」に押し付けられる傾向があります。

 となると、消費税という悪魔の税金は、社員の非正規雇用化や、あるいはフリーランスの困窮を促進する可能性が濃厚です。つまりは、労働規制の緩和(派遣拡大、フリーランス化)と消費税増税は、我が国の「雇用・所得の安定」を最終的に破壊し、所得格差を極端なまでに拡大する最悪の組み合わせなのです。
 
 さあ、ここまで読み進め、「消費税は廃止するべき」という感想を抱かなかった人がいるのでしょうか。
 消費税は、廃止しなければなりません。
 
「消費税の廃止を求める!」に、ご賛同下さる方は↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。