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日 時:平成23年3月6日(日)午後2時~
講 師:東谷 暁 氏 (ジャーナリスト)
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講師:経済評論家・作家 三橋貴明氏
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詳しくは⇒ http://pv-is.jp/index.html
』
本来は対象限定のセミナーなのですが、フォーネット様のご好意で20名だけ一般参加を受け付けて頂けることになりました。ご近隣の方は是非、足をお運び下さい。
アメリカの話がなかなか書けない・・・・。
中国とギリシャの共通点とは、何でしょう。もちろん、政府発表の統計が意味不明かつ矛盾しまくりという点でございます。すなわち、両国共に「最悪の輸出品(デタラメな統計)」を外国に輸出する常習犯というわけですね。
とはいえ、中国はまあ、共産党独裁国家です。すなわち、先進民主主義のルールに従うつもりなど端からないわけです。それに対し、ギリシャは「一応」先進民主主義国の一員で、OECDにも「ユーロ」にも加盟しているわけです。
さて、まずは中国です。
中国といえば、「登録失業率」なる「都市部の登録失業者のみの失業率」を発表し、
「我が国の失業率は、4.x%である!」
なんてやり、それを「ハハーッ」とばかりに拝聴した日本のマスコミが、そのまま何も考えずに日本で「宣伝」するためのネタに過ぎませんが、その他にも「地方のGDPを合計すると、国家全体のGDPを超えてしまう(普通は逆)」「GDPの三面等価が成立しない」などなど、要するに「こいつら、真面目に統計とっていないな・・・」というネタの宝庫です。というわけで、中国経済を書くのは本当に大変でございます。
さて、「中国式統計」の中に、指標を勝手に変えてしまい、遡及的に過去の数値まで引っ張り上げるという無茶なものがあります。例えば、中国は二、三年に一度、「発表」一つで過去のGDPを増やしてしまっています。
というわけで、これも一つの「発表一つで・・・」という手法になるのでしょうか。
『日本経済新聞 2011年2月16日「中国証券大手「消費者物価、上昇率もっと高い」」
中国証券大手の安信証券は中国国家統計局が15日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)について「実際の上昇率はもっと高かった」とするリポートをまとめた。市場の事前予想を大きく下回った1月のCPI上昇率をめぐっては「算出方法に問題があったのではないか」との疑念がくすぶっている。
統計局が発表した1月のCPI上昇率は前年同月比4.9%。「5%台半ば」が大勢だった市場の事前予想は完全に外れた。
安信証券のリポートは「市場予想と統計局発表の数字との乖離(かいり)は合理的な範囲を超えている」と強調。統計局発表のCPIに「春節(旧正月)前で最も物価が上がりやすい1月下旬の価格動向が反映されていない」といった統計上の問題点を指摘した。
市場では統計局が今回からCPIの構成比率を変えたことも、なお臆測を呼んでいる。中国地場の証券会社が当局の統計数字に異議を唱えるのは珍しい。中国のCPIにはもともと「生活実感とかけ離れている」との声が根強く、統計への不信が改めて露呈した形だ。』
「市場予想と統計局発表の数字との乖離(かいり)は合理的な範囲を超えている」
・・・。ちなみに、「統計局が今回からCPIの構成比率を変えた」とは、消費の3分の1を占める食品の構成比率を下げたことを意味しています。一応、「今回、いきなり食品構成比率を下げた」わけではなく、昨年10月頃から予告はされていました。それにしても、中国人民にとって最も重要と言える「食品」の構成比率を下げる意味が分かりません。(いや、分かりますよ、もちろん)
中国当局が「1月下旬の価格動向を反映しない」「食品構成比率を下げる」などにより、見せ掛けのCPI上昇率を下げたのは、これは同国のインフレーションが「洒落にならない状況」になりつつあることを意味している可能性が、極めて高いわけです。
今回の物価上昇は、世界的なコモディティ価格高騰の影響が大きいです。中国の物価上昇率を押さえ込むには、人民元切り上げと金利引き締めしかないわけですが、共に「輸出産業にダメージを与える」「バブルを崩壊させる」という、トレードオフが発生してしまうわけでございます。とはいえ、国内の証券会社が異議を唱えるほど奇妙なCPI上昇率を発表した以上、同国はそろそろ「なりふり構わぬインフレ退治」に乗り出さざるを得ないように思えます。
後はタイミングの問題というわけですね。
次はギリシャ。04年に政府の粉飾会計が問題になった挙句、最近、実はギリシャはユーロ加盟前から一度もマーストリヒト条約ライン(財政赤字対GDP比率3%ライン)を守っていなかったことが暴露されました。
本来、ギリシャはユーロに加盟してはならない国だったわけです。
そんなギリシャ、現在はユーロ加盟国として破綻したため、通貨が暴落せず、緊縮財政を強制された結果、ひたすら経済が縮小していく状況に陥っています。といいますか、本ブログのユーザさんであれば、予想していた話ですが。
『ギリシャ:今年は3%超マイナス成長、失業率も上昇見込み-中銀報告
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a9xkhSQo1sYI
ギリシャ中央銀行は2011年の同国経済が3%超のマイナス成長となると見込んでいる。プラス成長に復帰するためには赤字削減を加速させることと公的部門の支出を一段と削減することが必要だと中銀は指摘した。
同中銀は2010-11年金融報告で、昨年の同国経済は4%を若干超えるマイナス成長となり。失業率は12.5%余りに達したとの推計を示した。今年の失業率はさらに上昇し、インフレ率は2.2%、コアインフレ率は1%に低下すると予想した。 (後略)』
「プラス成長に復帰するためには赤字削減を加速させることと公的部門の支出を一段と削減することが必要」
か、菅直人氏(財務大臣時代の)・・・? GDPの需要項目削れば、プラス成長に復帰するとは、これいかに?
『ギリシャ:10-12月GDP、前期比1.4%減-リセッション続く
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aNysJko7tJ.4
ギリシャ経済は昨年10-12月(第4四半期)もマイナス成長となり、リセッション(景気後退)が続いている。債務危機から脱するための緊縮財政が景気を圧迫した。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が15日発表した10-12月期のギリシャ国内総生産(GDP)は前期比1.4%減。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト6人を対象にした調査の中央値では1.5%減と見込まれていた。前年同期比では6.6%減少。 7-9月(第3四半期)は前期比1.7%減、前年同期比5.7%減にそれぞれ改定された。 』
昨年第4四半期、対前期比マイナス1.4%ということは、年率換算だと・・・・えーと・・・・マイナス4.71%ですかね。
ギリシャの問題が恐ろしいと思うのは、ユーロ加盟国ゆえに通貨が下落せず、輸出競争力が回復する見込みがないということです。すなわち、経常収支の黒字化が見込めないため、国家としての対外純負債が増え続けてしまうわけですね。
その上で、国民は緊縮財政でユーロを搾り取られ続け、景気は低迷しますから、間違いなく財政赤字対GDP比率は拡大してしまうでしょう。
中国とギリシャは、何しろ国力が全く違うため、同じ「『最悪の輸出品』輸出国」であっても、現状抱えている問題も異なっています。
実は本日のエントリーで言いたいことは、一つだけです。世界には、日本のような真面目な国の方がむしろ少数派で、自国のためならエゴイズム丸出しで何でも(政府の粉飾会計であっても)やってくる国の方が多いというのが現実ということです。
それを理解した上で、日本は世界と向き合わなければならないのです。
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