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桜ゼミナール1月「マスコミに騙されない、経済の読み方」
講師:三橋貴明
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 TPPの話題が続きますが、本当に管政権が「TPP解散」をもくろんでいるという話が耳に入ってきており、国会開会前にできるだけ本件を取り上げたいと思います。国会が始まると、政治家の方々も情報収集をする時間が無くなってしまうと思いますので。


 朝日新聞で東大教授の戸堂氏と、おなじみ中野剛志氏の「争論」が掲載されました。


朝日新聞2011年1月18日「争論 第三の開国」
 突然、パッと出てきた、プロジェクト、名づけてTPP。ではなくて、環太平洋パートナシップ協定。管直人首相はこれに日本も参加し、幕末、戦後に続く「第三の開国」とすることに意欲を示す。さらに国を開いて、この国はよくなるのか、それとも?


【中進国に落ちぶれていいのか? 東京大教授 戸堂康之さん】
 日本経済は長い停滞が続いています。このままだと近い将来、先進国から脱落し、落ちぶれた国になってしまうでしょう。(中略)
 そうならないためには国を開き、グローバル化を進めるしかない、と私は考えています。
 それはなぜか。経済成長の源泉は技術進歩です。ここでいう「技術」とはモノづくりでいう技術だけではなく、効率的な生産手法やマネジメント、ビジネスモデルなども含めた広い概念です。「技術」が進むと、同じだけ働いても、より多く生産できたり、今までにない製品が生まれたりします。インターネットや電気自動車が象徴的な実例です。
 一国の中だけの技術革新には限界があります。鎖国時代を考えれば明らかでしょう。それよりも国を開いて世界中の知恵や知識を採り入れることです。その手段が貿易であり、外国への直接投資や外国からの直接投資です。実際、約4万社のデータベースを分析したところ、グローバル化している企業、つまり輸出や海外への直接投資、生産委託をしている企業は平均的に生産性を上げている、という実証研究があります。
 残念ながら日本はまだまだ閉鎖的です。 他の先進国並みに国が開いていて「技術」が入ってくる状態なら、他の先進国並みの成長率を実現しているはず。そうなっていないのは、国を開いていないからです。
 ですから私は、TPPへの参加は、日本の閉鎖性を打ち破る契機になる、日本人全体の意識改革につながる、と期待しています。
 一方で、企業が海外に出てしまう空洞化、雇用の減少が懸念されています。国内に活力がないままなら、企業が出て行くのもおかしくありません。しかし前述のように、日本全体がグローバル化すれば国内の生産性が向上します。企業は国内から出て行かなくても良くなるわけです。(後略)


【デフレがますます進むだけだ 京都大助教・元経済産業省課長補佐 中野剛志さん】
 TPPへの参加など論外です。今でも日本の平均関税率は欧米よりも韓国よりも低い。日本はすでに十分、開国しています。
 そもそも「海外に打って出れば、日本製品の競争力が高まる」というのは、考え方が古い。「安ければいい」という途上国市場でいくら製品を売っても、開発力はつきません。
 日本製品に競争力があったのは、消費者の要求水準が極めて高い国内市場で鍛えられたからです。「神様」までいるトイレで、便座がお尻を洗ってくれることを求めるうるさい消費者を相手にしてきたから、日本企業は強くなった。ところがデフレが進み、安さばかりが求められるようになって、国内の「目利き」の消費者が減ってしまった。企業は研究開発を怠るようになり、「iPad(アイパッド)」のよ0うな魅力的な商品を作れなくなった。
 輸出といっても、一体どの国に売るのか。米国は失業率10%という大不況。中国の景気は明らかにバブルで、頼るのは危険です。他のアジア諸国は外需依存で国内市場が小さすぎる。そんな中で、輸出を増やすには、製品価格を下げるため、さらに賃金を下げなくてはいけない。
 それで輸出が増えても、今度は貿易黒字で円高になる。輸出主導で経済成長という道に未来はなく、国民を苦しませるだけです。日本は2002年から06年にかけて輸出主導で景気が回復しましたが、それは米国の住宅バブルのおかげ。しかも1人あたり給料は下がりました。利益は株主と企業に回り、一般国民にはまさに「実感なき景気回復」でした。欧米でも同じ現象が起きています。
 「自由貿易が経済を成長させる」という教条主義にとらわれるのはやめて、現実をみて欲しいのです。
 日本は10年以上、デフレに悩んできました。そこからの脱却が最優先課題です。私がTPPに反対する最大の理由は、いま以上に貿易自由化を進め関税を引き下げると、外国の安い製品が入り、デフレがさらに進んでしまうからです。農業が打撃を受けるからだけではありません。
 TPP交渉に参加する9ヶ国と日本の国内総生産(GDP)を合計すると、日米両国で9割を占めます。TPPは実質的に日米自由貿易協定です。米国は輸出拡大を目指してドル安を誘導しているのに加え、米国自身もデフレに落ち込みそうです。そんな国との貿易をさらに自由化すれば、デフレの日本がさらにデフレを輸入するようなものです。(後略)』
 
 戸堂氏の主張は、まさに「インフレ対策」だなあ、というのが感想です。すなわち、生産性を高めることが良いことだ、というわけです。
 生産性とは「「労働者一人当たりの付加価値」です。生産性を向上すると、供給能力が高まり、今の日本ではデフレが悪化します。

 また、労働者一人当たりの付加価値が高まるわけですから、「労働者の数」がそれまでよりも少なくて済むわけなので、当然の話として失業率は増加します。


 現在の日本に必要なのは、デフレ対策であって、インフレ対策ではありません。わたくしにしても、日本がインフレすなわち供給不足に悩んでいるのであれば、戸堂氏の主張に反対しません。といいますか、むしろ積極的に賛成します。


 国内の国営企業の低生産性により、供給不足からくる高インフレに悩んでいたブラジルは、外資を積極的に導入し(まさに開国!)、国営企業を民営化し、生産性を高めることでインフレ率を引き下げました。すなわち、80年代のブラジルのような供給不足に悩んでいる国にとっては、戸堂氏のソリューションは適しているわけです。


 でも、今の日本は違うでしょうという話です。


 日本でグローバル市場に対応している企業の生産性が高いのは当たり前です。何しろ、07年までのアメリカの不動産バブルにより、当時は世界的な需要拡大局面でした。そんな中においても、日本は政府の誤った政策により需要が伸びず、国内市場を相手にするよりも、海外市場を相手にしたほうが、それは収益性が高まるでしょう。


 しかし、すでにその局面は終わりました、という話です。


 少なくとも2002年以降の「グローバリズム」は、「アメリカの家計が負債を年間百兆円単位で増やす」ことが前提で成り立っていました、これほどまでに負債を増やし、投資や消費に回してくれる別の「需要項目」が登場しない限り、少なくとも02年から06年の状況は戻ってきません。


 そもそも、日本は02年の不況期にデフレ期にインフレ対策を実施する」愚行を改め、国内需要の拡大に舵を切らなければならなかったのです。ところが、アメリカの不動産バブルを前提とした「グローバル市場の拡大」という「特需」を受け、そこそこの成長率を取り戻してしまう。結果的に、日本の舵を切るタイミングは、またもや失われてしまいました。


 リーマンショック直後に成立した麻生政権は、まさしくこの「舵を切る」にチャレンジしたわけですが、結果的にどのようになったかはご存知の通りです。


 というわけで、戸堂氏の主張を踏まえた本日の締め。


「TPPはインフレ対策です。デフレ期にはデフレ対策が必要です」

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